首位発進でリベンジに一歩近づいた桑木志帆

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第18戦『資生堂 レディスオープン』(賞金総額1億2000万円/優勝賞金2160万円)大会第1日が6月27日、神奈川県横浜市・戸塚カントリー倶楽部西コース(6697ヤード/パー72)で開幕した。桑木志帆が今季自己ベストの7アンダーで首位に立つ。2打差の5アンダー、2位タイに堀琴音と仁井優花。

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《グリーン=スティンプ:11 1/4フィート コンパクション:23~24mm》

 

 7バーディー、ノーボギーの65をマーク。2週前のニチレイレディスに続き、今季2度目の首位発進となった桑木志帆だが、首位の意味合いが大きく異なると言い切る。

 

 「ニチレイレディスではゴルフの調子が悪かったのに、なぜか首位でした。今回はショットもパッティングもすべて調子が良くての首位だけに、素直に嬉しいです」。65という数字は今季の自己ベストだが、桑木なりにかなりの手応えを感じているのだろう。

 

 今季はトップテンに7回入っているが、3位タイが最高で、あと一歩優勝に届かない試合が続いていた。理由の一つに、ショットに対する不安があった。ダウンスイングからインパクトにかけて手元が浮いてしまい、ボールをクラブフェースから逃がしながら打っていたのだ。それではイメージどおりのボールを打つことは難しい。方向性や縦の距離感に不安があっては、ピンに絡むショットは打てないからだ。

 

 しかし、ようやく最近になって思うようなショットを打つことができてきたという。「インパクトのときに手元が浮かないように低くすることを心がけたら、勝手にいい当たりが出るようになり、飛距離も伸びました」。つかまらなかったボールが、つかまえに行かなくても、体の動きの中でクラブを振るだけで、勝手につかまるようになった。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 もともと桑木は、昨年よりもドライバーショットの質が上がっていた。「飛距離が伸びているので、第2打で持つクラブも短くなり、ピンに絡むようなショットが増えました」。データを見ると、ドライビングディスタンスは239.46ヤードから248.51ヤードと10ヤード近く伸びている。それに伴い、パーオン率も70.2261パーセントから70.4060パーセントにアップ。加えてスイングに不安がなくなったとなれば、さらに心強い。あとは、バーディーパットをどれだけ決めるか次第だが、この日は4メートル前後の距離をことごとく沈めていた。

 

 今大会には、昨年プレーオフに進出しながら敗れた苦い思い出がある。試合後は号泣していたが、1年経ってもその悔しさは消えないどころか、ますます大きくなっている。この日も18番ホールを迎えた時、思わず昨年のプレーオフが頭をよぎったという。

「絶対にバーディーを奪ってやろうと思いました」。グリーンに向かっての追い風は昨年と同じだが、ホールのヤーデージが37ヤード伸びた分、残り距離も106ヤードから133ヤードと長くなった。それでもピッチングウェッジを振り抜くと、ピン左1メートルにピタリと止まる。ギャラリーからは大きな拍手を浴び、ほんの少しだけ悔しさを晴らした。第2ラウンドは天気が崩れるとの予報。「今日みたいなゴルフはできないかもしれませんが、赤字で上がりたいです」と、気合いを入れ直し、練習場へ向かっていった。

 

以下、各選手のコメント

仁井 優花<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

仁井 優花(2位タイ:-5)
 「スイングで体が突っ込んでいた。ふとしたきっかけから、それに気がつき修正を。おかげでグリーンを狙うショットの精度が上がり、すごく良くなった気がします。全米女子オープン時は、時差ボケと連戦の疲れで残念な成績に終わったけど、練習ラウンドでネリー・コルダさんのスイングを間近で長く拝見することができた。世界一の存在をナマで見て、大いに刺激を受けました。
 きょうはノーボギーラウンド。もちろん、あすの目標もボギーフリーです」


