限界をつくらない 李知姫、不惑の誓い

<Photo:Masterpress/Getty Images>

 

 2019年LPGAツアー第7戦『KKT杯バンテリンレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が4月21日、熊本県菊陽町・熊本空港カントリークラブ(6,428ヤード/パー72)で行われ、李知姫が通算8アンダーで逆転優勝を飾った。1打差の通算7アンダー、2位は吉本ひかる。(天候:晴れ 気温:24.9℃ 風速:1.3m/s)

 

 勝負所を知り尽くしたベテランの技がさえた。通算7アンダーで並走する吉本ひかるはホールアウト。最終組でプレーする李知姫は、パー5の最終18番にかけた。「バーディーがとれるホール。このチャンスを活かさなければ優勝は難しい。絶対に決めるつもりでした」とウイニングパットを振り返る。4メートル、下りのスライスラインを見事にカップイン。ところが、「勝ったという実感がわかなくて…。本当に優勝したのかなぁ、という気持ちでした」という。

 

 きょうは、特に前半のプレーが強烈。「すごくショットの感じがいい。とてもいい手応えがあった。でも、後半へ入るとショットの感触がいまひとつ。ひたすら、ガマンを重ねていたのです」。まさに、経験の妙といえるだろう。今年2月、不惑を迎えた。「40歳になったことをビックリしたのは、私自身。去年、ゴルフの調子があまりよくない。私のゴルフはどうなるだろう。果たして、40歳で優勝できるのだろうか。シーズン前からそんなことを考えた」そうだ。

 

 もっとも、周囲から、「何歳までプレーするのか。いつ引退する。とにかく、そんなことばかりを聞かれた影響も多いと思う。私はいくつまでプレーするとか、考えていません。若い時は、30代まで、と思った時期もあったけど、だんだんゴルフが楽しくなる」と話した後、笑顔になる。「年をとると、飛距離が出なくなるといわれるけど、私は大丈夫。(大山)志保さんも頑張っているし、まだまだイケると思っています。ただ、同じ年ごろの選手が少なくなったことは事実。(古閑)美保さんが、テレビ中継のラウンドリポーターをしていて、私が選手です。ちょっと複雑でした」と首をひねった。

 

 一方で、限界をつくらないことも第一線で活躍する重要な要素。「できる限りの準備をします。やはり、体調管理が重要でしょう。長く続けるためには、努力がもっともっと必要ですね」と自身へエールをおくる。さらに、「私はあとひと息が足りないことが多い。賞金女王もなれそうでなれない。もう一段階、上のレベルを目指したいです。もし、以前に優勝を重ね、タイトルをとっていたら、今のような気持ちにはなっていなかった。悔しい。惜しいがエネルギーの源」と本音を語る。

 

 今回の優勝でツアー通算23勝目を飾った。「永久シードをとるためには、年間3、4勝しなければならない。ツアーのレベルが格段に上がっているし、難しいとは思っているけど、まだあきらめてはいません」。気高く、力強く、不惑の決意がインタビュールームに響いた。

 

以下、各選手のコメント

 

黄アルム(-6:3位タイ)
「出だしの1,2番ホールと連続バーディーのあと、3番も2ヤードくらいにつけたのですが、外してしまって。そんな惜しいプレーが多くて悔しいです。しかし、それなりにいいプレーができたので。満足しています。来週また頑張ります」

 

比嘉真美子(-5:4位タイ)
「特によくもなく悪くもなく、3日間通して勝てるようなゴルフではなかったです。その中でも耐えるところは耐えて、18番がくるまでずっと18番でバーディーを獲ることを楽しみにラウンドしていたので、3日間達成できてよかったです」

 

原英莉花(-5:4位タイ)
「今季初めて優勝争いをして、トップ10にも入れたので良かったです。後半に入り、イメージがカット過ぎて、ドライバーが振れなくなってしまいました。ショットが曲がり始めた原因を見つけられたので、そこはよかったです。来週からは数字だけではなく、プレーの流れをもっと勉強して、頑張ります」

 

青木瀬令奈(-3:12位タイ) ※13番ホールでホールインワン達成
「ツアーで2回目、プライベートを含めると6回目のホールインワンとなりました。前のホールで50cmくらいのパットを外してしまって、取り返してやろうと思って打ちました。ピンに向かって飛んで行ったので、『入れー!』と叫んだら入ってくれました。お釣りが来た感じでよかったです」

 

大西葵(+2:42位タイ)
「2番ホールのトリプルボギーですが、あんなシャンクは初めてでした。別に緊張していたわけではないんですが。その後切り替えてはいたんですが、全然ダメでした。この経験は絶対無駄にはならないから、来週以降にいかしていきたいと思います」