山内日菜子 きっかけはスタートHのクッキー
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
JLPGAツアー2023シーズン第34戦『樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント』（賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円）が10月27日、埼玉県飯能市・武蔵丘ゴルフコース（6,650ヤード/パー72）で開幕。絶好のコンディションに恵まれ、大混戦となった。首位は5アンダーの岩井明愛、仁井優花、山内日菜子。１打差の４アンダー、2位タイで竹田麗央、藤田さいき、川岸史果、鈴木愛がつけている。
（天候：晴れ 気温：21.4℃ 風速：1.2m/s）
《グリーン＝スティンプ：12 1/4フィート コンパクション：24mm》
残り5戦。山内日菜子がラストスパートへ入った。「きょうは第1打が100パーセント、フェアウェイです。次のいいショットへつながりました」。点で狙って線にする。いい流れを呼び込む方程式のようなものだ。ところが、わかっていてもなかなか実行することは難しい。
しかし、きょうはスタートホールから、いい予感が漂っていた。「スタートテントに、クッキーが…。主催者さまの心遣いがとてもうれしい」。選手へのさりげない心配りが、好スコアをアシストすることもある。
この日、転機となったのは9番。せっかくいい流れをつかみながら、ボギーを叩く。「ハーフターンの前で良かったと思います。いろいろなことを考えてしまいそうでしたけど、インターバルがあった。お昼ごはんを食べ、クッキーをいただいたら悪いことも忘れてしまった。後半のいいプレーは、あのクッキーのおかげかも…」と振り返る。
再び、しり上がりに調子が上がる。残り7ホールで4バーディー奪取。13番=5メートル、16番=7メートルとパッティングがさえた。最終18番のバーディーパットもわずか1.5メートルながら、「ピン上から、とても難しいスライスライン。慎重にカップインさせた」という。
＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
「優勝した時も、それほどショットの調子が良かったわけではありません。ショットは今の方が断然、上。このところ、あまり目立つような成績はありませんけど、試行錯誤しながら臨んでいる。ただ、成績がでない時は上半身へ力が入る過ぎるところがあります。両肩から力を抜いて、手をぶらぶらさせたりするなど、工夫を重ねている」とも。
一方で、今季の10月は、「最高ですね」とほほ笑んだ。「これまで毎年、10月になると、来季のためQTを意識しながらプレーをしていた。決して、余裕があるわけではないけど、切羽詰まった感じがありません。それどころか最終戦が近づくにつれ、故郷の宮崎が待っている－ことがエネルギーになる」と区切って、今大会へ向け、「優勝争いを最近、していない。戦略性のあるコースは私好みです。しかも、今回はしっかりラインを読んで、思ったようにストロークすればカップインするグリーン。いい戦いをしたいです」と気合を込めた。
気配り、心配りの返礼は、ナイスプレーと好成績である。山内版・フォーチュン・クッキー。ちょっといい話だった。
以下、各選手のコメント
岩井明愛＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
岩井 明愛（1位タイ：-5）
「（一番のピンチは）パー3の15番。右バンカーを越えたとろに打ってしまい、アプローチをして4メートルくらいに寄せて、それが入りました。きょう1日を通して、まだまだ自分の打ちたいスイングとか、打ちたい球筋がしっくりきていない。毎ショット、毎ショットが、スイングが良かった時のものと、今の感覚が違う。プレッシャーはあまりないので、あすは自分のゴルフをして、最終日にいい位置へ行けたら、優勝を狙っていけるチャンスです」
仁井優花＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
仁井 優花（1位タイ：-5）
「ティーショットが安定していて、1つしかフェアウェイを外さなかった。難しいセカンドショットが残ることも少なかった。パッティングも良くて、ちょっと長いバーディーパットも入ったので、良かったです。あと2日あるので、あすもきょうのようにパッティングが入るか分かりませんが、入らなくても我慢しながらやっていきたい。第2日以降のパッティングが良くないことが多いので、今からしっかり調整します」
竹田麗央＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
竹田 麗央（4位タイ：-4）
「ノーボギーのラウンドはうれしい。きょうはパッティングが特に良かったと思います。前週の練習日、（イ）ボミさんとラウンドできたおかげでしょう。以前から大ファンでした。これまで一度だけ、同組になったチャンスがある。しかし、私が体調を崩して･･･。引退試合で夢が実現し、とても幸せです」
藤田さいき＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
藤田 さいき（4位タイ：-4）
「調子が上がってきた。最後の方は足が動かなくなったけど･･･。前週は（イ）ボミさんの引退試合。私はデビュー戦から引退試合まで拝見できた。最近、若い選手へ、私の引退までいてほしい－というと、エーッといわれる。そういってくれることが励みになります。ラウンド中はほどよく集中し、リラックスする。楽しさの中に厳しさがあるゴルフのおかげでメリハリのある生活を送ることができます。 また、先日はあこがれのカリー・ウェブさんとラウンドする機会にも恵まれた。その際、まだできる－とお墨付きをいただき、もうやるしかないという心境です」
川岸史果＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
川岸 史果（4位タイ：-4）
「（9番イーグル）ピンまで残り199ヤードを4Uで打って、ピンをかすめて上1.5メートルにつきました。きょうは出入りが激しすぎて、バーディーとボギー数を数えられないぐらい、バタバタしていました。1Wが良くなかったです。でも、アイアンショットとパッティングが良かったので、バーディーが多かった。もう少し1Wを安定させると、ボギーが少なくなると思うので、調整したいです」
原英莉花＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
原 英莉花（8位タイ：-3）
「7番のボギーで流れを切ってしまった。（12番）ボールがグリーンオーバーしてバンカーに入ってしまい、イメージが出ないまま打ってしまって、大きなミスにつながってしまいました。グリーンの硬さを警戒していましたが、ショット自体も良かったですし、そこまで苦にならずにプレーに集中できました。（明日）この結果がどうとかでなく、また目の前の一打をどうプレーするかを考えて、良いスコアで上がりたい」
吉田優利＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
吉田 優利（8位タイ：-3）
「きょうは比較的ショットが安定していたという印象で、パッティングが入らなくても思ったように打てた回数が多かった。雷も鳴って、思ったより（雨が）降りましたが、最後までできて良かった。（残り2日間）グリーンが硬くて止まらず、砲台なので、難しいコンディションになっています。ボギーを最少にしたいです」
金田久美子＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞
金田 久美子（32位タイ：0）
「（13番は）本当はバーディーホール。ミスして、バンカーに入れてボギー。次のホールも難しかったので、しょうがないですけど、自分で流れを崩してしまった。次のパー3も3パット。あすはアンダーパーで回りたい。最近、後半が良くない。前半はいい流れを作って、後半もそのままいい流れでいきたいです」
