「魔女っ子メグちゃん」放送50周年と東映魔女っ子シリーズ | 女装男子かなこのブログ

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1974年4月1日、「東映魔女っ子シリーズ」の1作であるテレビアニメ「魔女っ子メグちゃん」(NET(日本教育テレビ、現在のテレビ朝日、以下同じ))がテレビ放送を開始しました。


2024年の今年で50周年となりました。


放送当時、対象となっていた女の子だけでなく、秘かに男の子にも人気だった作品です。


ひと口に「東映魔女っ子シリーズ」と言いましたが、これは正式名称ではありません。


便宜上、使われてきた「カテゴリー」を指す非公式な呼称のひとつです。


しかし、この呼称で呼ぶ人も多く、通称として広く使用されてきました。


「東映魔女っ子シリーズ」は全てNET~テレビ朝日系で放送されました。


このシリーズの第1作目が、1966年にテレビ放送開始した「魔法使いサリー」、そして第2作目が1969年にテレビ放送された「ひみつのアッコちゃん」です。


この2作は原典であり、すべての魔女っ子の基本となった作品といわれています。


その理由は、「サリー」が「魔法の国からやって来た生粋の魔法使い」、「アッコ」が「魔法のアイテムをもらって魔法が使えるようになった女の子」と、その後の魔女っ子ものの王道パターンを早くも確立したからでした。


しかし逆を言えば、魔女っ子ものは最初の2作で頂点を極めてしまったといえます。


それゆえに以降の作品では、それまでにない設定を組み込んで試行錯誤することになりました。


1970年にテレビ放送された第3作目「魔法のマコちゃん」はアンデルセン童話「人魚姫」がモチーフとなり、主人公のマコちゃんの年齢を少し上げ、マコちゃんの恋愛はもとより公害や受験競争など当時の社会問題も織り込みました。


ただ、「サリー」「アッコ」ほどの人気は得られませんでした。


1971年にテレビ放送した「さるとびエッちゃん」は魔法ではなく忍者、1973年にテレビ放送した「ミラクル少女リミットちゃん」は科学の力でよみがえったサイボーグ少女という、厳密には魔女っ子とはいえない設定の物語です。


ちなみに、この「ミラクル少女リミットちゃん」と社内コンペで月曜夜7時台の枠を争った作品が「キューティーハニー」でした。


結果的に敗れはしましたが、「ハニー」はNET系土曜夜8時30分という枠で放送されることになり、本来予定していた女の子向けから脱却して、よりセクシーな内容へと移行します。


これらを魔女っ子シリーズとカウントするか否かは、媒体によって異なります。


「キューティーハニー」が土曜夜8時30分という、当時のテレビアニメとしては遅めの時間に放送されたのは、裏番組の「8時だョ!全員集合」(TBS)への対抗策でした。


「魔法使いサリー」以降の東映動画(現在の東映アニメーション)制作ということで、さまざまな見立てをされますが、おおむねシリーズと認識するのが普通でしょうか。


こういった試行錯誤があったものの、本作「魔女っ子メグちゃん」は、魔界の次期女王候補であるメグが修行のために人間界にやって来る……という比較的スタンダードな設定を持つ作品となりました。


もともと「魔女っ子メグちゃん」は、前番組の「ミラクル少女リミットちゃん」が視聴率低迷で1年間の予定が6か月で打ち切りとなり、それに代わる形で企画されました。


そして蓋を開けてみると、本作は1年6か月間の放送、全72話という人気作品となります。


放送時間は月曜夜7時で、この時の裏番組には人気の子供向け作品がいくつかありました。


フジテレビ系列はアニメ「0テスター」(関西テレビ制作)、日本テレビ系列は特撮「スーパーロボット マッハバロン」やアニメ「ガンバの冒険」という、現在でもその名を聞くことのある人気作品です。


TBS系列はアニメや特撮ではなく、「キックボクシング」でした。


しかも「仮面ライダー」シリーズなど、人気番組を短縮させた1975年4月の大阪ネットチェンジ(朝日放送と毎日放送のネット交換)の際も、本作は休止されることなく、関西地区では毎日放送から朝日放送に放送局を変えて放送されました。


朝日放送で放送された東映アニメーション制作のアニメは、TBS系列時代は「キックの鬼」「原始少年リュウ」の2作品しかなかったが、テレビ朝日系列となってからは今日まで途切れることなく放送されています。


