父の日は岩井明愛 大逆転で今季2勝目

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第16戦『ニチレイレディス』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が6月15日、千葉県千葉市・袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(6,584ヤード/パー72)で行われ、岩井明愛が大逆転。64をマークし、通算13アンダーで今季2勝目、通算5勝目を飾った。1打差の12アンダー、2位タイは佐久間朱莉、小祝さくら。竹田麗央が通算11アンダー、4位だった。
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《グリーン=スティンプ:11 1/4フィート コンパクション:23mm》

 

 最終日の展開は、ザ・ワクワク・ドキドキ。最後の最後まで誰が優勝するのかがわからない、大会史上に残る大激戦だった。接戦をモノにした岩井明愛は、「めちゃくちゃ楽しかった」と、興奮を隠せない。

 

 それにしても、見事な逆転劇だ。プロ冥利に尽きる一日となった。勝負を賭けた最終18番。「同組の(小祝)さくらさんが2オン。バーディーは確定したようなものでした。イーグルもある。だから、私は絶対にバーディーを決めなくてはいけない」。結果はウイニングパットとなったが、ピンから3メートルのパッティングに全身全霊を込めた。スライスラインをしっかり読み、しかも気迫がみなぎる。「強気で打った」。バーディーを決める。

 

 3打差を追いかけ、5位タイからスタート。7番からの4連続バーディーでV争いに加わった。そして、13番で首位へ並ぶ。同組でプレーする小祝も好調。それだけに16番、グリーン右手前バンカーからの第3打が、強烈なインパクトを与えた。ショットインバーディーの離れ業。「とにかく、素晴らしかった。終盤、私もいいプレーをしたけど、明愛さんは完ぺきです」と、小祝が絶賛するほどのスーパーテクニックを惜しみなく披露した。

 

 3連続バーディーフィニッシュで最終組の行方を見守っている。が、1ストロークのアドバンテージは揺るがなかった。ところが、前日まで絶好調には、ほど遠いムード。しきりに、「スイングで気持ち悪さが残って・・・」と首をひねっていたのだ。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 2週前、全米女子オープン時から「バックスイングにかけて、違和感が残る。それを矯正するため、今回はテークバックからダウンスイングをより注意しながら、素振りをするルーティンを加えた。今まではスッと打っていたけど、きょうはかなり意識しながらです」と、試合中の修正力もアピール。

 

 というのは、「まさか、優勝するなんて思ってもいなかったし、きょうの父の日だから、思い出に残るようなワンショットができればと考えた」そうだ。ちなみに、そのベストショットは「12番、第2打です」と振り返った。己を取り戻すことができたといえるだろう。

 

 さらに、威力を発揮したのはパッティング。「カップをオーバーするようなストロークをしたい。練習ではできても、試合で実践できないと意味がありません。きょうはそんなストロークができた」と、満足そうにひとつ頷いた。

 

 母の日は妹の千怜がV。ツアーへ帯同する両親へ、この日も最高のギフトを贈った。「アマチュアの頃から、父は笑顔でプレーを心がけろ。そして、プレーを存分に楽しめと毎回、送り出してくれました」。次週は全米プロ選手権へ姉妹で挑戦する。鉄は熱いうちに打て-とばかりに、優勝の喜びに浸る暇もなく、コースから空港へ直行した。

 

以下、各選手のコメント

佐久間朱莉<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

佐久間 朱莉(2位タイ:-12)
 「やっぱり悔しい。勝てなかった思いもありますが、でも、最終日にいいゴルフをできての2位。その点では良かったと思います。(7番から4連続バーディーは)ショットもパッティングも噛み合って、特に8番のパッティングが入ったのが大きかった。そこまでずっと打ち切れなくて、弱くて入らないミスが多かったが、あそこはすごくしっかりとしたタッチを出せた。気持ちを奮い立たせることができました。そこはすごく支えてくれたバーディーでした」


小祝さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(2位タイ:-12)
 「(優勝を意識したのは)後半の途中からです。それまではとりあえず1つでもスコアを伸ばせるようにとやっていました。途中でスコアボードを見た時、2打差ぐらいあったので、ここから取れるホールは取りたいと、メリハリがはっきりしていた。(雨が降った影響で)ちょっとグリーンが止まりやすくなりましたが、スピードは変わらなかったです。 今年は複数回優勝が目標。もう1勝したいですね」


竹田麗央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

竹田 麗央(4位:-11)
 「セカンドショットがあまり付かなかった。イメージは良かったのですが、打った球がイメージと違う球がでていたので・・・。でも最後の方は、イメージ通りの球を打てていました。次戦が始まるまでにショットを修正したいです。ちょっとタイミングが早い気がします」

 

山下美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(5位タイ:-10)
 「(ショットは)まあまあだったと思います。よくはなっています。(次戦は全米女子プロ)メジャーでしっかり成績を出せるように頑張りたい。出発はきょうです」


河本結<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

河本 結(7位:-9)
 「前半はショット、パッティングともにすごく良かった。とりわけ、パッティングはボールをまっすぐに打ち出すことがテーマ。その成果が出たと感じた。それだけに、後半はちょっと悔しい。12番、4メートルのバーディーチャンスだったけど、決めきれなかった。結果はノーボギーラウンドでも、パッティングで切れるラインの対応など悔しいより、新たな課題を発見。勉強になりました」


イナリ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

イ ナリ(10位タイ:-7)
 「ここは、結構好きなコースだったので、ウェイティングで試合に出場できたのは本当にラッキーでした。そのラッキーを活かしながら、いい成績で終わりたいという気持ちはありました。トップ10に入れて、リランキングも31位まで上げられた。本当によかったです。ここまでうまくいかず、ちょっと悔しい気持ちもありましたが、今週、結果を残せました。今後は気持ちを切り替えて試合に臨めると思います」


岩井千怜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 千怜(21位タイ:-5)
 「アメリカに行く前に納得のいく終わり方はできました。次週につながりそうなゴルフができたなっていう感じですね。海外での試合も増えてきましたが、2月のホンダLPGAタイランドで13位に入れたのが、自信につながっています。次週の全米女子プロは、全米女子オープンの19位よりいい順位で上がれるように頑張ってきます」