先日訪ねたラストの三月書房さん、
そちらで頂いた長谷川泰子の中也回顧録、
『中原中也との愛~ゆきてかへらぬ~』、
読み終えたので早速レヴューしてみたい。
大正~昭和初期の夭折の詩人、中原中也、
彼の全人生を通して、その心を支配し続けた長谷川泰子、
彼女の、中也、そして小林秀雄との奇妙な関係、
そして彼女の人生を振り返った回顧録なのだが、
前も書いた通りこの書の存在はずっと知っていたんだけど、
なかなか市場に出回ってないらしく、見つけることはできなかったんだけど、
このほどやっと発見、お気にのお店のラストに運命的な出逢いだった。
そして若い頃知った中也らのエピソード、それらの数々の切ない事実、
その直接的な関係者ってことだし、
また、確か90年頃放映された三上博史が中也、小林秀雄が古尾谷正人、
そして彼女を樋口可南子が演じていて、
それはそれはもう、印象的なドラマだったんだけど、
(ちなみに中也の母役に樹木希林、奥さん役は杉田かおる、
彼女らも本トぴったりはまっていたな)、
なので期待感大で読み始めたんだけど。
確かに彼女とふたりの関係が女性の側からうまく描かれてると思う、
そして自分でも「うん、うん、わかるわぁ~」ってのが多かったかな、
性格的にはひと言でいえば、今で言う「天然」、
自分ではそんな重く考えて言った&行動した訳でもないのに、
相手に相当なダメージや影響を与えてしまう、
でもね(だからこそ?)読んでく裡に、だんだん疑問符が多くなっていったかなぁ、
例えば中也と暮らし始めたころのこと、
なぜ? って疑問がまず沸くんだけど、
住む処がなくなってしまった彼女に、
「僕の所に来るかい?」って言われてヒョイヒョイついて行っちゃうなんて、
う~ん、そこがまず考え物だな、
彼女いわく、男として意識していなかった、って、
女はそうでも男の方はそうでもないことが多いからね……。
それが、その後他の人とかにも繰り返されるし。
そこまではいかなくても、それに近い様な事はけっこうあるよね、自分でも、
女性の方はそんな意識してなくても、男の方は、っての、
女性が無垢&ピュアであればあるほどその度合いが深まっていくんだよなぁ~、
ある意味、罪なことだと思う。
だからこそより純粋な中也は一生彼女に心を支配されていたんだと思う、
それはある意味不幸なことだけど、逆に幸せだったのかもしれないね、
それまでかけられる女性が存在してたってことだろうし、
中也そのものといった方がよいかもしれない。
そういった意味で中也の人となりの一部を垣間見れた、
新しい発見が多かった、貴重な記録だと思う、
そしてよく語ってくれえたな、とも。
空の上では仲良くやっていてほしいな、
いや、そこでもまた振り回されてるのかな……。