竹田麗央-故郷で待望のツアー初V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第7戦『KKT杯バンテリンレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が4月14日、熊本県菊陽町・熊本空港カントリークラブ(6,518ヤード/パー72)で行われ、竹田麗央が逆転でJLPGAツアー初優勝を飾った。首位から3打差を追いかけスタート。3バーディー、1ボギーの通算7アンダーで難コースを攻略した。地元・熊本県出身の優勝は11年、不動裕理以来の快挙。2打差の通算5アンダー、2位タイは鶴岡果恋、イミニョン、鈴木愛が入った。
(天候:晴れ 気温:25.4℃ 風速:1.7m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/4フィート コンパクション:24.5mm》

 

 熊本はリオのカーニバル。3位タイからスタートした竹田麗央が3打差を跳ね返し、ついにJLPGAツアー初優勝を成し遂げた。

 

 「すごくうれしい。もう、うれしいばかりで涙が出てこなかった」と、大まじめに語っている。今季、最終日、最終組は4回目。しかも、今大会は故郷の熊本で大一番である。

 

 小学1年生から今大会を観戦し、いつかはここで優勝-という一途な願いが結実。その雄姿はこれまでみたことがないほど、気迫に満ちていた。

 

 ターニングポイントとなったのは15番。13番で首位に立った。だが、楽な優勝などない。第2打は目土をした砂の真ん中に。「クラブが強めに入った。ミスショットです」という。打球はグリーン奥のバンカーへ飛び込んだ。そして、第3打でもグリーンをオーバーしてしまう。グリーン手前10ヤードから挑んだ第4打の直前、「ボギーを覚悟した」そうだ。が、勝手知ったホームコース。左足上がりラフから、のぼり傾斜のショットでチップインに成功し、スーパーがつくパーセーブを披露。大歓声が起こり、カーニバルのムードは最高潮へ向かう。

 

 つけ入るスキを与えず、まるで百戦錬磨の達人のような圧勝だった。「同じ失敗は繰り返さない。これまでの優勝争いでは、優勝したいという意識が強すぎた。特に2週前の最終日は結果ばかりが気になって・・・。だから、きょうは無心でプレーをすると決めていた。余計な力が入らず、良かったです」と、従来との違いを明かしている。周囲からの励ましもVを引き寄せる原動力に変わった。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 叔母で今大会のテレビ解説担当の平瀬真由美からは、「取りに行っても優勝はない。自然に来るものだ」と週初めにアドバイスを受けている。まさに、その通りの今回。優勝決定後、取材に応じた平瀬は、「良かったなぁ。まるでこぼれてきたみたいですね。地元で優勝はなかなかできない。応援がプレッシャーになることが多く、なかなか自分のプレーを貫きとおせない。パッとチャンスをものにするより、たくさん悔しい経験をした選手は土台がしっかりしてうまくなる」と、控えめに話した。大器覚醒は予想以上のはやさで到来。

 

 加えて最終日の前夜、あこがれのイボミから、激励メールが届いたことも絶大な効果を表す。「自分を信じて、という内容でした。今まで誕生日おめでとうは頂戴しましたけど、ゴルフの内容では初めてです。この大会、いつもボミさんのプレーを楽しみについて回った。おかげで、けさはとてもいい目覚めです」と、うれしそうに漏らした。

 

 前半の3番、1メートルのパーセーブを失敗。バーディーより先に、ボギーを叩いた。ちょっとイヤな流れになりそうだったが、4番でバウンスバックに成功。6番では7メートルのバーディーも決めた。

 

 さらに、自身が胸を張ったのは11番である。グリーン手前15ヤードから、ピンそば30センチにつけた第3打は今オフ、特訓の賜物だ。「ショートゲームとパッティングをたくさん、たくさん練習。10番で1メートルのバーディー外しているから、より集中することを忘れなかった」。大きな、大きな自信になっている。

 

 19年、アマチュア時、初めて経験したJLPGAツアー。「緊張した。あとは何も覚えていない」から5年が経っていた。14日は奇しくも、熊本地震の前震があった日。こちらは8年だ。「あの日のことは忘れない。皆さんにもっと、いいプレーを披露します」。誓いの言葉は本当に力強かった。

 

以下、各選手のコメント

鈴木愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

鈴木 愛(2位タイ:-5)
 「2週連続勝った後からパッティングはすごくいい感じで打てています。あとは入るか入らないかの細かなタッチ次第で結果は変わってくる。フィーリングはいいのでショット次第です。この2日間はオーバーパーでなかったのはすごく良かった。もうちょっと改善できるところもありますし、原因も分かっているので、練習します」


山下美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(5位タイ:-4)
 「(今日は)なかなかうまくいかなかった。全体的にばらつきのある感じでした。(今週、ボギーの要因は)ショットだと思います。修正します」


高橋彩華<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

高橋 彩華(5位タイ:-4)
 「今週、アイアンがあまりよくなかったです。パッティングとアプローチで頑張ってしのぎました。1Wはすごくよかったのですが、第2打でグリーンを狙うショットが右左に散ってしまって、距離感もちょっと曖昧で・・・。要因はわからないです。悪いなりにいいスコアが出せたのは良かった」


吉田鈴<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

吉田 鈴(32位タイ:+2)
 「(ベストアマチュア賞獲得)3年連続はうれしいです。グリーンがメチャクチャ硬くて、上も伸びていないですし、難しいと感じました。時差ボケもあって、初めは体のコントロールが効かなかったので、よく食べて、ラウンドしていました」