小林夢果、70の壁を破り自身初の単独首位

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第4戦『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 2024』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)が3月22日、宮崎県宮崎市・UMKカントリークラブ(6,545ヤード/パー72)で開幕した。天候に恵まれたこの日、小林夢果が64をマークし、8アンダーで単独首位に立った。1打差の7アンダー、2位タイには小滝水音、臼井麗香。6アンダー、4位に山下美夢有が続く。
(天候:晴れ 気温:15.1℃ 風速:3.1m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/4フィート コンパクション:24mm》

 

 ジャンボ尾崎の秘蔵っ子ともいえる小林夢果がついに爆発して見せた。1イーグル、7バーディー、1ボギーの64をマーク。これまでJLPGAツアーでの最少スコアは70だったが、その壁を破るどころか、一気に6打も縮めた。

 

 「今朝の練習からパッティングの感じが良かったので、上位に行けるかなとは思っていましたが、今日は本当に入ってくれました」と、笑顔を見せた。その言葉どおり、この日は25パットでホールアウト。着実にスコアを伸ばしていった。ただ、それ以上に際立っていたのがドライバーだ。4つあるパー5では2オンに成功したホールこそイーグルを奪った18番だけだったが、1番と8番では第2打をグリーンサイドまで運び、寄せワンのバーディーを奪った。

 

 「実は、前日までドライバーの調子があまり良くなかったんです」。昨年、ツアーでは4試合しか出場していないため、参考記録になるが、ドライビングディスタンスで266.00ヤードを記録。これは1位だった神谷そらの260.82ヤードを大きく上回る。ジャンボ邸にあるドライビングレンジでは、キャリーで250ヤード付近まで運べる女子プロは小林と笹生優花だけだといわれていたが、数字でもそれを実証していた。

 

 ただ、飛距離が出る分、曲がりも大きく、結果を残せずにいたのは方向性に難があったからだ。今シーズンも大事なところでショットを曲げていたことで、開幕2試合で予選落ちを喫していた。ところが、前日の練習場で偶然にも自分にフィットするドライバーを見つける。

 

 「長さなどが異なるドライバーを6本ほど試していたのですが、最後の1本でピンときたんです。1球打っただけで決めました」。飛ばし屋ならではのフィーリングがあるのだろう。方向性重視の44インチよりも飛距離重視の45.7インチを選択したらしいが、そのチョイスは間違っていなかった。なんとこの日のドライビングディスタンスは270.00ヤードを記録。2位=穴井詩の266.500ヤードを楽に上回った。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 現在、20歳の小林だが、同学年には神谷、川﨑春花、櫻井心那、尾関彩美悠らツアーで優勝している選手がいる。当然、彼女たちに追いつきたい気持ちは強い。ただ、客観的に見れば、彼女らとの差はかなり縮まっている。ジャンボ尾崎アカデミーに合格するぐらいポテンシャルは高かったものの、ジュニア時代に目立った成績を残すことはできなかった。正直、プロテストに合格するのも簡単にはいかないだろうと見られていたが、誰よりも負けなかったのが練習量だった。来る日も来る日もボールを打ち続けていたことが、高3での一発合格につながったという。

 

 プロテストに合格してからも、なかなか結果を残せなかったが、練習量だけは減らさない。その効果が昨年のステップアップツアーで優勝、ファイナルQTでの8位という結果をもたらした。あとはきっかけさえつかむだけだったが、この日のゴルフをどう生かすかが近々の課題となる。

 

 「最終日の天気がどうなるか分からないだけに、明日は最低でも4つは伸ばしたいですね」。師匠のジャンボにいい報告をするためにも残り2日間、必死に首位を守り抜く。

 

