始まりの風物詩。国立でスペクタクルに溺れよう

昨季、明治安田J1をクラブ史上初めて制覇した神戸と、二度目の天皇杯優勝を遂げた川崎Fが激突するFUJIFILM SUPER CUP。国立競技場を舞台とした、今季の開幕を告げる大注目の一戦のキックオフが迫っている。

神戸がSUPER CUPに出場するのは天皇杯覇者として出場した2020年大会以来二度目。前年のJ1チャンピオンだった横浜FMとマッチアップし、点を奪い合う白熱した展開を演じた。3-3で迎えたPK戦も9人が連続で失敗する驚きの激闘となり、最終的に神戸が初優勝の栄誉に浴した。

川崎Fはこれまでに四度出場している。初出場した2018年大会はC大阪に敗れたが、翌2019年大会で浦和を撃破して初優勝。J1と天皇杯の2冠を遂げて迎えた2021年大会では、J1・2位のG大阪を3-2で下して二度目の優勝を飾り、翌2022年大会は浦和に苦杯を喫した。

今季の神戸はJ1を制覇した昨季からチームとしての上積みを果たしている。最優秀選手賞と得点王に輝いた大迫 勇也をはじめ、武藤 嘉紀山口 蛍酒井 高徳ら経験豊富なプレーヤーがチームをけん引し、山川 哲史佐々木 大樹初瀬 亮らも大きく成長。ここに今季は井手口 陽介岩波 拓也広瀬 陸斗宮代 大聖ら実績十分の選手が加入するなど、各ポジションに複数の実力派を抱える充実した陣容を整えている。

一方、昨季のJ1は8位で終えた川崎Fだが、リーグ最終節から6日後に開催された柏との天皇杯決勝では、120分+PK戦で10人目にもつれ込む激闘を制し、チームに備わる底力を示している。今季はレアンドロ ダミアンやジョアン シミッチ、登里 享平、山根 視来らがチームを離れたものの、丸山 祐市山本 悠樹ら実力派を補強。エリソンら強力な新外国籍選手も獲得するなど、神戸同様に戦力はリーグ屈指だ。

神戸は7日に国立でインテル・マイアミ(アメリカ)とのプレシーズンマッチに臨んでいる。リオネル メッシら世界的スターに大きな注目が集まったが、同時に高強度や勝利に対する神戸の不変の意思を感じさせる90分+PK戦に。吉田 孝行監督は「(国立の)ピッチをSUPER CUPの前に体験できたのは良かった。PK戦ももしかしたらあるかもしれないし、いろいろなポジティブな要素があった」と収穫を口にしている。

川崎Fは13日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16第1戦で山東泰山(中国)とアウェイで対戦。28分にエリソンがPKを決めて先制し、33分には脇坂 泰斗の正確なクロスをマルシーニョが合わせてリードを広げる。後半は圧力を強めた相手に苦しめられるが、79分に挙げた家長 昭博のゴールが決勝点となり、3-2で勝利した。神戸戦から3日後の20日に山東泰山とのACLラウンド16第2戦がホームで控えており、今回のメンバー編成は流動的な面があるものの、チーム全体の調子は良さそうだ。

今季のJ1で上位争いを演じるであろう両者の対戦は17日の13時35分キックオフ。技や強度、勝利への熱いメンタリティーが交錯する、スペクタクルな試合になることは確実だ。