「最終的にはパッティングが決め手」2年連続女王・美夢有が今季初勝利へ王手

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第11戦『RKB×三井松島レディス』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会第2日が5月11日、福岡県福岡市・福岡カンツリー倶楽部 和白コース(6,305ヤード/パー72)で行われた。この日も絶好のコンディション。大混戦となった。通算7アンダーの首位グループは、連覇を目指す岩井千怜、好調が続く佐久間朱莉、山下美夢有が形成。2打差の通算5アンダー、4位タイから高橋彩華、菊地絵理香、桑木志帆、菅沼菜々、小祝さくらが逆転を狙う。
(天候:晴れ 気温:25.3℃ 風速:8.8m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:23.5mm》

 

 2年連続年間女王が開幕から8戦して、いまだ勝てていないと聞くと、どうしても周囲の目には「不調」と映ってしまう。しかし、この日もコーチ役を兼ね全18ホールを通して山下を見守った父の勝臣さんは、「調子が悪いとは思っていません。パッティングがほんの一筋、違うだけだと思います」と首を横に振る。

 

 確かに、一昨年も初勝利は開幕から9試合目。昨年も6試合目の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで、しかも2日間36ホールの短縮競技だった。例年でも山下が無類の強さを発揮し始めるのは、これからの時期なのである。

 

 高低差の激しい難コースに加え、この日は風も強く吹き各選手を悩ませた。山下は「もう少しチャンスに付けるショットを打ちたかったのですが、風の向きがわかりにくいところもあって、縦距離が合いませんでした」と振り返る。

 

 それでも3バーディー、ノーボギーで首位タイに立てたのは、課題としていたパッティングのお陰だった。13番・パー4の第2打は、ピンまで125ヤードでPWを振った瞬間、クラブから右手を離してしまったほど不本意なショットだったが、8メートルの長いバーディーパットをねじ込んだ。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 最終日は雨予報。「雨が降り、コースセッティングも含めて、明日はまたガラリと変わると思います。最終的にはパッティングが決め手かなと思います」と山下は分析する。勝臣さんも「ロングパットは良かったですが、17、18番のバーディーパットを外したように、3-4メートルが入っていませんでした。これから修正します」と、ホールアウト後に連れだってパッティング練習場へ向かった。

 

 昨年のこの大会では、岩井明愛・千怜の双子姉妹と3人のプレーオフにもつれ込み、2ホール目で岩井千に敗れた。山下の抜群の技術が、「直ドラ」でグリーンを狙う岩井ツインズのパワーに圧倒された印象。悔し涙を流した山下のショックは極めて大きいように見えたが、どっこい翌週のブリヂストンレディス、翌々週のリゾートトラスト レディスで連続優勝し、一気に上昇カーブを描くきっかけにもなった。

 

 因縁の岩井千、1歳下の佐久間朱莉と首位に並んでスタートする最終日。「(優勝したい)気持ちはみんな同じだと思うので、1打1打に集中して頑張ります」とボルテージを上げた。今季初勝利をリベンジとともに果たすつもりだ。

 

以下、各選手のコメント

岩井千怜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 千怜(1位タイ:-7)
 「最終日のために17、18番でバーディーをとりたかった。なかなか思い通りにはいかない。自分を追い込み、必死にプレーしたけど残念…。ただ、スコアを伸ばすことができたし、ノーボギーのラウンドは良かったと思います。
 きょうはプレーが安定していて、ピンチはあまりなかった。また、ショートゲームの精度が今大会は上がっている。連覇は狙っているけど出場する大会は、優勝-と気持ち。あすも全力でプレーします」


高橋彩華<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

高橋 彩華(4位タイ:-5)
 「きょう良かったことは第1打の精度。きのうは林へ何度かボールが打ち込んで大変でした。おかげでフェアウェイからピンを狙うショットを打てると、バーディーチャンスが増えますね。ただ、私の感覚ではスイングがちょっと遅すぎるような…。でも、動画撮影すると、ちょうどいいのが不思議です。
 あすは母の日。ようやく、すべてのクラブがまとまってきたように思う。優勝したい。きょうのようなプレーができれば、チャンスはありそうですね。ただ、天気予報は下り坂ということですけど…」


菊地絵理香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

菊地 絵理香(4位タイ:-5)
 「アップダウンの激しいコース。セカンドで距離感を合わせることが難しかったです。それにきょうは風の影響も大きかったですが、その中で、ノーボギーで回れたことは良かったと思います。高低差を攻略するうえで大事なことはセカンドショットをいかにフェアウェイから打つか。あすは若い選手もどんどんスコアを伸ばしてくると思うので、しっかりと伸ばせるように頑張ります」


菅沼菜々<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

菅沼 菜々(4位タイ:-5)
 「きょう一日、パッティングもショットもいい感覚ではありませんでしたが、調子が良くないなかでは、まずまずだったかなぁ…。あす、天候が悪いことが予想されるので、トップに並んでおきたかった。最終ホールでのボギーは残念です。今シーズンの初優勝はあまり気にしていません。調子が悪いなりに上位でフィニッシュできているので、この調子で頑張りたいです」


小祝さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(4位タイ:-5)
 「最終ホールのバーディーはすごくうれしい。でも、17番は距離が短いから、狙っていました。ボギーにしたことが残念。後半は、いいプレーができなかったことが反省材料です。
 最終日の予報は雨。距離感が変化するので、精度が第一。これから即、修正します」