日本テレビ系演芸番組「笑点」（日曜午後5時30分）の新大喜利レギュラーとして、落語家の立川晴の輔さんが加入することが７日の放送で発表されました。
3月31日の放送で、歴代最長の55年間大喜利レギュラーを務めた林家木久扇さんが卒業。
司会の春風亭昇太さんから「それでは早速、新メンバーの方に登場して頂きましょう！ お願いします！」と呼びかけられると、木久扇さんがまさかのサプライズ登場。
「どうも、新メンバーの木久扇です」とあいさつすると、メンバーから総ツッコミを浴びました。
木久扇さんが改めて新レギュラーとして晴の輔さんを紹介すると、客席も大盛り上がりとなりました。
新メンバーの晴の輔さんは、落語立川流の真打ち。
立川志の輔さんの一番弟子で、「笑点特大号」（BS日テレ）の「若手大喜利」コーナーで存在感を発揮してきました。
2019年には病気療養中だった６代目三遊亭円楽さん（故人）の代演として「笑点」でも大喜利に登場したことがある実力者です。
落語立川流の大喜利レギュラーは、初代の司会者・立川談志さん（当時は落語協会に所属、故人）以来、実に55年ぶり。
大喜利の回答者では初となります。
江戸落語は現在、落語協会、落語芸術協会、落語立川流（立川流）、五代目円楽一門会と４つの所属団体に分かれているが、晴の輔さんの加入で４団体すべての噺家（はなしか）がそろうことになりました。
立川 晴の輔（たてかわ・はれのすけ）さんは1972年11月21日生まれ、神戸市出身、51歳。
東京農業大学を卒業後、1997年に立川志の輔に入門し、「志の吉」を名乗りました。
2003年二ツ目昇進。
2008年に「東西若手落語家コンペティション」グランドチャンピオン。
2013年真打ち昇進を機に「晴の輔」に改名。
同年より「笑点特大号」（BS日テレ）の若手大喜利レギュラー。
「笑点」では毎回、新メンバー予想が繰り広げられており、初の女性落語家が加入するのかも注目されてきました。
「寄席のプリンセス」と呼ばれる女性落語家・蝶花楼桃花さん、林家正蔵の弟子の林家つる子さんらの名前もネット上では挙がっていたが、今回も女性ではありませんでした。
男性落語家では、未来の落語芸術協会を背負う存在と呼ばれる人気落語家・柳亭小痴楽さん、木久扇さんの息子の林家木久蔵さん、司会の春風亭昇太さんの弟子で人気の春風亭昇也さんらの名前が出ていたが、立川流の晴の輔さんはダークホースでした。
落語関係者からは「晴の輔さんだったとは…」「そこは予想していなかった」と驚きの声が次々と上がっていました。
半世紀にもわたり、立川流と「笑点」に隔たりがあったのは、両者の因縁が背景にあります。
「笑点」は1966年、談志さんが立ち上げてスタート。
当時、テレビの普及に押され、寄席に足を運ぶ人が減った状況に危機感を抱き、「落語家もどんどんテレビに出るべきだ」との思いから企画。
初代司会者となり、風刺やブラックユーモアを取り入れながら、大人の笑いを求めたが、日曜夕方という時間帯の笑いに合わないとする番組スタッフ、レギュラー陣と対立。
1969年3月末にレギュラー陣全員が降板し、談志さんも同年11月に番組を去りました。
こうした歴史の中で、50年ぶりの立川流出演者となった晴の輔さんはこの時「私は落語立川流という暗黒集団からやって参りました。ブラックな一門と言われていますので、腹黒の席はぴったりだと思います」と円楽さんの腹黒キャラかけてあいさつ。
会場の笑いを誘ったこの言葉には、晴の輔さんの師匠・立川志の輔さんのアドバイスもあったとされ、テレビ関係者の間では「晴の輔が笑点と立川流の雪解けの使者の役目を果たした」と評価されていました。
なぜ今回、晴の輔が抜てきされたのか。
その理由について、テレビ関係者は「BS日テレの若手大喜利コーナーで実力を発揮していることに加え、2019年の雪解けに力を発揮した功労者という部分が大きかったようだ」と話します。