近年、一般層にも広く受け入れられたアニソンのヒット曲といえば、「【推しの子】」の「アイドル」(YOASOBI)、「ONE PIECE FILM RED」の「新時代」(ADO)、「鬼滅の刃」の「紅蓮華」「炎」(LiSA)「残響散歌」(Aimer)などが挙げられます。
アニメの人気、知名度と、主題歌のヒットが連動している例です。
しかし、少し年代をさかのぼると、「曲は知っているけれど、なんのアニメか知らない」「アーティストが誰かもよく知らない」にもかかわらず、カラオケで歌うと大盛り上がり、という曲があります。
2024年2月度の月間アニメカラオケランキング(【D】はDAM、【J】はJOYSOUND)で、【D】77位【J】63位の「マクロスF(フロンティア)」の「ライオン」がそのひとつでしょう。
「マクロスF」は2008年放送のSFロボットアニメで、「ライオン」は後期オープニング曲です。
歌っているのは「May'n/中島愛」です。
May'nさんは同作でヒロインの「シェリル・ノーム(CV:遠藤綾)」の歌唱を担当し、現在も歌手として活動中です。
中島愛さんは、もうひとりのヒロイン「ランカ・リー」役で声優デビューしました。
中島愛さんが「ランカ・リー=中島愛」名義で歌った劇中歌「星間飛行」も、「曲だけ知っている」人気曲のひとつです。
「マクロス」シリーズはSF好きには人気のアニメですが、同じ河森正治監督作品でも若干マイナーなのが、【D】56位【J】57位の「創聖のアクエリオン」(2005年放送)です。
同名の主題歌は、テレビ放送時にオリコンデイリーチャートで19位を記録しましたが、広く曲が知られたのはパチンコ「CRフィーバー創聖のアクエリオン」のテレビCMがきっかけです。
「一万年と二千年前から愛してる」という歌詞が、強いインパクトを残しました。
また、前述の「ライオン」との共通点として、多くのアニソンをプロデュースしている菅野よう子さんが作曲を担当しています。
歌っているAKINOさんは4人兄妹のユニット「bless4」のメンバーで、シリーズ第2作「アクエリオンEVOL」でも「AKINO with bless4」名義でオープニングテーマを担当しています。
前期エンディングテーマ「月光シンフォニア」は「AKINO & AIKI from bless4」名義で、AKINOさんと弟であるAIKIさんとのデュエット曲です。
ほかに、「作品名は有名だけれど、本編は見たことがない」理由が、「世代」であるアニソンもランキングに並んでいます。
【D】23位【J】36位の「魂のルフラン」、【D】2位【J】2位の「残酷な天使のテーゼ」が「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌であることは有名ですが、それぞれ1997年の劇場版、1995年放送のテレビアニメ版(テレビ東京)のものです。
「アニメを見たとすればカラオケ映像」という人が多そうです。
【D】14位【J】14位の「タッチ」も、アニメ放送(フジテレビ)は1985年でした。
世代でなければ、「エピソードは有名だけれどアニメは見ていない」代表例といえるかもしれません。
【D】6位【J】64位のシャ乱Qの楽曲「シングルベッド」は、1994年放送の「D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~」(日テレ)のエンディングテーマです。
「D・N・A2 ~何処かで失くしたあいつのアイツ~」は関東ローカルで視聴率が振るわず、放送期間も3か月と短かったので、アニソンという実感が湧きません。
「ドラマか何かの主題歌だとは思っていたけれど、アニメだとは知らなかった」とのZ世代からの声もありました。