幸運を呼んだ18番 岩井明愛-2週連続Vへ前進

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2023シーズン第29戦『第50回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント』(賞金総額7000万円、優勝賞金1260万円)大会第2日が9月23日、宮城県利府町・利府ゴルフ倶楽部(6569ヤード/パー72)で行われた。この日も好調をアピールしたのは岩井明愛。69をマークし、通算10アンダーとスコアを伸ばし、首位をキープした。2打差の通算8アンダー、2位へ安田祐香が浮上。3位タイ、通算7アンダーから西郷真央、申ジエ、蛭田みな美が逆転を狙う。
(天候:晴れ 気温:23.6℃ 風速:2.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:21~22mm》

 

 ハラハラ、ドキドキ。それでも首位だった。岩井明愛は前週から5ラウンド続けて、首位でホールアウト。この日のドラマは、パー5の18番である。フェアウェイからの第2打で、少し迷いながら、1Wを選択すると見守っていたギャラリーが、少しどよめく。今や、岩井姉妹の代名詞となった直ドラに、東北のファンも息をのんだ。

 

 「3Wか、1Wにするか…。だけど、1Wの方が皆さん、盛り上がる。チャレンジした」と振り返った。しかし、こん身の挑戦は右方向へ。グリーン奥の木に当たり、スコアボード後ろへ消えた。最終ホールで一大トラブル発生。だが、幸運がほほ笑む。動かせない障害物があり、救済措置を受けた。パーセーブで切り抜けることができたのだ。

 

 「ラッキーがあった。でも、いつもかなぁ」と苦笑する。勝負にツキは必要だ。わずかな違いが明暗を分ける。「浮かれていてはダメ。最近は初心に戻って-を心がけている」と漏らす。その一環で、「一日、ひとつはいいことをしたい」。一日一善は昔からの教えでも、現代流ならSDGsとなるだろう。

 

 「できることをやっている。たとえば、クラブハウス内のトイレのゴミを拾ったりして…。きょうも行いました」という。持続可能な社会をつくるために貢献することは、自身にもつながる。前日、同組でプレー。あすの最終日、優勝を争う申ジエが岩井明の素晴らしさを語っている。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 「プロデビュー前から、才能豊かで強くなる選手と感じた。最もいいところは、どんなにいいプレーをしても変わらずに平常心をキープできるところだと思います」。さらに、JLPGAツアー全般をみて今のレベルを、「去年より今年。そんな感じで上がっている。私が当初日本で試合へ出場した頃は、セーフティーなプレーをする選手が圧倒的に多かった。ところが、現在の若手はバーディー狙いのスタイルがとても多い。というのは、体力があるからでしょう。トレーニングを継続的にしているから、体力がアップする。だから、練習量が増えますね。練習をたくさんすれば、技術もアップします。当然、レベルが上がるでしょう」と解説した。なるほど-。

 

 自身初の2週連続Vがかかる24日を岩井明は、どうとらえているのだろう。「あす一日、楽しんでプレーすれば結果はついてくる。ただし、いつも油断はしていない。18番、最後のパッティングまで何が起こるかわかりません。唯一、実感しているのはクラブがしっかり振れていることです」。見る人に感動を与えるプレーをすることは、プロゴルファーにとって最高の善行になる。

 

以下、各選手のコメント

 

安田祐香<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

安田 祐香(2位:-8)
 「前半はボギーから始まってしまいましたが、8番でロングパットを決めて折り返せたのが良かった。後半はきのうも伸ばせたので、いい流れで迎えられたのがスコアにつながった。 きょう(スコアを)落としそうな展開でしっかり戻ってこられたのが、あすにつながる。チャンスをものにできるようにいいプレーをしたいですね」


西郷真央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

西郷 真央(3位タイ:-7)
 「(優勝は)今のショットの調子ではかなり難しいと思うので、まずは練習で調整して、あすは優勝争いができるプレーをしたい。スコアを縮めることよりも、自分のプレーにしっかり集中したい」


申ジエ<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

申 ジエ(3位タイ:-7)
 「ボギーフリーは良かったですが、バーディーが少なかったですね。きのうの夜大雨だったと聞いたので、やっぱり下が軟らかくなっていて、グリーンのスピードがきのうよりも遅くなっていた気がします。最後の計算が少し足りず、バーディーを多く取れなかった。まだ18ホールあるので、あすのためにバーディーをセーブしたという感じがします」


蛭田みな美<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

蛭田 みな美(3位タイ:-7)
 「ボギーを打った後にバーディーを取れたのは良かったですが、もっとバーディーを取りたかったので悔しい。きょうはラフに入れることが多く、バーディーチャンスに付けられなかった。(あすに向けて)ショットを修正して、アンダーで回れるように頑張りたい」

 

 

稲見萌寧<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

稲見 萌寧(6位タイ:-6)
 「(本大会は)去年初出場で予選落ち。いいイメージが出なかったですが、(まずは)予選を通過して良かった-。きょうはショットの調子が悪く、オーバーパーで回ったような気分です。あすに向けて修正して、スコアを伸ばせるように頑張ります」


福田真未<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

福田真未(6位タイ:-6)
 「クラブを振り切ることは私のテーマ。それに加えて、今回はアドレスでこぶし2つ分、ボールの近くへ立つようにしている。まだ、完全ではないけど、とてもいい感触を得ています。となれば、もう思い切って狙いは優勝。より集中して、積極的に行きます」


青木瀬令奈<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

青木 瀬令奈(11位タイ:-5)
 「課題はパッティング。前日同様、調子は上向いています。きょうは、ちょっとした工夫で、フックラインの気持ち悪さが解消された。最終日は思い切ってプレーします。ショットとパッティングがしっかりかみあえば、いいスコアが期待できるかもしれません」


畑岡奈紗<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

畑岡 奈紗(50位タイ:+1)
 「きょうは昨日よりもティーショットが午前中から荒れてしまって、なかなかチャンスが来なかった。こういう位置でプレーするとは想像しておらず、最低でも1日3つずつ(スコアを)伸ばせるプレーをしたかった。自分のプレーをできなかったのはすごく悔しいです」