高橋彩華、ショット力で7アンダー首位

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第17戦『アース・モンダミンカップ』(賞金総額3億円/優勝賞金5400万円)大会第1日が6月20日、千葉県袖ケ浦市・カメリアヒルズ・カントリークラブ(6688ヤード/パー72)で行われた。今季好調の高橋彩華が65をマークし、7アンダーで首位に立つ。1打差の6アンダー、2位に天本ハルカ。2打差の5アンダー、3位に金澤志奈。
(天候:曇り 気温:26.6℃ 風速:2.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:24~25mm》

 

 過去6回出場し、予選通過が2回、最高位が26位タイと決して今大会とは相性の良くなかった高橋彩華。今年は第1日からいきなり爆発して7アンダーの首位発進だ。一体、何が高橋に起こったのだろうか。

 

 「今日は8つのバーディーを奪いましたが、どれもショットがバーディーチャンスについたからだと思います」。高橋にとって、過去の大会ではティーショットが鬼門だった。開催コースはフェアウェイを外すと深いラフにつかまるため、できれば曲げたくないという気持が強かった。それがプレッシャーとなり、自分のスイングができず、逆に大きく曲げてしまったというのだ。

 しかし、今年はあえて最初からネガティブに考えるようにした。「どうせ曲がるんだろうと思って打ったら、こういう結果に」。ノンプレッシャーでのショットが功を奏した。

 

 ただ、好スコアの要因はメンタル面だけではない。ショットの精度を高める努力もしっかりと継続していた。その一つがトレーニングだ。「どんな動きをしてもブレない体幹をつくることをテーマにしています」というように、バランスのいい強い体を目指している。

 

 バランスをアップするには力を入れにくい箇所を鍛えなければならない。高橋にとって、それは右サイドの筋肉だった。「右サイドが弱いと、ダウンスイングで体の軸が右に傾くので、打点がズレます。ダフリやスライス、引っかけの原因にもなるので、そこを強化しました」。まだ理想の体には5割程度しか近づいていないが、以前よりも自信を持ってクラブを振れるようになったことは確かだ。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 高橋が強い体を求めるには他にも理由がある。昨年から今年にかけて、韓国人選手と同組で回ることが多く、その際に彼女たちが放つ4番アイアンでのショットに衝撃を受けたという。

 

 「私がユーティリティーで打った球よりも高いんですよ。『うわーっ、私も4番アイアンでああいう球を打ちたいな』と心から思いました」。具体的にどれだけ高いのかは語らなかったが、男子プロ並みの高弾道に感じたようだ。そのためには、インパクトでの強いパンチ力が必要となると考え、それがトレーニング開始の合図となった。

 

 「体が完璧に仕上がったら、私はサイボーグになれますよ」。狙ったところにボールを落とす、正確無比なショットを武器にできると高橋は信じる。完成途中ではあるが、今季はトップテンの回数が9回と安定しているだけに、2年ぶりのツアー優勝も時間の問題だろう。

 

以下、各選手のコメント

天本 ハルカ<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

天本 ハルカ(2位タイ:-6)
 「初優勝してからの違いは毎試合、プロアマへ出場。すごく張り切ってしまい、スタートでこけちゃうこともあります。私は元々、静かに練習をしてモードへ入ることがスタイル。それだけに、今回は地味に-と言い聞かせ第1日を迎えました。やはり、これがいい。
 最近はショットがいまひとつで、特に前週はパッティングでも苦しんだ。きのうコーチに指導を受け、ようやく気持ち悪さが解消した。きょう、何が良かったかといえば、プレッシャーをかけなかったからかなぁ。楽な気持ちでワンプレーへ集中。
 ショット、パッティングともに上向いてきた感触を得た。これで行きましょう」


金澤 志奈<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

金澤 志奈(3位タイ:-5)
 「序盤、第1打の精度がいまひとつだったけど、得意のショートゲームとパッティングでカバー。粘り強いプレーができた。我慢を続けたおかげで中盤からチャンスが来た感じがします。
 課題はスコアが伸びる展開になった時。ものすごいスコアが出るタイプではないから、ショットの精度を磨くために日々、たくさん練習をしている。ただし、これから夏場へかけては体力勝負。練習ラウンドを減らし、ドライビングレンジでボールをたくさん打つようにしようか、と考えている。
 残り3日間。先は結構、長い。テーマはボギー数をなるべく少なくすること。第1打がカギになりそうですから1Wを修正します」


野澤 真央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

野澤 真央(4位タイ:-4)
 「ショットの感覚は悪くはなかったです。9番は(ティーショットが)ギリギリで池に入るかと-。バーディーパットは届けばいいやと思って打ったら、入りました。8番・パー5のボギーはジャッジミス。第3打をラフへ入れてしまった。
 第1日から出遅れないようにしたかった。ここから優勝争いをしていきたい」


