森田遥が6年ぶりのV『準備は欠かさなかった』

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2023シーズン第31戦『スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント』(賞金総額1億2000万円、優勝賞金2160万円)大会最終日が10月8日、静岡県裾野市・東名カントリークラブ(6590ヤード/パー72)で行われ、森田遥が通算13アンダーで17年以来の通算2勝目を飾った。2打差の2位は通算11アンダーの安田祐香。通算10アンダーの濱田茉優、柏原明日架が3位タイだった。
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《グリーン=スティンプ:12 1/3フィート コンパクション:23.5mm》

 

 気がつけば、6年。首位タイスタートの森田遥が17年北海道meijiカップ以来、6年ぶりのJLPGAツアー2勝目をあげた。「長かった」と肩の力が抜ける。続けて、「6年かぁー」と区切り、「小学1年生から6年生までと同じですね。もう(初優勝が)なかったかのような感覚です。でも、毎日、優勝へ向けて準備は欠かさなかった」とも、自身の記憶をたどりながら話した。

 

 さて、プレーである。とりわけ、最も印象に残ったのは17番だろう。第1打が右方向へ。しかし、木を直撃してフェアウェイへボールが戻ってきた。そう、優勝には見えない努力の積み重ねと、少しの幸運が必要である。

 

 「運が良かったです。だけど、OBまでは行かないだろうと思った。とてもいいキックで、フェアウェイまで戻って…」。ティーイングエリアでは一瞬、目を見開いたように見えたが、すぐに苦笑いが飛び出す。ただし、油断はまったくなかった。それは首位へ浮上した前日から-。

 

 「最終日もきっと、各選手はバーディーをたくさんとってくる。だって、優勝したい。全員がそう思ってくるでしょう。だから、油断はできなかった。状況がどうなっても、私は私のプレーに徹するだけ-その気持ちは最後まで変わらなかったです」という。

 

 2番でグリーンカラーから10メートルのバーディーが決まった。幸先、良し。そして、5番でもピン右横3メートルのバーディーチャンスを逃さない。アドバンテージを握った。ひとつ勝負勘が狂ったといえば、気象条件。雨が落ちてきた時間が予報より早く、風が勢いを増してくる。ハーフターンでは、「後半は我慢のプレーに徹する、と切り替えた」そうだ。

 

 その後半は、すべてパーセーブ。ところが、「優勝を確信したのは、最終18番のファーストパットの後です。これまでの優勝争いを振り返ると、終盤になると勝ちたい-が先走ってしまう。視点はそれじゃない。今回の視点を私自身にしたことが良かったと感じました」と前置きし、「ウイニングパットを打つ時、カップが数センチ先にある。その時、私を信じてくださったたくさんの方へ、本当にありがとうございます。心の中でいいながら集中し、ストロークした」。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 一方、今季を振り返り、「これほど苦しいシーズンはない。シードを落とした19年より、もっと今年はつらかった。猛暑、それからコロナで…」と漏らした後、「7月、コロナに感染。1カ月近く、体調が戻らなかった。焦りが出て、休めば休むほど、残り試合が減っていく」と試練を言葉にする。

 

 確かに、7月は全休。初Vを飾った北海道meijiカップからツアー復帰を果たしたものの、5試合連続で予選落ち→35位タイ→2試合連続予選落ちだった。それが前週の日本女子オープンで急上昇。「予選落ちといっても、1打差などが多く改めて、ワンストロークの重みを思い知らされた。すごく遠回りしているように見えても、目に見えない精神面など、私なりに充実してきたと感じています」と振り返った。

 

 悪いことの後には良いことが待っている。ハッと思い立って、今大会はコース所属の里祐太郎プロへ依頼した。「アマチュア時から出場している大会。それなりに経験は積んできたけど、彼のひとこと、ふたことで 自信をもつことができました。急な申し出にもかかわらず、快くうけてくださったことにも感謝いたします」と神妙な面持ちで語った。

 

 今季はまだ7戦を残している。通算3勝目は、石の上にも3年×2-を経験する必要などない。勢いに乗って、次週も-。

 

