首位タイ・青木瀬令奈 あえてバンカー狙いの極意

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2023シーズン第31戦『スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント』(賞金総額1億2000万円、優勝賞金2160万円)が10月6日、静岡県裾野市・東名カントリークラブ(6590ヤード/パー72)で開幕した。秋晴れの絶好のコンディションが、好スコアを後押し。第1日、7アンダーで永井花奈、工藤遥加、青木瀬令奈が首位に立った。2位タイの6アンダーは福田真未、鶴岡果恋、小祝さくら、稲見萌寧がつけている。
(天候:晴れ 気温:24.2℃ 風速:2.7m/s)
《グリーン=スティンプ:11 3/4フィート コンパクション:23mm》

 

 進化が真価。青木瀬令奈が65をマークし、首位スタートを切った。圧巻は前半の4連続バーディー奪取。トピックスをひとつだけあげるとすれば、パー5・8番だろう。3Wの第2打はグリーン手前のバンカーへ。となれば、ピンチの3文字が脳裏を過るが実は、これがマネジメントだった。

 

 「バンカーショットが好きなんです。だから、適当な表現ではないかもしれないけど、わざとバンカーを狙いました」。その言葉通りのナイスリカバリーである。50度を選択した、ピンまで残り25ヤードの第3打を1.5メートルへ。楽々とバーディーを決めた。

 

 「20ヤード以内なら、何とかなる。バンカーショットは、我孫子ゴルフ俱楽部で研鑽を積んだコーチの直伝です。得意になった」という。3位タイと健闘した前週の最終日も、18番はバンカー狙いで、パーセーブに成功した。大西翔太コーチは、「バンカーから30ヤード以内なら、チップインを狙うつもりで-。ただし、ピンポジションまで上っていることが条件です」と説明を加えた。

 

 まさに、テクニックのデパートもいえるスタイルが真骨頂である。これでいいはない。常に進化を求め、新しいことに挑戦。前週からのテーマは左足上がりのショットだ。「2週連続でアップダウンが激しいコース。とりあえず、打ち下ろしホールはそれほど不安がないことがわかった。となれば、打ち上げです。今大会でいうと1、2、3、11、12、18番で、いかにバーディーチャンスをつくれるか」と、ひと呼吸。そして、「4カ月ぐらいショットの不調で本当に悩み通し。でも、現場で何とか対応ができてきた。今はプラスアルファ、気持ちでピンへボールを飛ばしている」と、明るい口調で現状を語っている。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 開幕戦から取材をしていると毎回、異なった取り組みを話す。「前半戦は毎週、違うパターを使った」。この成果は絶大で現在、1ラウンドあたりの平均パット数は22年に続き、1位である。「他のクラブも、開幕から同じものはウェッジだけになるかもしれない。当然、私も変動しなければなりません。これがいい刺激になるのなら、どんどん取り入れます」という。

 

 この日、同級生の工藤遥加、福田真未も好ダッシュ。最強アズマ軍団は躍動中だ。「うれしいし、刺激になる。30歳を超え、改めて思うのは選手間の交流がうまくできる年齢だということかなぁ。年上の先輩、年下の後輩からも学ぶことができる。ありがたいです」。

 

 自身の努力を隠し、ひたすら皆さまのおかげ-と低姿勢なのだ。今季の目標は複数回優勝。いよいよチャンスが巡ってきた。さて、あすはどんな離れ業が-。

 

以下、各選手のコメント

 

永井花奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

永井 花奈(1位タイ:-7)
 「TOTOジャパンクラシックやツアーチャンピオンシップリコーカップにも出たいので、少しでもポイントを稼ぎたい。でも、優勝争いしないと難しいので、天気が悪い予報の日曜日よりは天気のいい第1日に伸ばさなければいけないと思って回っていました。いいスタートを切れたのは良かったです。(1番のバーディーパットは)10メートルぐらいありました。5番も8メートルぐらい」

工藤遥加<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

工藤 遥加(1位タイ:-7)
 「メチャクチャいいプレーができたと思いましたが、最終ホールがボギーなのは残念です。最近の課題であるラフからのショットが、きょうのようなミスになっているので、課題として、きょうこれから練習しようと思います。アプローチも良かったですし、パット数が普段と比べたら良かった。グリーンを外しても冷静にジャッジして、寄せていけたのも大きい。パー5で(第2打をグリーン)近くに打って、(アプローチを)1.5メートルぐらいにつけて、バーディーを取れたのも大きいです」

福田真未<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

福田 真未(4位タイ:-6)
 「きょうはティーショットが荒れていて、リカバリーするホールも多かったのですが、しっかり6-7メートルぐらいのバーディーパットが決まって、いいリズムで回れました。芝目は気にせず、マウンドが多いので、そこをすごく意識しながら、なるべくタッチを出しながら、イメージを出しながら、ラインを読んでいた。グリーン上で苦しいゴルフが続いていたので、いいスコアが出ると自信にもなります。あすからも自分のラインの読み方をやり続けようと思いました」

