「もう優勝争いだけでは満足できない」地元の佐久間朱莉が初Vへ決意の首位発進

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第6戦『富士フイルム・スタジオアリス女子オープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)が4月5日、埼玉県鳩山町・石坂ゴルフ倶楽部(6,535ヤード/パー72)で開幕した。第1日は佐久間朱莉と上田桃子が5アンダーで首位に並び、1打差で穴井詩と脇元華、2打差で今季2勝の鈴木愛ら5人が追う展開で発進した。
(天候:雨 気温:8.8℃ 風速:1.6m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/3フィート コンパクション:24mm》

 

 JLPGAツアー初優勝の条件はそろった。21歳の佐久間朱莉が、勝手知ったるコースでバーディーを積み重ねていった。1番パー5で89ヤードの第3打をピン横1メートルに寄せ、難なくバーディーパットを決めると、続く2番パー3でもティーショットを約3メートルに付けて連続バーディーを奪った。終始ショットが安定し、前半だけで5バーディー・ノーボギー。後半は一転、1バーディー1ボギーの我慢のゴルフとなったが、上田桃子と首位に並び第2日以降へ向かうことになった。

 

 埼玉県川越市出身で、今大会のコースには車で20~30分かけて「自宅通勤」している。「母の温かいご飯を食べられて、自分の部屋のベッドでゆっくり眠れるので、リラックスして試合に臨めています」とメリットを強調する。大会開幕前夜の食事は、母手製のカレーだったそうで、「どうしても食べたかったので、プロアマに出かける前に、母に頼んで朝から準備してもらいました」と笑った。

 

 そもそも、このコースには中学時代に週1ペースで練習に通っていた。大きくて傾斜が強いグリーンの特徴などは、頭に入っている。「グリーン上の段差のきつい方に外すと、普通に3パットを喫してしまいます。常に外してもいい方を考えながらマネジメントしていました」と明かす。

 

 そして「ここでやる時にはいつも、1番でバーディーを取って流れに乗りたいと考えています」と語る攻略法通りにスコアメークしていった。

 

 佐久間の最大の武器である正確なショットも「このコースで、狭いスポットを狙って打つ練習を重ねたことが、プロになってからも生かされているのだと思います」と感謝を口にするほどだ。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 2021年のプロテストに合格したホープは、昨年6月、「リシャール・ミル ヨネックスレディス」で川岸史果とのプレーオフにもつれ込んだ末に惜敗したが、いまだに優勝カップを抱いたことがない。既に同い年の岩井千怜は5度、岩井明愛は3度の優勝を遂げているだけに、「これまでは優勝争いができればうれしかったけれど、今は満足できません。勝ちたいとか、勝てたらいいなではなく、今年からは本当に勝ちに来ています」と言葉に力を込めた。

 

 年明けに、格好の刺激も受けた。恩師のプロゴルファー・尾崎将司の誕生日(1月24日)のお祝いに、次弟の建夫、末弟の直道も集まった。佐久間は尾崎3兄弟から代わるがわる「おまえはもっと勝ちにこだわれ」、「ゴルフがうまいだけでは勝てないぞ」などと激励された。「『ゴルフはうまい』とほめていただいたことはうれしかったですが、絶対に勝つのだと、そこで気持ちが変わりました」と胸の内を明かす。

 

「1打1打に集中して、しっかり優勝できるように頑張りたいです」と意を決している佐久間。もう一歩も譲るつもりはない。

 

以下、各選手のコメント

脇元 華<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

脇元 華(3位タイ:-4)
 「今季は特にショットがシーズン序盤から、とても良い感じ。パッティングもまずまずです。きょうのキーホールは1番。スタートで4メートルのスライスラインがキッチリとカップへおさまった。出球の回転が良かったし、すごく自信をもっていける要因になりました。
 前週、34インチ→33インチへパターをスイッチ。これが良かった。私は、他の選手より腕が長い。といことで短いのをつかったら、とてもパターを振る感じがいい。体にも合っている。あすのテーマはグリーンのピン位置と同じ面へショットを運ぶことです。楽な気持ちでパッティングをすれば、きっと結果はついてきますよ」


穴井 詩<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

穴井 詩(3位タイ:-4)
 「きょうは100点満点。ピンチがなく、ストレスなしのラウンドでした。ただ、前週、最終日の心の傷が癒えていない。昨日、JLPGAの小林会長もおっしゃっていたけど、周囲を見過ぎていた。私が集中していなかったことを、お見通しだったようです。そんな反省を踏まえて、今回はプレーしている。あす、明後日も集中です」


阿部 未悠<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

阿部 未悠(5位タイ:-3)
 「1番から5連続バーディーがあった。スタートがグリーン右奥のエッジから7ヤードを58度でチップイン。いい流れをつくれたおかげで4番の6メートル、5番も10メートルなどのバーディーが決まった。ラッキーなところもあったけど、5連続は本当に久しぶり。すごくうれしかったです。
 きょうは朝が小雨で、肌寒く結構、厳しいコンディションでした。でも、14番は気温が上がり、風が弱くなり、第2打がグリーン奥へ。アプローチも寄らずにボギーを叩くなど、アジャストの難しさを感じた一日でした。私の持ち味は攻めること。開幕から、うまくかみあっていなかったけど、きょうはこの先が楽しくなるような感触を得た。あすも、しっかりやります」


山下 美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(10位タイ:-2)※ディフェンディングチャンピオン
 「雨だけでも飛距離が落ちる。加えて、きょうは気温が低くなって難しかった。ただ、そんな状況でもうまくしのぐことができたかなぁ、と思います。コースはどのピンポジションでもマネジメントがやっかい。ショットがいまひとつでしたから、しっかり修正をして、あすへ臨みます」


神谷 和奏<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

神谷 和奏(19位タイ:-1)
 「(インスタートとなったJLPGAツアーデビュー戦で)スタート前から緊張していて、ようやく地に足をつけてプレーできるようになったのは、前半の16番くらいから。旦那さん(キャディーを務めた夫の幸宏さん)も同じで、2人で朝からふわふわしていました。あすはまず予選を通過し、そこから先は推薦してくださった方々のために、少しでも上位にいけるように頑張りたいです」