素人JAZZ
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リングに上がる決意

ロッキーがまたリングに上がりますね。


”どんなに打ちのめされても前に進み続ける”

”決してあきらない


ギャオでやってるCM見るだけで感動。涙。涙です。


『ロッキー』シリーズはいいですよ。

特に1作目がいいです。


何がいいか?

ありえない話なのに、リアルな人生の苦さ、

不器用さがあるのがいいです。


スラムのしがないボクサー”ロッキー”。

決して美人ではない内気なヒロイン”エイドリアン”。

エイドリアンのどうしようもないダメ兄貴”ポーリー”。

年老いたマネージャー”ミッキー”。

世渡り下手でカッコわるい負け犬的人生を歩んできた

彼らの大逆転に、拍手。拍手です。



映画の中に限らずボクサーの戦う姿は人を勇気づけます。



例えば、ミドル級チャンピオン 『シュガーレイ・ロビンソン』


その強さ、相手を倒すときの優雅さは、

ボクサーの中でも格別といわれていました。

彼の戦う姿は、

堕落と破滅の淵にいた一人の天才トランペッターに再起の力を与えます。



彼の名前は『マイルス・デイビス』



ドラッグに溺れたマイルスは、ロビンソンを見てこう語りました。


「彼はリングでは、決して笑わない」

「自分のやるべきことだけに集中している」


ロビンソンの真剣な生き方に影響を受け、

マイルスもまた、

自らのリングに立ち上がろうと決意します。



1954年。

ドラッグを断つ決心をしたマイルスは、

いかにも彼らしく自分の力だけでやり遂げる道を選びます。

彼はハリウッドから長距離バスに乗り込み

故郷イリノイ州の父親の農場へ向かいます。



父親はきっばりとこう言いました。

「私は愛情をもって見守る以外何もできない」

「これは、お前自身の仕事だ」


マイルスは小さな家の一室に入り、ドアに鍵をかけます。


猛烈なクスリへの欲求。

襲いかかる禁断症状。

身体は震え、節々の痛みに今にも叫びそうになります。


7日間、彼は何も口にしませんでした。



彼は、こう回想しています。


「ある日、それは、ぱったりと終わった」

「外に出て澄みきった甘い空気を吸い、

父親の家へと向かった」

「父は満面の笑みを浮かべて立っていた」

そして・・・

「二人はただ抱き合って、声を上げて泣いた」



マイルスは、心に誓います。


”自分には音楽しかない”

”失った時間は、いつの日か、埋め合わせる”



そしてマイルスの伝説が始まります。







私のお気に入り

先日、仕事の関係で名古屋市内にある”京風JAZZ割烹”のお店に伺った。


ジャズと食事を楽しむというコンセプトでつくられた店内は、

7名程度が座れるカウンター席とテーブル3席のこじんまりとした空間。

夜は予約のみで懐石料理を提供。


今の時期は、

”鱧おとし” ”鱧の酢物” ”鱧の天麩羅”など

京都でしか味わえない本物の鱧料理が楽しめる。


「箸の使い方がまともにできない客は追い返す」という店主は

いかにもJAZZ通という風貌。


そんな店主に”JAZZ”について話を向ける。




(私)  :  「オススメのCDを教えていただけませんか?」


(店主) :  「そんなの別にいいじゃない。好きに聴いたら」

        「だいたい俺は、”JAZZに凝っている”なんて奴に

ロクな奴はいないと思っている」
        

        「そんな奴にかぎって、

音響がどうだとかコードがどうだというが

        JAZZは、もともとニューオリンズからはじまった

”ストリートミュージック”だろ!

