森田遥、鈴木愛、小祝さくらが首位スタート

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第11戦『RKB×三井松島レディス』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)が5月10日、福岡県福岡市・福岡カンツリー倶楽部 和白コース(6,305ヤード/パー72)で開幕した。本格的なゴルフシーズンを迎え、好調な選手が数多い。大会第1日から大混戦となった。首位の5アンダーは森田遥、鈴木愛、小祝さくら。1打差の4アンダー、4位タイへ篠原まりあ、上田桃子、菅沼菜々、川岸史果、山下美夢有がつけている。大会連覇を狙う岩井千怜は3アンダー、9位タイ。
(天候:晴れ 気温:25℃ 風速:4.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:23.5mm》

 

 気分一心、早速前週のリベンジを果たそうとしている。小祝さくらが6バーディー、1ボギーで首位タイ発進。「パターを替えたお陰でしょうか。微妙な距離のミドルパット、ショートパットがよく入ってくれました」と口元を綻ばせた。

 

 ヤマハレディースオープン葛城を制するなど、好調なシーズンを送っていたが、今季初の公式競技である前週の「ワールドレディスサロンパスカップ」で78、72を叩き、予選落ちした。60台のラウンド数が、JLPGAツアー今季最多タイの14(10日現在)に上る小祝だけに、「公式競技でしたし、予選落ちだけはしたくなかったのが本音です」とショックを受けた。

 

 気分転換のために向かった先はなんと、東京の神宮球場から程近いバッティングセンターだった。「結構、何度も行っていますよ。球速90キロに挑戦して、しっかり当たりました」と明かす。オリックス・バファローズのイケメン右腕・山崎颯一郎投手のファンだそうで、「本当は山崎投手が投げる映像で打ちたかったのですが、そういうものはありませんでした」と屈託のない笑顔を浮かべた。

 

 さらに週明けの6日には、東京ドームで行われたボクシング世界王者・井上尚弥の防衛戦を、リングサイドの2列目で観戦。ボクシング観戦は初めてで、「想像していたのより100倍面白かったです。感動しました。改めてスポーツの影響力って、すごいなと思いました」と、いまだ興奮冷めやらず、といった表情だ。一流のスポーツ選手とはこのように視野が広く、他競技からも刺激やヒントを得られるものなのかもしれない。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 もちろん、入れ替えたのは気分だけではなかった。パターの長さを前週に比べて1.5インチ短くし、グリップを細くして、「打球の初速が出るタイプ」に変えた。グリーンが重くなることを想定し、「前週もパッティングがショート気味だったので、振りを速くした方がいい」という計算があった。

 

 前半9ホールを3バーディー、1ボギーとして勢いに乗ると、12番パー3で125ヤードのティーショットを9Iで2メートルに付けてバーディー。14番パー4では4メートル、17番パー4では2メートルのバーディーパットを確実に沈め、首位をとらえた。

 

 ショットも悪くなかったように見えたが、本人は「いいえ、アイアンがいまひとつです。今日は大きいミスがなかったから良かったですが、思った通りの球を打てていません。意図しないドローが出てしまったりして、安定感がありません」と首を横に振る。理想の状態からはまだまだ遠いようだ。

 

 だが、「まだ第1日が終わったばかり。あすが重要になる」と気を引き締めた。五月に入ってもさくらのシーズンは終わらない。

 

以下、各選手のコメント

森田遥<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

森田 遥(1位タイ:-5)※香川県出身
 「序盤、それほど調子がいいとは思わなかったけど、粘って、粘ってボギーを叩かないことを目標に。6番はミスが重なり、3メートルのパーセーブが残ったけど、何とかボギーを叩かずに済みました。そうすると、流れが来てバーディーが5つ。プレー全体がよくまとまってきた。この調子、勢いを大切に残り2日間、スコアを伸ばしたい。アップダウンが激しく、ロケーションに惑わされないように注意します」


鈴木愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

鈴木 愛(1位タイ:-5)※徳島県出身
 「ショットの精度が安定している。ショートゲーム、パッティングもまずまずで80点の一日でした。特にあすはグリーンがよりカタくなりそうな感じがする。そういったことを想定して、少し修正をしましょう。コースとの相性はいいけど、優勝できるかはわからない。ひとつだけいえることは、他の選手より多くのバーディーチャンスをつくることができるか、ですよ」


