最難関18番を攻略 鈴木愛-2週連続V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第3戦『Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が3月17日、鹿児島県姶良市・鹿児島高牧カントリークラブ(6,456ヤード/パー72)で行われ、鈴木愛が自身3度目の2週連続優勝を達成した。この日は荒天のため第3ラウンドが9ホールの短縮競技。勝負は通算10アンダーで並んだ小祝さくらとのプレーオフへ持ち込まれた。プレーオフ2ホール目、鈴木のパーセーブで決着。次週、史上初の2度目の3週連続Vへ挑戦する。

 

 3位は5バーディーの猛チャージで、通算9アンダーへスコアを伸ばした申ジエ。通算7アンダーの柏原明日架が4位だった。
(天候:雨 気温:12.7℃ 風速:0.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10 2/3フィート コンパクション:24.5mm》

 

 3月の冷たい雨は心まで濡らすことがなかった。3回目の2週連続優勝を達成した、鈴木愛は、「きょうはなんだか、まだやり足りない感じがする」と、荒天での計11ホールが終えても、闘志がメラメラと燃えている様子である。

 

 通算10アンダーで並んだ小祝さくらとのプレーオフ2ホール目。アドバンテージは小祝が握った。鈴木愛は第1打を左ラフ→第2打がグリーン手前のバンカーへ飛び込む。どう見ても流れが悪い。ピンまで19ヤードの第3打は3メートルへ寄せることが精いっぱいだった。

 

 勝負のターニングポイント。何としてもパーをセーブしなければならない。しかし、集中力をより高めアドレスへ入った。パッティングの名手を自任する。何事もなかったように、涼しい顔でカップイン。

 

 対する小祝は、2メートルのパーパットを外してしまう。両者のシーンをみて、勝負はやはり、パッティングに極まる、という言葉が浮かんだ。とりわけ18番は最難関だった。

 

 このホール、鈴木はあまり得意とはいえない。第1日、ダブルボギーを叩き、第2日は薄氷のパーセーブ。こんな舞台裏を明かす。「第1日の最終ホール。いい流れをつくったにも関わらず、ダブルボギーです。ボギーなら仕方がない、で済ますことができる。だけど、ボギーパットで私が収められなかったことが本当に情けない」とがっくりと肩を落としたという。

 

 そして、第2日。リベンジの気持ちで18番へ挑む。それでも3メートルのパーセーブが残ってしまう。「最終日の天候が悪くなることが頭をよぎった。もしかしたら、短縮競技になるかもしれない。だから、死ぬ気でねじ込んだ」と、振り返る。

 

 勝利へ、エピローグの伏線は十分に張っていた。この日、プレーオフを含めて18番を3回。PO1ホール目はピン横から5メートルを沈める、離れ業を披露した。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 一方、今回の優勝で新しいスタイルを確立したことを明言。「私しだいで、もっとうまくなることを確信できた。ひとことでいえば、修正力。きのうのホールアウト後の練習で、アドレスでボールと足の距離が5センチぐらい遠ざかっている。また、前傾が20度ぐらい深い。きっちりとニュートラルの状態へ戻すことができた」。自信を深め、いい目覚めを迎える要因となっている。

 

 さらには、開幕前日の14日、完全休養日を加えたところも異例。「リフレッシュして臨みたかった。クラブを握らない。お昼までゆっくり眠って、午後はショッピングセンターで買い物をした」という。公言した20代の通算20勝を達成できたことも大いに喜んだ。

 

 「20代で20勝する。限られた選手しかいないでしょう。本当に光栄です」と、ひと息ついて、「私は自ら、ゴルフがやりたくてクラブを握ったわけではない。親がすすめられるままに、ここまできた。まぁ、そんな状況だからジュニアの選手、これからゴルフをはじめようとしているお子さんへ、偉そうなことはいえないけど、やっぱりゴルフは楽しい。そんな姿を見てくださるとうれしいです。それから、永久シード獲得へ、少しだけ光も見える。通算30勝。なかなかできるものではありません。だから、チャレンジします」と続けた。

 

 23日に宮崎で開幕のアクサレディスゴルフは史上初めて、2度目の3週連続V達成の記録がかかる。「調子はいいです。でも、大きな声ではいえないけど、UMKカントリークラブのグリーンのラインが、私は読みづらい...。コースは好きですけどね」。

 

 今や、実績を積み重ねたビッグネームの一人になった。3週連続Vのおかわり-を期待しよう。

 

以下、各選手のコメント

小祝さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(2位:-10)
 「2 週連続で鈴木さんの優勝を目の前で見る事になりましたが、悔しさしかありませんが、その悔しさを来週に向けてたくさん練習をして、優勝出来る様に頑張りたい。今まで 3 回プレーオフをして全部負けてしまっているので、いつかプレーオフで勝てればいいなと・・・」


申ジエ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

申 ジエ(3位:-9)
 「きょうは試合の中でいい雰囲気のプレーが出来たので、これを持ってアメリカに行けばいい成績が出るかと。9ホールに短縮されたラウンドでしたが、自分のプレーにどっぷりと浸かる様な 1 日でした。大雨の中でも多くのギャラリーのみなさんがいらっしゃって、皆さんの熱い応援のおかげでいいプレーが出来ました」


天本ハルカ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

天本 ハルカ(5位タイ:-6)
 「開幕から3試合連続でトップ10フィニッシュ。第1日の調子から考えれば夢のようです。うまく修正できました。また、最終日は初めて申ジエさんとご一緒。猛勉強するつもりでプレーをたくさん、拝見できた。間近で見てすごいと感じたことは、自分自身でいい流れをつくりながら、プレーしている印象です。とても、すぐにはできそうにないけど、次週からチャレンジを-」


勝みなみ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

勝 みなみ(22位タイ:-2)
 「第1日が勢いを止めてしまったかな。(1番ホールでの)イーグルから4ホール、バーディーチャンスが続きましたが、そこを1つか2つでも入れていればまた流れが違っていたかと。そこでバーディーがたくさん取れる様になれば向こう(アメリカ)でも勢いに乗れるかと思うので気持ちを強く持って頑張りたい。去年は胸を張れる成績ではなかったので、今年は優勝も目指していますし、メジャーでも活躍をしたい気持ちもあるので、向こうで活躍をして胸を張って帰って来られる様に頑張りたい」