本作のどこにそれだけの力があったのでしょうか。


その魅力について触れていこうと思います。


本作の見どころを集約すれば、主人公である「神崎メグ」の魅力に尽きると思います。


おてんばで活発で、時には直情的に下品な言葉遣いになるという破天荒さは、それまでの魔女っ子シリーズばかりか他ジャンルにもあまり見られず、いわゆる優等生的なヒロインの多かった当時は新鮮な存在でした。


さらに、寝る時はスケスケのネグリジェを着たり、弟の「ラビ」や監視役の「チョーサン」からのイタズラによるパンチラやセミヌードなど、これまでの女の子向けになかったセクシー描写がふんだんに盛り込まれています。


このメグのデザインを担当したのは、後に数々の作品で多くの美形キャラクターを生んでいく荒木伸吾さん(故人)でした。


荒木さんは初めてのキャラクターデザインだった「バビル2世」、その後の「キューティーハニー」に続いて、本作が3作目となります。


その美麗なキャラクター造形がメグの魅力を支えた要因のひとつでしょう。


そして、忘れてはいけないのがメグの声を演じた声優の吉田理保子さんの存在です。


この吉田さんの演技によって、メグは画面上で生き生きとして動いたといっても過言ではないでしょう。


吉田さんの初主演作となったメグは、その後、多くの人に知られることになる彼女の代表作となりました。


このメグの魅力をさらに引き出すことになったのが、魔女っ子シリーズでは初のライバル役となったもうひとりの女王候補「郷ノン」の存在です。


冷静なクールビューティーで、このノンとの対比がメグをより輝かせました。


もちろん、ノン自身も魅力的なキャラクターであることは間違いありません。


ノンは単なるライバルという関係だけでなく、時には窮地に陥ったメグを手助けすることもある役どころでもありました。


情に厚いところもあるノンは、それまでの女の子向け作品に多かったイジワルなライバルキャラクターとは一線を画す存在だったわけです。


その代わりにイジワルなトラブルメーカーという役どころとなったのがチョーサンでした。


さらに本作では、メグとノン共通の敵というべき「闇女王サターン」というラスボスのような存在が登場します。


こういった従来のフォーマットになかったキャラクターの存在が、平凡な設定と思われがちの本作の後支えになっていました。


最終回では、メグもノンも「まだ修行が足りない!メグは人間に溺れすぎ!ノンは人間を知らなさすぎ!」と魔界の女王に言われ、人間界に戻され、メグは再び神崎家で暮らします。


そして、メグは最後に視聴者に魔法をかけます。


「これからも、私を忘れないように」と。


一度聴いたら耳に残る主題歌も本作の魅力です。


メグの小悪魔的な魅力を歌詞と映像で存分に魅せるオープニング曲「魔女っ子メグちゃん」(千家和也作詞、渡辺岳夫作曲)、一転して寂しげな街で子犬と戯れるメグを描いたエンディング曲「ひとりぽっちのメグ」(伊谷亮一郎作詞、渡辺岳夫作曲)も、本作の魅力を端的に表しているといえるでしょう。


歌っていたのは「キューティーハニー」と同じく前川陽子さんです。


オープニング曲では「ふたつの胸のふくらみは  何でもできる証拠なの」とメグの明るさや強さを強調していますが、一転してエンディング曲では「何でもできると人は言うけれど 魔女っ子メグはひとりぼっち」と、寂しさを表現した一種のアンサーソングになっています。


この主題歌が示すように、本作はメグのコミカルでハチャメチャな物語を基軸としつつ、時には女の子らしく心にしみわたるような感動的なエピソードもあって、こういった作風が女の子ばかりか男の子にも好評でした。


そうした点で本作は、東映魔女っ子シリーズの集大成ともいえる作品になります。


それゆえに魔女っ子シリーズはここで一度、幕引きとなりました。


再開されるのは1979年放送の「花の子ルンルン」となり、1980年放送の「魔法少女ララベル」が最後の作品となります。


奇しくも、「花の子ルンルン」でキャラクターデザインを担当したのが同じ荒木伸吾さんとその弟子の姫野美智さん、主題歌を作詞したのが同じ千家和也さん(故人)でした。


なお、1977年放送の「魔女っ子チックル」(テレビ朝日)は東映テレビ事業部の制作だが、アニメ制作は東映アニメーションではなくサンライズによっており、東映魔女っ子シリーズの作品には含まれていません。


当時を懐かしく思う人には印象的だった「魔女っ子メグちゃん」、男女関係なく、観れば今でも心に響くものがある名作のひとつです。