篠原まりあ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

篠原 まりあ(4位タイ:-4)※大分県出身
 「久しぶりに60台で回れてうれしいです。きょうはストレスのないゴルフができました。距離も短く、傾斜の攻略ができてパーオンできたので、楽でした。(後半、2連続バーディー)1番はパー5なので、狙っていました。2番はいいショットで、あと10センチでホールインワン。楽々バーディーが取れました。8番は長いホールで、第2打を手前に外して、難しいアプローチが残りましたが、パーセーブできた。流れを止めなくて良かったです。(九州の試合で)いい成績が残せていません。応援も多いので、いいスコアを出したい」


上田桃子<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

上田 桃子(4位タイ:-4)※熊本県出身
 「9番、イーグルの第2打は残り125ヤードをPWです。7ヤード手前にボールが落下して、カップインらしい。難しいホールのひとつだから、本当にラッキーですね。それだけに、後半はもう少しスコアを伸ばしたかったけど、グリーンがカタくなって、なかなか思い通りにはいかなかった。
 ただ、ショットが良くなってきた手応えはある。もうワンプレーを丁寧にやるしかありません。そうはいっても、最終日の天候があやしいらしいです。あす、頑張っておかないといけません。12日は母の日。良いプレーを披露して、喜んでもらうことが何よりのプレゼントでしょうね」

 

川岸史果<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

川岸 史果(4位タイ:-4)※神奈川県出身
 「後半、6ホール目までパーがなくて、ソワソワしていました。ボギー3つが痛いです。一緒にプレーしていた鈴木愛さんが歴代優勝者。グリーンの転がりが良かったので、参考になりました。(午後は)グリーンがだんだん固くなっていきます。そういうところは難しかったです。(明日以降)やはりバーディー合戦になっていくと思います。ボギーを減らして、バーディーを取れるように頑張りたい」


山下美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(4位タイ:-4)※大阪府出身
 「16番…。最悪のところへ行ってしまった。ライが悪い。ボールがグリーン右サイドのバンカーのアゴに当たり、グリーンへは乗ったものの15メートルもあった。さらにラインが読めずに3パットのダブルボギーです。17番でひとつ取り返せたけど、仕方がない。でも、ショット、パッティングともに良い感じでした。欲張らずに淡々とプレーをする。あすのテーマにします」


藤本愛菜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

藤本 愛菜(9位タイ:-3)※アマチュア、福岡県出身
 「少しだけ、緊張した。前回のフンドーキンレディースでは、持ち味を発揮することなく終わったことが残念…。練習はもちろんですけど、今回は辻村コーチへお願いして、キャディーをやっていただきました。プレー中のイメージの出し方や、改善点を試合でできているかなど、スコアよりも貴重な経験です。あすも全力でプレーすることを心がけます」


岩井千怜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 千怜(9位タイ:-3)※埼玉県出身
 「いいスタートが切れた。ショット、パッティングの精度は良好です。最終ホール、第2打はちょっと悩んだけど、皆さんの期待にお応えして直ドラを。いい当たりでした。おかげでバーディーフィニッシュを。あすのポイントは風が難しいから、第2打のクラブ選択です」

 

後藤未有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

後藤 未有(36位タイ:-1)※福岡県出身
 「バーディーチャンスは結構、あったけど、2.5メートルぐらいのパッティングが決まらない。きょうと、あすの朝、しっかり調整する。コースはジュニアの頃から、慣れ親しんできた。でも、難しい。戦略性が高く、なかなか攻略するまでにはいきません。もっとも、そこがおもしろいところ。今度こそ-の意気込みです」


天本ハルカ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

天本 ハルカ(91位タイ:+4)※福岡県出身
 「スタートホールから、地元の皆さんがたくさん声援をいただいた。序盤は、まずまずのプレーだったけど、途中から迷いがショットに出て…。あすは心機一転。あせらずにプレーすれば、チャンスは来る。よく知っているコース。しっかりと巻き返したい」


竹田麗央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

竹田 麗央(91位タイ:+4)※熊本県出身
 「ひとことでいえば、耐える力がきょうはなかった。ちょっとしたことでも、ミスが重なると、どんどん流れまで悪くなる。3パットが2回も…。熊本から応援に駆けつけてくださった人もたくさんいます。これから特にパッティングを修正し、あすはバーディーを積み上げるしか手がない」


岩井明愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 明愛(91位タイ:+4)※埼玉県出身
 「きょうは、ちょっと言葉にならない。第2打の距離感が合っておらず、アプローチもミスが多かった。いいプレーをしてギャラリーの皆さんへ楽しんでもらうことができず、本当に悔しい。少し練習してあすへ備えます」