以下、各選手のコメント

小滝 水音<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小滝 水音(2位タイ:-7)
 「ようやく、調子が上がってきた。私は寒さが大の苦手。ようやく、気候になれてきた感じがします。もちろん、調子が上がってきた。前週まではすべてが、いまひとつでしたけど、今回は一変。ショット、パッティングのコンビネーションも良くなっている。ノーボギーラウンドがうれしい。
 3日間大会は、スタートが肝心。きょうはより気合を入れました。週末は雨予報でしたし、なかなかスコアが伸びないコース。15番では9メートルのバーディーが決まった。あすも気を引き締めてプレーします」


臼井 麗香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

臼井 麗香(2位タイ:-7)
 「久々のJLPGAツアー。出場することが本当に楽しみでした。ただ、これだけのスコアが出て私が一番、驚いている。後半の1番=3メートル、2番=5メートル、3番=10メートル、4番が4メートルの4連続バーディー。特に3番はギャラリーの方がほほ笑むほど、すごかった。グリーンが大きく、私は相性がいいと思ってプレーをしたおかげかもしれませんね。
 今季はシード権を復活がテーマ。ただ、プロであるからには優勝を目指す。精いっぱい、プレーする」


蛭田 みな美<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

蛭田 みな美(5位タイ:-5)
 「明日は今日と同じ5アンダーをマークして、通算10アンダーまでスコアを伸ばしたいです。実は今日、パー5で2回2オンに成功したんです。どちらもバーディーを奪いましたが、ドライバーが飛んでいるなと。10番なんてティーショットが280ヤード飛びました。シーズンオフに体を鍛えたおかげです」


村田 理沙<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

村田 理沙(5位タイ:-5)
 「今日はショットの調子がよかったことが好スコアにつながりました。これからまたショットを調整して明日に臨みたいです。あとは、高校時代からずっと使用していたパターを思い切って今週替えましたが、そのパターのフィーリングが良かったので、それも変えないように調整しておきます」

河本 結<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

河本 結(5位タイ:-5)
 「今年はゴルフを自由に楽しくやるのが自分のゴルフスタイルなんです。150ヤードを5番アイアンで打ってもいいかなと。今日はそのゴルフができたので、明日も自分らしいアグレッシブさを出したいです。この試合は初優勝を飾った大会ですし、宮崎は大好きなんです。今日は焼肉を食べて元気に明日を迎えたいですね」


吉本 ここね<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

吉本 ここね(8位タイ:-4)
 「明日も1ホール、1ホール、ベストを尽くしたいです。慎重に攻めてアンダーパーで回れたらいいかなと。今日はセカンドショットの感覚が良くて、バーディーがたくさん取れたので、点数は90点です。ここ最近ではいい方なので、今のゴルフを続けたいです」


菅 楓華<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

菅 楓華(31位タイ:-1)
 「第1日、もう少しスコアを伸ばしたかった。でも、アンダーパーでプレーしたわけですから、あすへつながるとプラスにとらえています。コースは高校時代、週に一度はプレー。第2日はパー5でバーディーをとって、60台のスコアを目指します」


山内 日菜子<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

山内 日菜子(31位タイ:-1)
 「後半、ショットが乱れて、連続ボギーを叩いた。それが悔しい。でも、バーディーフィニッシュで第2日へつなげたことは良かったと思います。きょうはギャラリーの皆さんの声援がうれしかった。ひとつバーディーが決まると、優勝したのでは-というぐらいの大歓声。本当にありがとうございます。
 残り2日、スコアしだいでチャンスはある。あきらめません。去年のいいプレーを思い出しながら、あすはプレーします」


鈴木 愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

鈴木 愛(65位タイ:+1)
 「スタートからショットが左へ出て、球筋が定まらない。4番からはドローボールではなく、フェードボールへスイッチして、少しはましになりました。アプローチなども全般的にいまひとつ。唯一、良かったのはパッティングかなぁ。難しいグリーンでも、フィーリングは合っていると感じた。だけど、決まらない・・・。
 きょうの内容を考えれば、予選通過が目標ですけど、過去にはすごいスコアでプレーしたことがある。ショットを修正することが今、最優先です」