鶴岡果恋<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

鶴岡 果恋(4位タイ:-6)
 「1Wが得意ですが、フェアウェイをあまりとらえられず、第2打の距離感がすごく合っていたので、バーディーにつながったホールが多かった。最近、パッティングの調子がよく、このグリーンも相性がいい。好きなコースですし、毎ホール、いいパッティングができている。毎週、最終日にスコアを伸ばせず、順位が下がるか、そのままかのどちらかです。今週は初優勝を目指して、最終日にいいゴルフができるように、あすも流れをつかみ、最終日につなげたい」

小祝さくら<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小祝 さくら(4位タイ:-6)
 「残り4ホールでチャンスのパッティングを決められずに終わってしまったのがチョット・・・。もう少し決まってくれればというのはありましたが、それでもいいプレーはできていたと思います。第2打のアイアン、ウェッジショットが安定していた。きょう、3Wは良くて、1Wが良くなかった。今から1Wを修正します」


稲見萌寧<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

稲見 萌寧(4位タイ:-6)
 「アイアンショットはいい感じで打てていて、1Wはラフにつかまっていたので、そこがもう少し良かったら・・・。予選落ちが続くと予選通過ラインを気にしてしまう。優勝を意識していけるように持っていきたい。優勝争いができるくらいのショットのレベルには戻ってきています。あすもドンドン伸ばしていけるように頑張って、もう1ランクレベルを上げたい」

濱田茉優<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

濱田 茉優(8位タイ:-5)
 「ショットは比較的バーディーチャンスについていて、決めることができて良かったです。優勝したいという気持ちで、残り少ないですが、チャンスが来たらしっかり狙っていきたい。ボギーを打たずに、パーでしのいでいけばチャンスが来ると思っています。チャンスを逃さずに、きょうのように淡々とプレーしたい」


申ジエ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

申 ジエ(8位タイ:-5)
 「きょうの目標は7アンダー。達成できなかったけど、秋晴れ、富士山を見ながら楽しい一日でした。前週までの1カ月間、メジャーのグランドスラムを狙って最大限の努力を重ねてきた。その重圧から解放され、とても気持ちが穏やかになっている。でも、今大会も大事な試合です。優勝するためには、あすがポイントになる。気を引き締めて全力でプレーします」

岩井千怜<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 千怜(8位タイ:-5)
 「久しぶりにロングパットが入って、やっといいゴルフができてきたという感覚がちょっと味わえた1日でした。調子が悪いとは思っていません。リズムもあるし、タイミングもありますし、ゴルフの流れもあるので、それが自分の番に回ってきたら・・・。(姉)明愛の2 勝も刺激になっているので、私も勝ちたい。(今週、順番が)回ってきそうな感じは少しずつしている」

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ペソンウ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

ペ ソンウ(15位タイ:-4)
 「前週からいいショットが多く、自信を持ってプレーできました。ショットも、パッティングも良かったです。コースは難しいですが、いいイメージが多い。(第1日は)ノーボギーでしたが、あすはもっとチャンスにつけて、きょうよりもバーディーを取りたい。応援してください」

岩井明愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

岩井 明愛(24位タイ:-3)
 「きょうは、天候がよかったので、気分も上がりましたし、モチベーションが上がる組で楽しかったです。ギャラリーの方もきょうは楽しかったんじゃないかなぁ。プレー自体は、良くも悪くもない感じでしたけど、時々ミスショットが出てしまったので、そこを改善したい。ホステスプロとして優勝したら、皆さんにも喜んでいただけると思うので、あすも頑張ります」

原英莉花<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

原 英莉花(24位タイ:-3)
 「後半に入ってパッティングがなかなか決まらなかったのですが、3アンダーで終えられたのは良かった。入ったのがほとんどスライスラインでした。きょうはフックラインが自身のイメージと足の感覚が合っていなくて、良いストロークができなかった」

笹生優花<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

笹生 優花(53位タイ:-1)
 「いろんなことがあった1日だった。(11番イーグルは第2打が)グリーンに乗っていたわけではなく、たまたま入ったという運もありました。入って良かった。(明日は)まず予選通過を目指して頑張りたいです」

三浦桃香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

三浦 桃香(53位タイ:-1)
 「4年ぶりのツアーは、すごく楽しかった。金曜日でこんなに人がいると思っていなくて、本当に驚きました。途中、1オーバーまでいったんですけど、声援のおかげで持ち直すことができました。15、16番のバーディーは、好きな距離を残せたので、思ったように打てて気持ちよかったです。レッスンしているお客さんや、たくさんのギャラリーの方が見に来てくださったので、あすも喜んでもらえるように頑張りたい」

イボミ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

イ ボミ(85位タイ:+1)
 「しんどかったですね。ショットが全部左にいったので・・・。やっぱり右がこわいのが試合になると出てしまう。フェアウェイへ3回しかいかなかったですし、パーオンしたのも10回もなかった。そのなかでは頑張ったかなぁ」