        音響がどうだ、こうだなんて、はじめから関係ない」

        「そんなことより感じるか感じないか」

        「理屈より、いいと思うかそうじゃないかの気持ちだけだ」 


        「いい音楽はいい。だから俺は、

        JAZZも好きだし演歌もフォークも聴く」
        「なぁ、俺はフォークもきくよなぁ」

        →(奥さんにしゃべりかける)


(奥様) : 「そうねぇ・・・。でも私は聴かない」


(店主) : 「俺が言いたいのは、

        よっぱらったオッサンが口ずさむ演歌のように

        自然とリズムを取りたくなるような

        思わずフレーズを口ずさんでしまうような

        そんなJAZZがいいってことだよ」


(私)  : 「では、思わず口ずさんでしまうような

        オススメのCDを紹介してもらえませんか?」


(店主) : 「そうだなぁ・・・」「ちょっとアレかけて」

       →(奥さんがCDをセットする)




そして店内に流れた音楽それが


土岐麻子
standards~土岐麻子ジャズを歌う~



驚いた!





店主のイメージとはまったく違う素直な美しいJAZZ。

ヴォーカルリスト土岐麻子の歌声・・・素晴らしい。


JAZZ素人のわたしは、土岐麻子を知らない。


まずは、彼女のCD

standards~土岐麻子ジャズを歌う~

       と

STANDARDS on the sofa~土岐麻子ジャズを歌う~

の2枚を購入。


自分の場合、

JAZZのCDを購入しても1度しか聴いていないものが結構あるが、

これは、何回も聴きたくなる

当たりCD!!


彼女の歌声を聴いていると曲に対する愛情がつよく感じられる。


宣伝文句に

『音楽を愛するひとりの女性ヴォーカリストが

自分の愛する楽曲を、自分が夢に描いたアレンジで歌った

愛すべきカヴァー作品集』

とあるのだけれど


本当に自分の”お気に入り曲”を大切にうたったアルバム。

だから、standards~土岐麻子ジャズを歌う~ の1曲目が



『MY Favorite Things』(私のお気に入り)

なのだろう。



『MY Favorite Things』(歌詞


バラの花びらに落ちた雨粒・子猫に生えたひげ

ぴかぴかの銅のやかん・あったかい毛糸の手袋

紐でぎゅっと結ばれた茶色の包装紙

私のお気に入りのものたち


クリーム色の子馬・りんごのお菓子

玄関のベルとそりのベルと子牛のカツレツ

野生のガチョウ達が月夜に飛ぶ姿

私のお気に入りのものたち


白いドレスにブルーのリボンをした女の子達

鼻のあたまとまつ毛に残った雪

春には溶けてなくなってしまう白と銀の冬

私のお気に入り


たとえば犬にかまれた時 

たとえば蜂にさされた時

たとえばなにか悲しくなった時

お気に入りを思い浮かべてごらん

そうすれば ほら 悪くない気分




自分の大切な人に

そして、いずれ生まれてくる自分の子供に

是非、聞かせたいアルバムです






カッコいいもの探し

今回、ご紹介するのは、カッコいい高校生の話。


彼の名前は、杉原。

コリアン・ジャパニーズ(在日韓国人)。

在日を取り巻く複雑な状況の中で育つが、自分の状況に同情など一切しない。

中学卒業まで民族学校で教育をうけるが

”広い世界”をみるため日本の高校に入学する。

高校での友人なし。

ヒネクレ者で、同時にロマンチスト。

3年生になり、メチャメチャかわいい在日ジャパニーズ(日本人)の女の子

桜井と出会う。




もう、気づかれたかもしれません。

杉原は、小説『GO』の主人公。


『GO』は、2000年に第123回 直木賞を受賞した小説。

その後、映画化(窪塚洋介、柴咲コウ 出演)や漫画化もされている。

金城 一紀
GO


この物語の中で主人公の杉原とヒロインの桜井は、

『カッコいいもの探し』をする。


方法は簡単。


①2人で本屋・CDショップ・レンタルビデオ屋・美術館などに行く。

②本の表紙やCDのジャケットやビデオのパッケージなどをながめる。

③直感で”何か”を感じたものだけ選んでいく。

④「カッコ良かったか、悪かったか」とういふたつの基準だけで選り分ける。


”カッコいいもの”が発掘できる確率は3割程度。

空振り・凡打も当然あり、多くの時間とお金を無駄にする。

しかし、2人で発掘した"特別なカッコいいもの”がどんどん充実していく。


また、2人はお互いに気に入っているCDを薦めあう。


はじめて杉原が桜井に薦めたのが

●ブルース・スプリングスティーンの 『トンネル・オブ・ラブ』

ブルース・スプリングスティーン
トンネル・オブ・ラブ(紙ジャケット仕様)


