笑顔満開の河本結、最終日は楽しむことを優先

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第12戦『ブリヂストンレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会第3日が5月18日、千葉県千葉市・袖ヶ浦カンツリークラブ袖ヶ浦コース(6,731ヤード/パー72)で行われた。5月にしては強い日差しに見舞われたこの日、復活を目指す河本結が通算11アンダーで単独首位に立つ。1打差の通算10アンダー、単独2位には今季3勝目を狙う竹田麗央。通算8アンダーの単独3位山下美夢有がつけている。
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《グリーン=スティンプ:12 1/3フィート コンパクション:23.5mm》

 

 19年のアクサレディスin宮崎でツアー初優勝を飾り、賞金ランキング6位となった河本結。翌年は米女子ツアーに参戦したが、思うような結果を残せずに帰国。JLPGAツアーに戦いの場を戻した。しかし、なかなか上位に食い込む機会は少なく、23年は31試合に出場し、予選通過が12試合しかなかった。それでも、河本の視線は前を向いていた。

 

 「2年前からパッティングのコーチに教わっていますが、イメージどおりのパッティングをできるまで2、3年はかかるといわれていたんです。それがようやく実を結んできたかなと」。先行きの見えない中で不安を抱えていたのではなく、必ず良くなると信じられるものがあったからこそ前を向けたのだ。実際は昨年の終盤からパッティングは良くなり始めていたが、ショットの精度が高くなかったため、パーオンの回数が少なく、スコアに結びつかなかった。しかし、今年に入ってショットの精度が上がってきたことで、成績に結びついてきたというわけだ。

 

 実際、今季は前週まで11試合に出場し、トップテンにも5回入っている。パッティングも昨年はパーオンホールでの平均パット数が1.8263(60位)だったのが、今年は1.7577(3位)まで上がっている。もちろん、ストロークだけでなく、河本なりにも工夫を加えている。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 ここ数年の傾向として、パッティングの際に、カップに正対して自分のラインをまたぎ、傾斜を計る選手は多い。河本も同じようにラインをまたぐが、同じ位置でカップに背を向けてラインをまたぐようにしている。「ラウンドしていくうちに体が疲れてくると、右足に体重が多く残ったりすることに気がついたんです。その状態で傾斜を計っても正確じゃないなと。体の向きを変えれば、その誤差もなくなるかと思って始めました」。この日も同様にラインを読んだ結果、26パットに収めた。5バーディーを奪っただけじゃなく、5番パー3ではカラーから5メートルのパーパットを沈めるなど、数ホールでピンチを切り抜けるパッティングを見せた。

 

 今大会では“頑張らない”ことをテーマにラウンドしてきた河本。65をマークした第1日も、72で回った第2日も、そして68の第3日もいい意味で頑張らなかった。最終日も同じように頑張らないつもりだ。「とにかく目の前のやるべきことに集中してやるだけです。頑張らないで普通に楽しく1日プレーしたいです」。この日も終始笑顔を見せてラウンドしていた河本。ようやく優勝争いをできるレベルに戻ってきた喜びを味わっているようにも見えた。最終日を最終組でラウンドするのは2年ぶりとなるが、大勢のギャラリーの前でプレーできることを幸せだとかみしめながら回るに違いない。

 

以下、各選手のコメント

山下美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(3位:-8)
 「7番のバーディーはすごく良かった。距離は9メートルぐらい。上って、下ってのスライスライン。ただ、パッティングはまずまずという感じでしょうか。もっと、スコアを伸ばして最終日へ、と考えていたけど、第1打がちょっとブレていた。セットアップがほんの少し、ズレていたのかもしれない。
 あす、大切なことはスコアを伸ばすことでしょう。そのために、しっかりとノーボギーでプレーしなければならない。今回も最終日は、最終組でプレーできる。期待に応えたいですね」


リハナ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

リ ハナ(4位タイ:-7)
 「きょうはパーオンするホールが増えた。それがスコアへ反映されている。ノーボギーのラウンドも良かった。久しぶりの上位争い。結果以上に大切なことは、私のペースでプレーをすること。1打集中です」


高橋彩華<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

高橋 彩華(5位タイ:-6)
 「最終日は今日ぐらいにショットが安定していて、ミドルパットがもう少し入ってくれたなら、チャンスはあるかなと思います。スコア的には66ぐらいを目標にしたいですね。今日はティーイングエリアが前方から定位置に全て戻ったし、風向きも読みにくかったので、全体的にスコアが伸びなかったんだと思います。私の場合、昨日まではフェアウェイにボールを置こうとしてスイングが小さくなっていましたが、今日は開き直って振り抜くことを心がけたら、ショットの精度もよくなり、飛距離も出ました。明日もこの調子でいきたいです」


藤田かれん<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

藤田 かれん(5位タイ:-6)
 「このコースは伸ばし合いになる可能性は低いと思うので、明日はドライバーショットでしっかりとフェアウェイをキープしてスコアを落とさないようにしたいです。その上でパー5ではバーディーをしっかり取っていけば、チャンスはあるかなと。あとは、緊張しないことですね。やっぱり一度2位になったことで、どうしてもその上を目指したくなると言いますか、今日は久々にいい位置で回ったことで自らにプレッシャーをかけてしまいました。そこは反省点にしたいですね」

 

髙木優奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

髙木 優奈(5位タイ:-6)
 「初めての最終組。特に緊張をせずに落ち着いて、しっかりできたと思う。ただ、アプローチの精度が全体で悪かった。当たりがいまひとつ。これから修正します。最終日はとにかく、丁寧にプレーを心がける。トップと5打差ですけど、ベストをつくします」


福田真未<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

福田 真未(8位タイ:-5)
 「スタートで2メートルのパーセーブ。結構、難しかった。ただ、私としてはすごく気持ちが楽になった。おかげで、第1打が安定。2番からの3連続バーディーはうれしい。特に距離がある490ヤードのパー5、2番のバーディーが大きいです。今季は気持ちを楽にしてプレーしている。ただ、バーディーとボギーが紙一重のコースですから、攻守のメリハリを明確にします」


吉田優利<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

吉田 優利(33位タイ:+1)
 「グリーンが時間を追うごとに乾いてきて、スピードが速くなっている。とてもタフな状況です。今週末、すごくお客さまが足を運んでくださっている。とてもうれしい。ただ、ベストを尽くしてはいるけど、スコアにはつながらない。あすは、もっと良いプレーをお届けできたら-と思います」