小祝さくら 満開を告げる今季初V
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
JLPGAツアー2024シーズン第5戦『ヤマハレディースオープン葛城』（賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円）大会最終日が3月31日、静岡県袋井市・葛城ゴルフ倶楽部 山名コース（6,455ヤード/パー72）で行われ、小祝さくらが逆転V。今季初優勝、JLPGAツアー通算10勝目をあげた。１打差の9アンダー、2位タイは岩井千怜、竹田麗央。
（天候：晴れ 気温：23.5℃ 風速：5.8m/s）
《グリーン＝スティンプ：10 1/2フィート コンパクション：23mm》
コースの桜はつぼみでも、小祝さくらが５打差を逆転。JLPGA通算10勝目を鮮やかなプレーで、ひと足早く満開をアピールした。
最終組から2組前。首位に立ってパー5・18番を迎えたが、とてもセーフティーとはいえない大混戦だった。第1打が左ラフへ。ボールはディボットのふちにあった。「もし、ディボットの中にあったら、それこそ大変。ラッキーでした」。3Wの第2打をグリーン手前の花道まで運んだ。そして、第3打でピン50センチへ。見事なバーディーフィニッシュで優勝を手繰り寄せた。
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
奮起の材料は後半の13番。「移動中、スコアボードを見て、チャンスがあることがわかった。でも、ボギーだけは叩きたくない、と思っていたら、第1打をミス。意外というか、ボギーにしたくないホールで、まさか、まさか…」と振り返る。ところが、逆境を迎え、闘志が燃え上がった。
今季は好調ながら、惜敗続き。今回は、「気合を入れ直した。まだ、バーディーホールはたくさん残っている。スコアを伸ばせばいい。あきらめない」と奮い立つ。14番、3メートルのバーディーパットが決まってバウンスバックに成功した。勢いに乗って、15番も3メートル、16番が何と8メートルを決め終盤、3連続バーディーの離れ業である。
「プロ2年目の18年。初めてトップ5フィニッシュした、いい思い出が残っている。コースは難しいけど、我慢をすればきっといいことがある、と肝に銘じたことを覚えています。今回は一日、競技が中止になったけど、それでも脳をフル回転させたせいか、すごく疲れた。加えて、風が強かったせいで花粉がたくさん飛散したのでしょうか。きょうも途中、頭痛がして、苦しかったです」。楽な優勝などない。全身全霊で勝ち取った10勝目は格別の喜びがあった。
しかも、史上最強といわれる黄金世代で、初めて10勝一番乗り。「同級生はみんな、うまくて強い人ばかり。私は最終プロテストを合格できる気がしなかった。そんな感じですから、とてもツアーで優勝できるとは予想もしていない」と心中を語り、「とても月日が経つのは早い。もう中堅などと言われたりして…。そこで10勝目。予想をはるかに超えています」と、これまで通りの謙虚な姿勢は、さらに好感度が増す。
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
また、シーズン中は休みをとらず、すべての試合へ出場を続けていることに、「今季もすべての試合へ出ます。試合に出続けることが私の感謝の気持ち。おかげさまでケガをしないできているし、しっかりと体のケアをしながらやります」と宣言した。
一方で今季はコーチをつけず、自身で改善点をさぐりながらの毎日。「ここまでやってきて、少しずつわかってきた」そう。たとえをあげれば、前日はショットが左方向へ行くことが多かった。そこで最終日はアドレスで、ボールを右から見る目線でハイボールを打つイメージを取り入れた。「スイングで体が突っ込み気味でしたからね」。修正力という新たな武器が加わった。
ちなみに、自身の理想のプロを「上田桃子さん。イボミさん」と明言し、「プレースタイルや、人間性など、おふたりのような選手になりたいです」と意外な発言も。そうはいっても、優勝副賞のひとつ水上オートバイをどうする－の質問では、「最近、海が怖い。サメの映画(MEGザ・モンスターズ)を見たら、浅瀬にいてもいつサメが襲ってくるか…。そんな恐怖心が出てくる。年齢のせいでしょうか」との答えに爆笑を誘った。
試合、優勝会見で披露した演出力も、相当なものだ。
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
以下、各選手のコメント
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
岩井 千怜（2位タイ：-9）
「全力を尽くしたので、全然後悔もしていません。このコースはビッグスコアが出にくいコース。そんなに伸びる予想はしていなかった。耐えていれば、ちょっとずつ（順位が）上がっていくと予想していました。全力で頑張りました。内容も良かったです。疲れは全く感じていないです。悪天候で中止になった日を、上手く休養に充てました」
竹田 麗央＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
竹田 麗央（2位タイ：-9）
「悔しかったです。（18番のバンカーショットはピンまで）30ヤードを15センチに付けました。前半にバーディーが獲れなかったので、バーディーが獲れていたらもっと違ったのかなぁ。きょうは今までと違って、スタートから落ち着いてプレーできていた。その辺は（初優勝が）近づいていると思います。今回は自信もありましたし、やれると思っていた。また次週から頑張りたいです」
野澤 真央＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
野澤 真央（4位タイ：-8）
「思ったようなショットが打てませんでしたが、アプローチとパッティングに助けられました。（ショットが）悪くはないですけど、ミスが目立ってしまった。ピンの位置に対しての風が難しく、逆に難しいからこそ的が絞れたという感じはありました。（次週以降）調子を落とさないように、しっかり頭を使って、その場その場で良いプレーができれば･･･」
桑木 志帆＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
桑木 志帆（4位タイ：-8）
「風が強くて、すごく難しいコンディションでしたが、前半は良くて、後半はちょっと緊張して上手くプレーできなかったのが悔しいです。ショットが本当に良くて、その分バーディーチャンスも多かったのですが、それが決めきれなかった。この難しい葛城ですごく良い結果を残せたので、この感覚を忘れずに次週も頑張りたい」
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
佐久間 朱莉（7位タイ：-7）
「前半、これは面白くなる。そんないい感じが漂ってきた。また、きょうは通算9アンダーへスコアを伸ばすことが目標。ちょっと残念でしたけど、プロ入りして初めてトップ10に入った今大会で、また思い出ができた。18番は残り58ヤードの第3打を58度で、イーグル狙い。賞金300万円がかかっていたし、あとちょっと･･･。惜しかったです」
脇元 華＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
脇元 華（10位タイ：-6）
「きのうまでショットが付いていたのですが、パッティングが入らなかったので、きょうは気分転換にパターを替えたら、それが入った。ショットもよかったです。前週も調子はよかったのですが、本当にパッティングが入らないだけでした。トップ10フィニッシュができて安心した。メルセデス・ポイントが稼げたのは大きい」
イ ミニョン＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
イ ミニョン（17位タイ：-4）
「予選ラウンドはパッティングが良くなかったので、きょうはホールを越えるように強めに打ちました。（68は今季ベストスコア）これからが楽しみです。ここまで、身体の調子はいいのですが、ゴルフの調子が良くなかった。今年から1Wを替えて10-15ヤードくらい飛距離が伸びました。ゴルフが楽になった。（次週）コースが苦手なんです」
山下 アミ＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
山下 アミ（53位タイ：+3） ※ベストアマチュア賞獲得
「アンダーパーで回るという気持ちでスタートしました。きょうはなかなかショットがつくこともなくて、チャンスが少なかった。選考会からの出場だったので、とりあえず選考会が通過できればいいなぁという感じでした。通過できたので、今年も頑張ろうという気持ちでした。次週のステップアップツアー開幕戦に出ます。ここからどんどん自信をつけたい」