小滝 水音<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小滝 水音(4位タイ:-4)
 「久しぶりにアンダーパーのスコア。ホッとした。きょうは、何といってもパッティングが安定していたと感じます。ここしばらく、不本意な成績が続いていたけど前週は1Wシャフトを半インチ短くし、ボールをちょっと硬めのものにした。それから、パターシャフトを重くし、改良を加えて…。その工夫がきょう、プレーに表れてきた。フィーリングがあってきたのでしょう。
 私は夏場が好き。これからが正念場です。あすは雨予報だから、フェアウェイキープを第一に。方向性重視で行きます」


金澤 志奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

金澤 志奈(4位タイ:-4)
 「68をマークしましたが、正直、ショットの調子はよくありません。出だしの4連続バーディーもパッティングで取ったようなものです。ただ、暑いのは好きなので、明日も今日と同じスコアを出せるように頑張ります」


天本 ハルカ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

天本 ハルカ(4位タイ:-4)
 「メチャメチャ体が疲れていて、正直このスコアが出るとは思っていませんでした。ラウンド前に今日は省エネしようと決めていたぐらいです。なので、ガンガン攻める感じではありませんでしたが、ボギーを打たないように心がけたら、逆にチャンスについたので良かったなと思います。
 今週に入って100ヤード以内というか、ウェッジショットだけ練習していました。コースでは今イチなので、そこをもっと練習したいです。今日はノーボギーでしたが、バーディーを取るよりも価値があると思っています。明日もそういうゴルフを続けられればと思います」

 

小祝 さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(8位タイ:-3)
 「難しいインコースでスコアを伸ばすことができた。とてもいいスタートだったと思います。ただ、後半になると、グリーンの読みがいまひとつの感じだった。でも、ショットの精度がいい。良い意味で、あすからはなるようになるでしょう。
 プレーをして、改めてラフは要注意でした。どうせ、曲げるならしっかりと…。少し曲がった時はやっかい。第1打は特に集中力を高めていく」


渡邉 彩香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

渡邉 彩香(8位タイ:-3)
 「ティーショットが荒れている中でいいプレーができたと思います。13番のイーグルは220ヤードの第2打をグリーン手前30ヤードまで運んで入れました。明日はもうちょっとティーショットが安定してくると、もっとチャンスを作れるかなと。このティーショットでこのスコアで回れたのはかなり良かったです。最終的に2ケタアンダーには届かせたいので、残り3日間で7つ伸ばせるといいですね」


竹田 麗央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

竹田 麗央(17位タイ:-2)
 「ノーボギーラウンドのプレーが、きょう良かったポイント。でも、チャンスをつくってもバーディーパットがショート気味でした。そういうところがちょっと残念。対照的に、微妙な感じのパーセーブができたりして…。あすは、ひとつでも多くバーディーをカップインさせる気持ちでいきましょう。
 ショットは風の中の距離感が、つかめない感じだった。そのせいか、アイアンショットがいまひとつ。あしたはしっかり修正します」


青木 瀬令奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

青木 瀬令奈(25位タイ:-1)
 「朝の練習場、きょうはゴルフになるのかなぁ…というぐらい調子が悪い。もう気持ちで何とかするしかないと腹をくくってのスタートでした。
 そのおかげで前半、いい内容のバーディーが来た。それと比較すると後半はギアを入れ直してようやく、というところかなぁ。それでもアンダーパーでプレーできた。第2日以降、カギはパッティングでしょう。きょうはタッチが合わなかった感じがする。日に日に良くなるように、しっかり調整します」


櫻井 心那<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

櫻井 心那(62位タイ:+1) ※ディフェンディングチャンピオン
 「2番でバーディースタートを切れたことは良かった。でも1Wショットがいまひとつ…。チャンスをつくることができなかった。耐えて、耐えてパーセーブを-そんな一日でした。今、課題としているのはショートゲーム。少しずつ、試合で成果は出てきた。ナイスパーもいくつかあったし、あすはバーディーチャンスを呼び込む流れをつくれたいなぁ」