そして、桜井から

「これ、すっごくカッコいいよ」と薦められたのが

●ジャズ・ピアニスト

 ホレス・パーランのアス・スリー



杉原はその日の晩、寝るまでに3回、このCDを聴く。

その感想が「本当にカッコ良かった」。





もちろん私は、次の日すぐに『アス・スリー』を求め、

名古屋のCDショップのJAZZコーナーに走った。


ホレス・パーラン、ホレス・パーラン、ホレス・パーラン・・・・・・・ない。

ホレス・シルバーはいっぱい置いてあるがホレス・パーランがない。


大丈夫か?パーラン。


本当にカッコいいのか?


結局、そのお店には在庫がなく、取り寄せてもらうことに。


CDが届くまで1週間程度、

ホレス・パーランについて調べる。


パーランは黒人だと知る。


どうやら『アス・スリー』はパーランの代表的傑作らしい。

大丈夫そうだ。



いや、まて。

お前はいままで何回”歴史的な名盤”に裏切られた。

うかつに信用するんじゃない。痛い目をみるぞ。


パーランは5歳で小児麻痺になり、右手が不自由に。

それでもプロになるなんて、努力家なんだなぁ。


いや、情にながされるな!

作品の完成度とは関係ない話だ。


などと自問自答しているうちに受取日。



自宅でゆっくり聞く。


1曲目がタイトル曲『アス・スリー』。

ベースのイントロからはじまってだんだん盛り上がっていく。

うん、うん、”カッコいい”。

黒人ピアニストだけあって、”黒っぽい”なぁ。




もう一人の自分がささやく。

お前、本当にわかって言ってんのか?

”黒っぽい”って、いったいどんな感じなんだよ。

詳しく説明してみろよ。





結論。『アス・スリー』は”カッコいい”!


理由。魅力的な女の子の桜井が

「これ、すごくカッコいいよ♪」と薦めていたから。



自分にとって”カッコイイ”作品かどうかは、

案外そんなところで決まります。


ホレス・パーラン, ジョージ・タッカー, アル・ヘアウッド
アス・スリー [紙ジャケ]

この素晴らしき世界

ジャスの素人が語る素人JAZZ。


『きばり会』の皆さんコメントありがとうございます。

このブログは1週間に1回程度のペースで更新していく予定です。


さて、今回ご紹介するのは、ルイ・アームストロングの大ヒット曲。

『この素晴らしき世界』です。


この曲をはじめて聴いたのは、18年前の深夜の映画館。

グッドモーニング・ベトナム 』を観ている時でした。


映画でこの曲がBGMとして流れ、

画面にはすがすがしい朝焼け、無邪気に水遊びをする少年、

のどかな農村、美しく平和なベトナムが映し出されます。


この曲の歌詞(日本語訳)は次の通りです。


木々の緑 赤いバラ

君と僕のために美しく輝いている

僕は独り想う

なんて素晴らしい世界だろうと

空の青さと雲の白さ

明るく幸せな日々 神聖な夜

僕は独り想う

なんて素晴らしい世界だろうと


七色の虹が大空に映える

行きかう人々もにこやかで

「こんにちわ」と手をにぎり

挨拶を交わし

心の底から「愛している」とささやく

赤ちゃんの泣き声が聞こえる

あの子たちは大きくなって

僕の知らないことを沢山学ぶのだろう

僕は独り想う

なんて素晴らしい世界だろうと


映画の中では、

田植えをしている女性の後ろの民家が突然、爆破される!