藤田 さいき<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

藤田 さいき(4位タイ:-4)
 「後半、パー5で(バーディーが)取れてよかったです。(コースは)いいコンディション。ラフに入ると難しいので、フェアウェイをキープしなければいけません。(18番は)第3打を狙う感じが、今までとは違う。いいところへ付けられればバーディーチャンスがある。
 あすは早いスタートです。風がどうなるのか分かりませんが、伸ばせるように頑張ります」


仲宗根 澄香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

仲宗根 澄香(4位タイ:-4)
 「久しぶりのノーボギーラウンド。それに、今シーズン初の60台が出せてうれしいです。(今シーズンは)いろんなことがかみ合っていませんでした。(明日は)1ショットを意識しすぎず、目の前の1打に集中していきたい」


原 英莉花<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

原 英莉花(4位タイ:-4)
 「1Wのショットが安定し、パッティングがすごく良くなった。特に終盤、上がり3ホールは上位との差を縮める、と気合が入って…。そのおかげか、16番第1打が抜群の手応えでした。さらにピン手前から6メートルのバーディーが決まって、最終18番は下りの3.5メートルをカップインし、バーディーフィニッシュです。
 前週までマレットタイプのパターを使っていたけど、スライスラインでひっかけたりするなど、ミスがあったから今大会はピン型へ戻した。60台のスコアが気持ちの良いプレーでマークできたことが大きいです。
 第2日もしっかりクラブを振り切る。パッティングでは、考えた通りのところへ打ち出すことを忘れずに行きます」


大林 奈央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

大林 奈央(9位タイ:-3)
 「今季、初めて60台でプレーできてホッとしています。危ないところも少なく、バーディーを逃していましたが、バーディーも取れて、安全にプレーができました。コースに苦手意識がありましたが、スコアは昨年よりも成長を感じられた。最初(6番)のバーディーは6メートルの下りがラインに乗って入った。そこで取れて自信になりました。
 あすもやることは変わりません。あすはあすのゴルフをしっかりやりたい」

 

臼井 麗香<Photo:Yoshimasa Nakano/Gettymages>

 

臼井 麗香(9位タイ:-3)
「2番が4メートル、4番ではピン手前から10メートルのバーディーが決まった。でも、8番はちょっともったいない内容でボギーが…。ガマンをしながら、良い流れが来るのを待った。終盤の3ホールで2バーディー。パー5の18番、58度で残り55ヤードの第3打で、ピン10センチでした。気持ちが良いフィニッシュ。
 (キャディーの)片山(晋呉)さんは、ポジティブなアドバイスをたくさんいただきました。じゃんけんのような確率とか、とにかくコースを広く使って-など、おかげさまでプレーがとてもしやすかったです。
 そういう意味で、あす以降、楽しみがたくさんある。アイアンショットの調子が上がっているし…。でも、油断はできません。コースの怖さを知っているからです」


沖 せいら<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

沖 せいら(9位タイ:-3)
 「きょうは長いパッティングが入っていたので、良かったです。今シーズンは思ったような成績が出せず、ようやくここ2-3試合で感覚が戻ってきた。生かせるチャンスは生かしていきたい。
 (明日以降)今のプレーを続けていけば、いい位置へ行けると思います。ボギーの数をいかに減らしていけるかを考えて、頑張っていきたい」


金田 久美子<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

金田 久美子(9位タイ:-3)
「前半、11番で1メートルのパーセーブに失敗。ちょっとイヤな感じでしたけど、13番で12メートルのバーディーパットが決まった。良かったです。課題は1Wの精度。フェアウェイキープができれば、チャンスが多い。ラフへ入れると、パーセーブが精いっぱいのホールもたくさん…。
 コースとの相性はいいと感じますけど、得意とは思わないでワンプレーへ集中します」


髙木 優奈<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

髙木 優奈(21位タイ:-2)
 「最終18番のボギーは悔しい。それ以外はいいゴルフができました。後半、14番のパー5でピンチ。第4打、残り75ヤードをバンカーからパーが取れてよかったです。第1日にしてはまずまず。(明日以降)バーディーをたくさん取りたい。ホールインワンも-。残り12回のチャンスをものにしたいです」


イ ミニョン<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

イ ミニョン(21位タイ:-2)
 「きょうのプレー前はショットの調子がすごく悪くて、プレーしない方がいい感じでした。自信もなかった。きょうは自分のやるべきことに集中しようと思い、最後まで頑張りました。
スコアは大満足。信じられないくらいです。(明日)自分のゴルフには課題が多い。それだに集中します」


小祝 さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(21位タイ:-2)
「10番スタートの前半、ショットの調子は良かったけど、なかなかバーディーパットが決まらない。何かダラダラと行ってしまったような…。それだけに、後半はノーボギーだったし、チャンスもある程度は決めることができた。
 第2日は挽回したい。課題はパッティングです」


佐久間 朱莉<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 

佐久間 朱莉(37位タイ:-1)
 「前半はショットがよくなかったのですが、8番でバーディーが取れてからよくなりました。6番のボギーは3パット。もったいなかったです。全体的にバーディーチャンスが少なかった。(明日は)午後スタートです。風が出てくると思うので、しっかりと対策したい」