精神面成長の菅沼菜々が首位キープ

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2023シーズン第33戦『NOBUTA GROUP マスターズGC レディース』(賞金総額2億円/優勝賞金3,600万円)大会第3日が10月21日、兵庫県三木市・マスターズゴルフ倶楽部(6,495ヤード/パー72)で行われた。単独首位でスタートした菅沼菜々と尾関彩美悠が通算12アンダーで首位タイに並ぶ。1打差の通算11アンダー、3位に山下美夢有。さらに1打差の通算10アンダー、4位に福田真未がつけている。
(天候:曇り 気温:16.6℃ 風速:3.3m/s)
《グリーン=スティンプ:12 1/2フィート コンパクション:22mm》

 

 2位以下に1打差の単独首位で迎えた最終18番パー4、菅沼菜々はティーショットを左のバンカーに打ち込んでしまう。そこからグリーンを狙ったが、今度はグリーン左のバンカーへ。ピンまでは15~16ヤードだったものの、ボールは左足下がりのライになっていた。グリーン面はピン方向に向かって下り傾斜のうえに、グリーン奥に外すと砲台に向かって打つことになる。そんな厳しい状況ではあったが、菅沼には自信があった。「バンカーから一度で出なかったことはないんです。いや……、記憶にありませんから」。ところが、ボールはアゴに当たり、再びバンカー内へ。同時にギャラリースタンドを陣取っていた大ギャラリーからは“あぁー”というため息がもれた。

 

 「聞こえましたよー。しかもその後に『頑張れ!』っていう声援も。もうめちゃくちゃ恥ずかしかったです」。この時点でパーセーブの確率は一気に下がったが、この日の菅沼に焦りはなかった。「以前だったらちょっと焦って急いで打っていたと思いますが、まだ上位で戦えますからね。1打でもいいスコアで上がるのが最優先と考えて打ち直しました」。間がいいのか悪いのか分からないが、バンカーの先にはスコアボードがあり、自分の名前が一番上にしっかりあるのが見えたという。ボギーならば首位タイでフィニッシュできることは頭の中に入っていた。

 

 バンカーから気を取り直して打った1打は、アゴをギリギリの高さで越えていき、ピンの1.5メートル手前で止まる。それを沈めてのナイスボギーでフィニッシュ。2バーディー、1ボギーの71で回り、通算12アンダーの首位タイで最終日を迎えることになった。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 トッププロになると、たとえピンチを迎えても冷静に自分が置かれている状況を判断し、最善の1打を放つが、この日の菅沼はまさにそれだった。聞けば、今年の8月第2週に開催されたNEC軽井沢72ゴルフトーナメントでのツアー初優勝が大きかったという。

 

「今日のラウンドは自分がすごい成長したなと感じさせてくれました。ずっとバーディーが来ない上に、前の組とかから『ナイスバーディー!』の声が聞こえるじゃないですか。以前はそれで焦ったりもしましたが、今日は自分のゴルフをしようという心の余裕があったと思います」。勝てないときは、最終組でのラウンドに緊張もしたし、いいスコアを出したい、優勝したいと、自らにプレッシャーを掛けていたが、それもなくなり、いい意味で自分のゴルフに集中できるようになった。

 

 4日間大会にぜひ勝ちたいと語っていた菅沼だが、それが目前になってもどこか余裕を感じさせる。よく2勝目の壁というが、「それを壁と思わず、あくまでも通過点として、3勝、4勝としていきたいです」。まずは明日の最終日にあっさりと2勝目を通過しておきたいところだ。

 

以下、各選手のコメント

 

尾関彩美悠<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

尾関 彩美悠(1位タイ:-12)
 「スコアはまずまずでしたけど、きょうはショットの精度がいまひとつ。アプローチとパッティングで拾った-そんな感じのラウンドでした。その中で、会心だったのは最終18番。第1打をバンカーへ入れ、第2打も右へ大きく外した。残り30ヤードの第3打をロブショットで、ピン1メートルへ。56度のクラブ、頼りになった。
 前半と後半で変えたことは、スイングのパワーバランス。気温が下がって体の動きが鈍くなってきたから、大きめのクラブを軽めに振るようにした。最終日、気をつけるのはマイペースでプレーすることでしょう。それと集中力かなぁ」


山下美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(3位:-11)
 「最終日は久しぶりの最終組。最近、あまり調子がよくない…という感じですけどね。後半戦からアプローチでイメージと違うボールが出ている。そこをしっかり。あとはパッティングしだいというところですね。
 15番、バーディーチャンスから3パット。2メートルを切るぐらいでしたけど、カップを過ぎて同じぐらいの距離をオーバーした。ボギーパットも2メートルはあったと思います。だから、16番はもう取り返す-という気持ち。ホールの移動で気持ちをリセットした。
 パッティングはバーディーをとることが前面に出過ぎたかもしれない。だから、打ってはいけないボギーへつながったのかもしれません。シーズンの残り試合が少ない。とりあえず、目の前の試合を全力でプレーするだけです」


イミニョン<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

イ ミニョン(5位タイ:-9)
 「ピン位置がむずかしかった。きのうほどではないですが・・・。(明日)まだチャンスはあると思っています。勝負はショット。自分のテンポに集中しながらプレーすれば・・・」

 

ペソンウ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

ペ ソンウ(7位タイ:-7)
 「ショートパットで2つボギーを叩いてしまった。悔しいです。(明日は)ピンポジションがむずかしくなるかもしれませんが、ショットが安定すればたくさんバーディーが取れるでしょう」


大出瑞月<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

大出 瑞月(9位タイ:-6)
 「第1日からグリーン上で苦労していますが、今回はハウスキャディさんなのでいろいろと助けられています。3番・パー4とか5メートルのパーパットをしっかり沈めることができたし、ホントグリーン上で粘っている感じです。ただ、フェアウェイを外したのは1回だけなので、ショットはまずまずかなと。私も後がないので、あすは頑張るだけですが、QTを前に調子が落ちないようにしたいですね」


森田遥<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

森田 遥(9位タイ:-6)
 「きょうはグリーンをキャッチするだけのショットが多かったので3パットもしませんでしたが、グリーンを外すこともなかったです。途中、気温も下がり、風も逆になりましたが、ボギーフリーだったので、きょうのスコアは良かったです。この3日間安定したプレーができているので、あすもスコアを伸ばせるように、メリハリをつけたゴルフをしたいです」


青木瀬令奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

青木 瀬令奈(13位タイ:-5)
 「3日連続のイーグルは初めてです。メチャメチャ嬉しいです。きょうのイーグルは9番・パー4でしたが、ピンまで残り170ヤードで、9Wで打ちました。普通に打てば大きいので少しカット目に打ちました。ボールが入った所は見えませんでしたが、ギャラリーの歓声で分かりました。第1日も第2日もショットインイーグルでした。飛ばし屋ではない私が3日連続イーグルなんて自分でもビックリです。ただ、スコアは5アンダーなのは納得がいかないです。せめて6アンダーにしたかったですね」