JLPGA99試合目 西郷真央-圧巻の66

<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン開幕戦『第37回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)第2日が3月1日、沖縄県・琉球ゴルフ倶楽部(6,595ヤード/パー72)が行われた。西郷真央が荒天をものともせず、ノーボギーの66をマーク。通算11アンダーで首位に立った。4打差の通算7アンダー、2位は菊地絵理香。
(天候:雨 気温:16.3℃ 風速:6.1m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:23mm》

 

 プロ5年目、西郷真央はさらなる飛躍を誓い、新たなスタイルを模索している。この日のテーマは荒天の対応だ。「朝から、風と雨。天気予報通りでした。そういう状況でのマネジメントをしながら、しっかりスコアメークをすることが課題。クリアできた」と満足そうに話した。

 

 「雨水で1Wが滑る」。打球が右方向へ飛んでいくことを、スタートの10番で察知した。それでも、残り138ヤードの第2打を9Iで1メートルにつける。楽々とバーディー奪取でリズムをつかんだ。とはいえ、ピンチは必ずやってくる。しかし、チャンスにも変わることを、この日のプレーで示す。

 

 15番、第2打は右ラフから、前方の木を越さなければならない状況だった。しかも、「ライがよくない」。残り133ヤード、PWを選択し見事なリカバリーショットを披露する。「距離感を合わせられるか。しっかり、クラブを振り切った」。ピン右奥5メートルにつけ、鮮やかなバーディーを決めている。「すごく、いいバーディーパットが打てた。きょうのキーホールです」と振り返った。

 

 第2日、ノーボギーラウンドは西郷、柏原明日架のわずか2人。2位の菊地絵理香へ4打差をつけた。「3メートルのチャンスを何回か外したけど、その代わりに6メートルのロングパットが決まった。おかげで、流れが途切れることなくバーディーが来たことがよかったです」とも語っている。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 次週から、米ツアーへ専念。「アメリカでシーズンを通し、上位で戦うために1年間、準備してきた。試合を重ねて成長する」を、24年のテーマにしている。昨年から行っているトレーニングを、今オフから週2回へ増やした。「ケガをしない体づくりをしている。どの程度、行えばいいかはまだ模索中。ただ、飛距離を伸ばすために続けているわけではない。でも、5ヤード以上、飛距離が伸びている。きょうも実感できた」そうだ。

 

 さらには、自身でスタッツを作成。「公式発表されるものではない。毎ホール、毎ショットの飛距離、精度を残すことで、ミスの傾向など違った一面がわかってくる。しっかり分析し、数字をみて練習へ生かしたいと思います」と、アナリストとしてのひと手間を、日々のルーティンに加えた。

 

 従来、「雨は苦手。今でも距離が長いコースで雨が降ったら、得意とはいえないけど、アイアンで打てればチャンスはつくれる。今回はグリーンが小さい。ダメなところには外さない-を徹底。でも、グリーンへボールを乗せればチャンスです。頭を使うプレーが大切だと思う」と手応えを十分に感じ取った様子。

 

 今大会はJLPGAツアー通算99試合目だ。節目の100試合まで、しばらく間隔があくものの、きっとよりたくましくなっていることは請け合いである。初優勝を飾った思い出のトーナメント。「22年に優勝したけど、その時は最終組でのプレーではなかった。優勝争いをした、という感覚がなかった」と、漏らしていただけに首位に立った今回は当然、大向こうをうならすような独走劇かもしれない。

 

以下、各選手のコメント

菊地 絵理香<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

菊地 絵理香(2位:-7)
 「それなりにバーディーチャンスにもついて、パッティングの調子も、きのうに引き続いてよくて、ライン読みも上手くできた。7番(ダブルボギー)だけがちょっと・・・。ミスショットではないんですけど、思ったより風に持っていかれた。
 雨が降ってくると風が弱まるので、気にはならなかったです。パッティングはいいので、自信を持ってプレーしたい。フェアウェイから打つのと、ラフから打つのとでは全然違う。ラフからだとアンラッキーもあるので、ティーショットをフェアウェイにおきたいです。距離があるコースではないぶん、私にもチャンスがある」


岩井 千怜<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

岩井 千怜(3位:-6)
 「悪くはなかったです。ただ、風の読む幅を浅く読んでしまった。風に乗ってショートサイドに外したりしたことが多かった。乗せておけばよかったのに、欲が出てしまったゴルフだった。巻き返すだけと思っています。まだまだ期待して頂きたいです。
 (決勝ラウンド)元気に楽しくという気持ちを届けたいので、そういう姿を見せられるようにプレーしていきたい」


仁井 優花<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

仁井 優花(4位:-5)
 「第2日は鬼門ですが、きょうは安定してプレーできました。80点です。昨年は第2日に崩すこともあったので・・・。あまり、深くは気にせず、1ホールずつに集中できた。朝イチのスタートで雨も風もなく、一番(雨が)降っていたのがハーフターンの時。運が良かった。高麗グリーンが好きなので、合っていると思います。タッチもラインも読みやすい。(明日に向けて)アイアンショットが右に行くのがあったので、修正したいです」


荒川 怜郁<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

荒川 怜郁(7位タイ:-3)
 「85点。後半の2オーバーがマイナス点です。雨が降ると集中力が落ちていく傾向がある。降ると簡単にボギーを打つと分かっているのを直しきれなかったところが悔しい。プレー中は自分にプレッシャーをかけないようにして、楽しくゴルフができたのは良かった。琉球GCは奥に外すとラフが深く、奥からのグリーンも難しいので、10-20ヤード短くても手前からがいいというクラブ選択をしていました」

 

山下 美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(11位タイ:-2)
 「雨が降ったり、風が吹いたりと難しいなかで、前半は耐えながらのゴルフだった。後半につれて左右にショットが曲がることが多くて、ドライバーでもフェアウェイキープができていなかった。スイングのバランスが良くなくて、フィニッシュがとれなかったりしたので、しっかりフィニッシュをとれるスイングを考え直したいです。パッティングに関してはそんなにタッチが悪くなかった」


吉﨑 マーナ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

吉﨑 マーナ(27位タイ:0) ※アマチュア
 「天候も悪く、我慢のゴルフが続いて苦しかったです。(雨が)降ったりやんだりと状況もコロコロと変わっていくので、難しかった。何度もピンチが続いて、そこを乗り越えてこられたのは成長したところだと思います。予選通過はクリアできたので、あすからは攻めて伸ばせるだけ伸ばしていきたい」


新垣 比菜<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

新垣 比菜(55位タイ:+3)
 「きょうはパッティングが良くなくて、不安を感じながらプレーしていた。悔しい気持ちです。後半に入って、ラフに入ることが多かったんですけど、チップインが2回もあったので、そこは良かった。ずっとパッティングが良くなく、アプローチでしのいでいた感じだった。今週、いろいろ新しい課題が見つかったので、それを克服して、次週以降やっていきたいです」


諸見里 しのぶ<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 

諸見里 しのぶ(96位タイ:+8)
 「バーディーは嬉しいですが、これだけコンディションが難しくなると、いいショットが必ずしもいい結果につながらなかった。そういったゴルフの難しさを改めて感じながら回っていました。悔しいという思いもありますが、無事に終えることができたということと、自分のゴルフをまた見つめ直していきたい」