ニュースタイルの鈴木愛 圧倒的な存在感

<Photo:Matt Roberts/Getty Images>

 

 国内唯一の全米女子プロゴルフ協会公式戦。また、LPGAツアー第36戦『TOTOジャパンクラシック』(賞金総額1,500,000ドル、優勝賞金225,000ドル)大会第2日が11月9日、滋賀県大津市・瀬田ゴルフコース北コース(6,659ヤード/パー72)で行われた。この日も好調だったのは鈴木愛。通算12アンダーで、単独首位をキープした。2位は通算9アンダーのギャビー・ロペス。通算8アンダーの3位タイでハナ・グリーン、キムヒョージュが続く。渋野日向子は通算6アンダー、7位タイから逆転を目指す。(天候:晴れ 気温:16.4℃ 風速:1.4m/s)

 

 世界基準の闘争心で、鈴木愛が65をマークした。「スコアはまったく気にしていない。7アンダーとは知らなかった」。サラリといってのけたところが、かっこういい。7バーディー、ノーボギーの内容に、「1番からの3連続バーディーで、勝負のいい流れがつくれた。おかげで気持ちに余裕が出て、楽にプレーができたと思います」と語った。それにしても、15番のバーディー奪取は圧巻。9メートルをはかったように決めている。

 

 ただし、チャンスばかりではなかった。世界のトップを相手に、タフで長い18ホール。訪れるピンチも、強い意志ではねのけた。パー4の7番。第2打のライは、木の枝にスタイミーになっていた。直接、グリーンを狙えない。「つま先上りの、左足下がりでフェードはかけられない。だから、4Uで低く打ち出し、木の間を抜いた」という。プロフェッショナルのいい仕事だ。

 

 そのために練習を繰り返す。ピンチを想定して、クラブを握る。ただし、「この秋、左手のけがで休んでしまった。故障個所と相談しながらでから、練習量は以前とは比較にならない。今は、1/3程度です。というわけで、自分へあまり期待をしていない。無理をしないことで、最近は気持ちに余裕が出た。練習をしてうまくいかなければ、誰しも腹立たしくなる。だから、現状では、練習不足ですから、仕方がないと思うようになった」。複雑な胸中を吐露した。

 

 3打差のアドバンテージを握って最終日を迎える。「アメリカツアーの優勝スコアを、速報でチェックする。最終日、3アンダーはマストでしょう。5-6アンダーを出さないと優勝へ届かない。優勝って目標の先に待っているものですよね」。何やら達観した様子だ。故障は、精神面で補う。心技体の充実がオーラとなってコースへ漂う。

 振り返れば、前週から5日間連続で首位を渡していない。LPGAツアーで史上2人目の2週連続完全Vは目前だ。日本には鈴木愛がいる。誇らしい。

 

以下、各選手のコメント

 

ギャビー・ロペス(2位:-9)
「数日間アジアを回ってきましたが、日本に来られたことをとても嬉しく思っています。非常にいい調子でプレーできている。あすもしっかりとリーダーボードに残れるように、集中できたらと思います」

 

ハナ・グリーン(3位タイ:-8)
「悪くないラウンドでした。グリーンを外したところもありましたが、いいセーブできた。首位とは4打差。パッティングが入れば、チャンスがあると思う」

 

フォン シャンシャン(5位タイ:-7)
「実はきのうもいいゴルフでした。きょうも全体的に良い一日でした。グリーンが柔らかいので、グリーンをとらえれば、かなりのバーディーチャンスがあると思う。あすも今の調子をキープして、チャージできればと思っています」

 

ミンジー・リー(5位タイ:-7)
「出だしは良かったです。8-9番で連続ボギーでしたが、後半で2つバーディーをとれてよかった。あすは、まだスコアをのばせるチャンスがある。特に、17-18番は今日よりもいいスコアであがりたい。気温の変化で戸惑っていますが、日本での時間を楽しんでいます」

 

黄アルム(7位タイ:-6)
「4-5メートルのバーディーパットがよく入ってくれました。逆に、近いのは入りませんでした。リーダーボードを見たら、意外と上位でびっくり。あしたもこのまま、がんばります」

 

小祝さくら(13位:-5)
「ショットが良くなくて…。パッティングも1-2メートルを3回くらい外してしまいました。でも、よくそこから巻き返せたと思います。終わってみたら、もう少し伸ばせた感じもします。あすもしっかりと伸ばせるようにがんばりたい」

 

勝みなみ(14位タイ:-4)
「もう少し早くバーディーが来てくれれば…。でも、17-18番の連続バーディーはあすにつながります。とにかく楽しく3日間ラウンドできたらうれしい。あしたもどの選手と一緒になるかワクワクしています」

 

葭葉ルミ(18位タイ:-3)
「スコアを落とさなかったから上出来です。イメージ通りのゴルフができています。(明日は)ティーショットの落としどころが狭い。しっかりとフェアウェイキープを意識します」

 

アリヤ・ジュタヌガーン(18位タイ:-3)
「調子がいいことはわかっていました。きのうは、ティーショットが予想しないところへ飛んでいっていましたが、きょうは修正できた。あすもきょうと同じようにプレーするだけ。調子が良くなっていているので、楽しみです」

 

河本結(27位タイ:-2)
「奈紗と一緒のラウンドで、USLPGAツアーの先輩として、たくさんアドバイスもらいました。魅力がたくさん分かって、少しずつ楽しみになってきました。(今日のラウンドは)もう少し伸ばせる感じはあったので、心残りですが、上がり2連続バーディーでホッとしました。トップ10目指してがんばります」

 

畑岡奈紗(63位タイ:+1)
「ショットがぶれてしまうのと、パーパットがだいたい2メートルくらい残ってしまったのが、しんどかった。この後、練習して良くなれば…」

 

柏原明日架(72位タイ:+4)
「いいメンバーとのラウンドでした。二人とも要所要所のショットやパッティングは絶対に決めてくると思いました。吸収できるところは吸収していきたい」