以下、各選手のコメント

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安田 祐香(2位:-11)
 「パッティングが打ちたいところに打てていて、最後までいいパッティングが続いていました。次週につながる。いつもパッティングに自信がないですけど、今週は気持ち良く打てたので、パッティングの大事さが分かりました。パッティングが入ると、こんなにも優勝争いに加われるんだとー。残りの試合ではまた優勝争いができたらいいなぁ」


濱田茉優<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

濱田 茉優(3位タイ:-10)
 「やはり反省するのは第2日の後半。伸ばし切れなかったので、その辺をこらえられるように、しっかり練習して次戦に臨みたいです。このまま優勝争いをできるように、しっかりコンディションを整えて、上位争いをしておけばチャンスが来ると思います。そのチャンスをしっかりつかめるように頑張ります」


柏原明日架<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

柏原 明日架(3位タイ:-10)
 「もうちょっとできたんじゃないかというところと、褒めてあげたいところがあります。どっちが多いかというと、反省する点が多いかなぁ。次週は所属企業の試合ですし、大会を盛り上げたい気持ちと、今週の悔しい気持ちで、まだまだ準備をしなければいけない部分がいくつかある。しっかり褒めるところは褒めて、3日間サポートしてくれた母に感謝の言葉を述べたい」


鈴木愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

鈴木 愛(5位タイ:-9)
 「もっといけたかも・・・。2つのボギーは1メートルのパーパットを外した。なぜかなぁ。ショートパットがうまくいかない。おかげで、いい流れが途切れてしまった。次週は調整に充てるスケジュール。残り試合でいい結果を出せるように体調、プレーを整えてきます」

 

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岩井 明愛(10位タイ:-8)
 「楽しかったです。会場の雰囲気も良かったですし、スコアに関係なく楽しかった。ゴルフ自体は悪くない。(次戦の)富士通レディースでは昨年2位だったので、また大会を盛り上げられるように頑張ります」


蛭田みな美<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

蛭田 みな美(10位タイ:-8)
 「中盤から1Wの精度が悪くなった。雨が降ってきたから、その影響もあるかと思います。残り7戦の課題は、重いグリーンの対応でしょうね。スピードが速ければいいけど、なかなかそうはならない。重いグリーンでいかにスコアを伸ばすか・・・。もっか研究中です」


小祝さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(10位タイ:-8)
 「8番のダブルボギーから悲劇が始まってしまった。そこから全然立て直すことができず、ショットもよくないまま終わってしまいました。8番の第2打は、左に行ったらOBというのはわかっていたんですけど、そちらにしか打てる感じがなかった。カート道に当たってしまって・・・。きょうは、内容が酷過ぎたので、次週に向けて調整して、また頑張りたいです」


稲見萌寧<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

稲見 萌寧(18位タイ:-7)
 「ショットの調子は良かった。でも、パッティングが・・・。普通というか、何も起こりそうにない感じでした。もうちょっとパッティングが決まってほしい。次週は自宅から通える。とにかく、パッティングを練習します」

 

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笹生 優花(28位タイ:-5)
 「楽しく1週間を過ごせたので、良かったです。(次週から)アジアシリーズが始まります。本当に楽しみ。新しく試合ができたマレーシアに行くのもすごく楽しみなので、いい思い出ができるように頑張りたい」


原英莉花<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

原 英莉花(28位タイ:-5)
 「(渡米前最後のラウンド)こういう日もあるのかなぁ。ショットの調子は悪くないですけど、気負わずにできたらいいですね。1Wに比べてアイアンショットが引っかかる。思ったより左に行ってしまう。そこを調整したい」


岩井千怜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 千怜(35位タイ:-4)
 「もう少し盛り上げたかった。調子も含め頑張ったんじゃないかと思いますが、来年こそは優勝して盛り上げたいです。残り7試合しかない。1試合1試合大事にして、順位を気にするのではなく、自分のテーマがその週ごとにあるので、それを淡々とクリアしていきたい」


三浦桃香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

三浦 桃香(58位:+3)
 「難しかったです。ピン位置が・・・。12番で、狙いにいったら倍ぐらい転がってしまって、ボギー。そこからパッティングが・・・。かなり練習もしたし、これに備えてゴルフを頑張ったので、きょうは悪かったけど頑張ったということにしたい。試合はやっぱり楽しいです」