《ボツコラム》“新鮮”力の躍動(1)
●小野伸二(浦和)
アメリカ戦先発出場、66分途中交代
1月13日、フェイエノールトから古巣浦和に移籍した小野。この移籍は、海外組から国内組への“移籍”でもあった。これまで試合直前に合流するだけだった国内組にとって、海外組から“移籍”してきた小野は新たなライバルとなる。
アメリカ戦では、昨年5月27日のキリンカップUAE戦以来、約8カ月ぶりの代表戦先発出場。ポジションは、MF小笠原と並んだ攻撃的MFだった。
立ち上がりは順調。5分、素早いチェックでボールを奪った小笠原からパスを受けると、ダイレクトでFW久保に叩いてチャンスを作った。しかし、前半で決定機に絡んだのはこのシーンだけ。残る時間は、精力的にプレッシングを仕掛けるアメリカの勢いに押され、守備に奔走。久しぶりの実戦ということを差し引いても、物足りなさが残るデキだった。
ただ、その中でも「ボールを落ち着かせる」ということに掛けては際立った能力を見せた。相手のプレスを、右足アウトサイドを巧みに使って難なくかわす。縦に急ぐ傾向にあった日本において、DFラインに戻してゆっくり作り直そうとした。試合の流れを見極めて「つなぐこと」を判断した小野のプレーは、異質の冷静さを放っていた。
ハーフタイム、ジーコ監督は小野をボランチに戻す。その効果はてきめん。ボールを大きく横に動かし、サイドからじっくりとつなぐ。前半、不用意な横パスでボールを失い続け、16本ものシュートを浴びた日本。動揺したチームメートは、小野が作るゆるやかなリズムに合わせ、深呼吸するように冷静さを取り戻していった。
そして60分、小野が丁寧に繋いだボールを受けたDF加地は、相手DFをドリブルでかわしクロス。このボールが、FW巻の追撃弾を導いた。1点をとって落ち着いた日本は、徐々に本来の動きを取り戻す。その布石を打ったのは、紛れもなく小野のパスだった。
68分、久しぶりの実戦ということを勘案され、小野はベンチへ下がった。だが、小野がチームのハンドルを握った(ボランチとは、ポルトガル語でハンドルの意)わずか22分の間に、チームは完全に立ち直った。
すでに、攻撃的MFにはMF中村(セルティック)、MF中田英(ボルトン)という2枚看板が存在する。彼らと小野が競争をすることは、小野にとってもチームにとっても得策ではない。小野は、チームのハンドルを握るべき存在。つまり、ボランチの位置がベストなのである。そのことを強く印象づけられたアメリカ戦だった。