唖然とする女性。

映画のシーンは1965年ベトナム戦争中の農村なのです。


逃げ惑う人々。路地裏で射殺される若者。

一人取り残され泣き叫ぶ少女。

美しいベトナムがメチャメチャに破壊されていく。


そんなシーンでルイ・アームストロングが歌う。

美しいメロディーにのせ

「なんて素晴らしい世界だろう」と


”素晴らしい世界”を望む気持ちは、

アメリカ人もベトナム人も同じはず。

それなのに現実には正反対のことが起こっている。

その切なさに、その哀しさに泣けました。


日本語の『義』という言葉の中には、

『人間として正しい思い』という意味があるそうです。


もともとの正しい思いに、更に「正」という字をつけたのが「正義」。

わかりきったことを敢えて「正しい」と重ねていくうちに

本来の人としての正しい心の働きから、かけ離れてしまう危うさ。



”正義”は人それぞれ違うけれど、


”義”「人としての正しい思い」


そして 『素晴らしい世界』 を望む気持ちは


すべての人々の心の奥で共有されている。


そんな気持ちにさせるルイ・アームストロングの傑作曲。

ルイ・アームストロング
この素晴らしき世界

女の子に喜ばれたジャズCD

JAZZの素人の私が”JAZZ”を語る『素人JAZZ』


第1回は、私が大学生の頃、アルバイト先の女子高生にプレゼントして

彼女に好意をもたれるキッカケになったJAZZ。


当時、私は悩んでいた。


アルバイト先にカワイイ女の子がいる。

しかし、彼女はまだ高校1年生。


まじめだった私にとって、女子高生にちょっかいをだすなど

公序良俗に反する許されざること。

世間に顔向けできぬ犯罪行為!!


しかし、彼女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カワイイ・・・。



そんな彼女が近々、16歳の誕生日をむかえることを知る。




何かプレゼントをしたい。


高価なものは下心があるようでいやらしい。

そもそも金がない。


何かいいプレゼントはないか?

安くてセンスがよく、ちょっとお洒落なものがいい。

何かないか?

何か? 何か? 何か?



当時、世間では村上 春樹の『ノルウェイの森』がベストセラーになっていた。

私の記憶では、ブックデザインがお洒落という理由で”プレゼント”として購入されるケースも多かった。(ノルウェイの森 上  ノルウェイの森 下



そして、JAZZ素人の私は、村上春樹がジャズに造詣の深い作家だということも知らず、この本を読んでいた。

すると主人公とその恋人が結ばれる夜のBGMとして2枚のCDが使われている。


1枚はビートルズの『サージェント・ペパーズ』。


そして、もう1枚は


ビル・エバンスの『ワルツ・フォー・デビイ』。


ビートルズの『サージェント・ペパーズ』は知っている。

でも、ビル・エバンス? 誰?

『ワルツ・フォー・デビイ』??  どんな曲なんだろう???


当時の私は、それがJAZZのCDであることすら知らなかった。


早速、CDを購入し聴いてみる。


ビル・エヴァンス, スコット・ラファロ, ポール・モチアン
ワルツ・フォー・デビイ+4


これは使える!!


★プレゼント メリット


●音楽が美しくロマンティック。

●ジャケットがカッコイイ。

●なんとなく知的でお洒落。

●評価が確定している女性に人気の高い歴史的な名盤。

●ベストセラー『ノルウェイの森』で使われている。

●プレゼントとして安い



そして彼女の誕生日。

たまたま、偶然、思いだしたかのように


「あ、そういえば今日、誕生日だったっけ?」


そして鞄の中から包装もなにもしていないCDを無造作に取り出し。


「これ俺の好きなCDなんだけど、よかったらプレゼント代わりにあげるよ」




ということで、

『ワルツ・フォー・デビイ』をプレゼントしたのでありました。




結果、

彼女は大変このCDを気にいり。

私と彼女とは前にもまして仲のよいアルバイト仲間となりました。


そして彼女から

「映画いっしょに観にいきませんか?」

「来週、遊園地に連れて行ってくださいよ♪」 

などと言われ浮かれ気分!!





しかし、


結局、彼女と2人きりでどこかに出かけたことは、一度もありませんでした。


なぜなら、

彼女には”彼”がいましたし、

私にも付き合っている”彼女”がいたからです。




ビル・エバンスのピアノは甘くせつなく美しい。