ノーボギーの人・山下美夢有がレコード更新

<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 

 JLPGA ツアー2022シーズン公式競技・第1戦『ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ』(賞金総額1億2000万円、優勝賞金2400万円が5月5日、茨城県つくばみらい市・茨城ゴルフ倶楽部 西コース(6680ヤード/パー72)で開幕した。第1日、山下美夢有が大会コースレコード64をマーク。脅威の8アンダーで首位に立った。3打差の5アンダー、2位は永峰咲希。4アンダー、3位で菅沼菜々が追う。注目の上田桃子は4オーバー、72位タイ。2週連続優勝を狙う西郷真央は7オーバー、104位タイと出遅れた。
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《グリーン=スティンプ:13 1/4フィート コンパクション:24.5mm》

 

 一拍の間がバーディーショーの分かれ目。山下美夢有が大会コースレコードの64をマークした。しかも8バーディー、ノーボギーの素晴らしい内容である。超難関、と前評判が高い公式競技のコースで衝撃が走った。しかも、前3戦が連続予選落ちを喫しているだけになおさらだろう。

 

 「何かをかえたわけではない。集中することは当然。しいてあげればスイングのリズムに細心の注意を払った。練習場と同じリズムでスイングをする。コックで間を置いたらショットの精度が上がった」。興奮する様子でもない。淡々と話した。スイングでトップから切り返す前に、一拍の間を置いたのだ。たったそれだけで、この激変である。ゴルフの奥深さ、怖さを垣間見たような気がした。

 

 極め付きは、パー5の12番。残り126ヤードの第3打を9Iで、ピン20センチへピタッとつけた。ギャラリーの大声援が気持ちよさそうだ。「ギャラリーの皆さんがたくさん。私、そういう状況になると、いい意味で熱くなれます。バーディーが決まると、皆さんから声援をいただける。すごくうれしいし、よけいにプレーが楽しくなります」。快進撃のプラスアルファを語った。

 

 さらに、やらなければならない理由も。母・有貴さんの誕生日だ。この日は家族がコースへ足を運び、愛娘の一挙手一投足を追った。「いいプレーを見せることができて、何より。今年はまだ、プレゼントを買っていませんけどね」と、打ち明ける。見ているこちらまで笑顔になる、印象深いワンシーンだった。

 

 「公式競技(優勝は)目標です。気持ちは上位で戦いたい。きょう、ノーボギーでプレーできたから、残り3日間もノーボギーでいければいいなぁ」という。プロ3年目とキャリアは浅いが、知る人ぞ知る達人。JLPGAツアーの連続ノーボギーホール『86』の記録を打ち立てている。

 

 コースセッティング担当ディレクター・茂木宏美が感想を話した。「3ホール、プレーを拝見しました。最も目を引いたのはパッティングのタッチ。15、18番の下りがピタッと合っていた。それから、マネジメントも良かったです。あの攻め方、ワクワクしながら見ました。頼もしいです」と解説する。

<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 

 さらに、こんなデータを発見した。第2R、4Rの平均ストロークがいい。ここまで、偶数Rに強く、奇数Rがいまひとつだったが、この勢いならムービングデーも心配ご無用のムードだ。

 

 おまけに、最終日の8日は母の日。「母とは仲がいい。何でも相談できる関係です」という。ノーボギーの人は、心まで五月晴れである。

 

以下、各選手のコメント

 

菅沼菜々(3位:-4)
 「毎日4アンダーが目標です。奥につけないで、手前から(攻めて)いった。きょうはノーボギーでしたが、距離が長くてチャンスにつけられなかったこともあったので、90点ぐらい。15番のパー3のバーディー(パット)が、18メートルぐらいあった。スライスで入ったのが今日イチでした。

 

沖せいら(4位タイ:-3)
 「あすは午後スタート。風が吹くし、グリーンも速くなるでしょう。パッティングの感触はいい。距離感をしっかり合わせていきたい。また、手前からプレーすることを心掛けたい。3アンダーは好発進です。12番では、奥から1.5メートル曲がるスライスラインが入ったのが、今日一のバーディーです。今シーズン、1ラウンドで5バーディーを目標に掲げている。それを達成することもできて、さらにうれしい」

 

内田ことこ(4位タイ:-3)
 「トップ10が目標です。残り3日間、欲を出さずにプレーしたい。たくさんのギャラリーが来てくださり、すごくびっくりしています。みなさまからの声援、拍手が力になりました。迷ったら手前から攻めるようにしました。きょうのバーディーは全部アプローチで寄せて獲りました」

 

竹内美雪(4位タイ:-3)
 「きょうはパッティングがすごくよかった。距離感、タッチどちらもいい。2番では8メートルが入りました。あしたも、この調子をキープしたい。ただ後半、100ヤード以内のショットの距離感がいまひとつだった。この後、しっかり練習します」

横峯さくら<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 

横峯さくら(7位タイ:-2)
 「きょうはいいスタートが切れました。あしたは午後スタート。グリーンが止まりにくくなるでしょう。きょうも最後の方は、ランが出ていた。警戒したい。(10番のイーグルは)109ヤードを48度で打ちました。ギャラリーから入ったという声援で、わかりました。うれしかった」

 

鈴木愛(7位タイ:-2)
 「あすは、スタートから風が吹くと思う。風が出てきたら、グリーンがカタく、速くなる。そうなると、飛ばすよりもフェアウェイキープが大事です。あとはアプローチ勝負。ティーショットとアプローチでいいイメージを出していきたい。第1日にしては、ピン位置が厳しかった。ナイスオンしても傾斜の難しいところからのパッティングばかり。あすは、上りのパッティングが打てるように、マネジメントしていきたい」

 

稲見萌寧<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

稲見萌寧(7位タイ:-2)
 「あすも安全第一でプレーします。(今日は)ティショットがすごく安定していました。フェアウエイから打てたのが、一番よかったです。きのう、ドライバーのシャフトを替えた。それが、ハマりました」

 

安田祐香(7位タイ:-2)
 「ショットはよくありませんが、うまくリカバリーしたり、落ち着いてプレーすることができている。あすもきょうのようなプレーを続けたい。きょうはフェアウェイキープが7回。あしたは、きょうよりも(フェアウェイキープの)回数を増やしたい」

 

西村優菜(15位タイ:-1)
 「あしたは、早起きがんばります。今週のテーマは、一歩引いたマネジメントをすること。欲を出すといい方向へいかないので、グッと我慢してプレーします。きょうは、18ホールずっと緊張していました。でも、楽しかった。ギャラリーもたくさんついてくださって、気持ちも昂りました。午前組のスコアを気にせず、守りに徹したプレーを最後までできたのがよかった」

 

勝みなみ(45位タイ:+2)
 「最後のイーグルはすごくうれしかった。112ヤードを54度で打ちました。よしっ、あしたも頑張ろうという気持ちになりましたし、ギャラリーの大歓声も気持ちよかったなぁ。きょうはドライバーショットがずっとラフで苦しい一日だった。距離も残ったし、パーセーブがやっとでした。でも、いつかバーディーがくると信じてプレーしたのが、最後のイーグルにつながりました」

西郷真央<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 

西郷真央(104位:+7)
 「きょうは早く帰って、気持ちを切り替えます。何が悪かったのかよく考えて、あした、同じプレーをしないようにしたい」