時代劇、復権はあるのか? | 女装男子かなこのブログ

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テレビ朝日は春の番組改編で、水曜深夜のエンタメゾーン「スーパーバラバラ大作戦」枠に新たなドラマ枠を開設することを発表しました。


現在バラエティー番組「チョコプランナー」を放送中の水曜深夜(木曜午前)0時15分~0時45分の枠(関東ローカル)で、テレビ朝日と東映が総力を結集し、ニュースタイルの歴史エンターテインメント「シン・時代劇」枠を設け、第1作品としてマンガ界の巨匠・手塚治虫先生の隠れた名作「新選組」(1963年)を実写化した、「君とゆきて咲く~新選組青春録~」という題で放送する予定です。


NET(日本教育テレビ)時代から深い関係のある東映の協力の下、ドラマ撮影は“時代劇の聖地”として知られる京都・太秦の東映京都撮影所で実施します。


時代劇ファンをも唸らせる様な本格的な作品を目指す一方で『斬新な殺陣』や『流麗な剣舞』など、これまでの時代劇にはない要素を取り入れ、新時代の“シン・時代劇”と銘打つというそうです。


今作のメインキャストは全て男性でネクストブレーク必至の次世代キャストを揃え、丘十郎と大作を取り巻く仲間の一人を演じるメインキャストをオーディションで選出します。


深夜帯の時代劇というと、「逃亡者おりん2」(2012年、テレビ東京)がありました。


前作(2006~07年)は金曜午後8時からのゴールデン帯での放送でしたが、「2」は火曜深夜(水曜午前)1時30分からの30分尺での放送を余儀なくされるも、系列外を含め全国27局ネットの大所帯でした。


「シン・時代劇」枠はどうなるか?


現状の「チョコプランナー」は非放送のテレビ朝日系列局もあり、地方系列局の動向が注目されます。


テレビ朝日は関東ローカルだが平日早朝4時から「おはよう時代劇」なる帯時代劇枠が長きに渡って放送され続けており、意外にも視聴率が良いということから、“深夜帯の時代劇枠”開拓という動きに繋がったのかとも思われます。


また、フジテレビ系では1月から「大奥」の放送を始めました。


ドラマは、同局の連続ドラマとして2005年に放送された「大奥~華の乱~」以来、約20年ぶりに新たな令和版「大奥」として復活。


この冬、「愛」をテーマにした「大奥」史上、最も切なくて美しいラブストーリー。


主演は小芝風花さんです。

小芝さんが演じる役どころは、皇室の血を引く公家の娘・五十宮倫子。


人を疑うことのない純真で優しい性格の倫子が10代将軍・徳川家治と政略結婚させられます。


「女性同士のドロドロも勿論ありながら、今までの大奥とはまた違った“切ない『大奥』”になる」


と、小芝さんは話しています。


昨年4本の連ドラで主演、又はヒロイン役を務め、現在放送中の時代劇「あきない世傳 金と銀」(NHK BS)にも主演。


すでに時代劇にも精通している小芝風花さんの起用は適任でしょう。

フジテレビは、2003年から3年続けて「大奥」を連続ドラマ化しました。


幕末の大奥を舞台に篤姫(菅野美穂さん)と大奥総取締役・瀧山(浅野ゆう子さん)が激突。


2004年「大奥~第一章~」では、誕生したばかりの大奥を舞台に春日局(松下由樹さん)とお江与の方(高島礼子さん)が対決。

2005年「大奥~華の乱~」では、五代将軍・綱吉(谷原章介さん)を巡り内山理名さん、小池栄子さん、高岡早紀さんがバドルを繰り広げる女同士の血で血を洗う愛憎劇が話題を集め、いずれも高視聴率をマーク。


時代劇俳優と当時の連ドラ俳優を掛け合わせるハイブリットな時代劇が視聴者の心を掴み、“ドル箱”企画となりました。

その後も2006年には仲間由紀恵さんで映画化。


2016年に沢尻エリカさんでスペシャルドラマ化、2019年には木村文乃さんのシリーズ完結編「大奥 最終章」が放送され、長い歴史に終止符を打ちました。


ところが今年、連ドラとして復活。


フジテレビは、なぜ今「大奥」なのだろうか……。

そもそも「大奥」もののルーツは、昭和に遡ります。


1967年に東映映画「大奥(秘)物語」が大ヒットを記録すると、翌年テレビドラマ版の「大奥」(関西テレビ)がスタート。

最高視聴率30%を超える人気シリーズとなり、“大奥ブーム”を巻き起こしました。


それから「大奥」と言えば、東映とタッグを組むフジテレビが本家本元となりました。


フジテレビ系の時代劇は「大奥」をはじめ「銭形平次」「旗本退屈男」「服部半蔵影の軍団」など東映が制作していました。


1990年代以降、フジテレビ系の時代劇は「鬼平犯科帳」「雲霧仁左衛門」「仕掛人 藤枝梅安」「剣客商売」など松竹が制作していたが、それでも「大奥」は東映が制作していました。


ところが、そんな「大奥」の歴史に風穴を開けたのが、2010年に公開され20億円の大ヒットを記録した、TBSが制作を手掛ける二宮和也さんと柴咲コウさん主演の映画「大奥」です。

この作品は、よしながふみさんの漫画、“男女逆転”の「大奥」が原作。


女性が将軍になった、架空の江戸時代が描かれました。


それだけに当時、大きな注目を集めました。


2012年にも連ドラに続いて再び映画化され、“男女逆転”の「大奥」は、「大奥」の歴史に新たな1ページを刻みました。


しかし、“男女逆転”の「大奥」に目をつけたのは、TBSだけではありませんでした。


原作漫画が2021年に完結すると、そのタイミングを見計らって昨年、NHKが満を持して半年間、21話にわたって“男女逆転”の「大奥」を放送しました。


これまでトランスジェンダーの世界を民放に先駆けてドラマ化してきたNHK。


TBSに先を越されましたが、大河ドラマなどで使ってきた美術セットや衣装を惜しげもなく使って、豪華絢爛たる大奥の世界を再現して魅せました。

キャスティングにもこだわり、将軍・吉宗役をモデルの冨永愛さんが演じて賞賛を浴びると、続く堀田真由さんが将軍・家光役で自身の殻を破る熱演ぶりを披露。


さらに仲里依紗さんが演じる将軍・綱吉の濡れ場シーンには、“攻めすぎNHK”の声すら上がりました。

NHKとは思えない“攻めすぎ”の艶シーンでは、制作サイドの意図を十分に理解した上で、演じる俳優をサポートする“インティマシーコーディネーター“を初めて導入。


こうしたシーンと真剣に向き合うことで、みずからの運命を呪って慟哭する綱吉(仲さん)の心の叫びが視聴者に伝わり、大きく心を揺さぶることに成功しました。

さらに、若い男性を襲う恐ろしい「赤面疱瘡」が大流行する“よしなが大奥”と、「コロナ禍」に苦しむ現代の世相がシンクロしたことも、大きな共感を呼ぶ結果となりました。

そもそも「大奥」モノの醍醐味とは、一体なんなのか。

例えば、2016年に放送されたスペシャルドラマ「大奥 第一部~最凶の女~」(フジテレビ)。


沢尻さん演じるお美代は将軍・家治の落とし子だと知り、世継ぎ争いの陰謀に巻き込まれ死んだ母の復讐のために大奥に入り、将軍・家斉(成宮寛貴さん)の側室に。


ところが男嫌いを装う奥女中・お志摩(渡辺麻友さん)と恋に落ち、キスから始まる艶シーンを演じます。

だが、みずからの過去を打ち明けた相手が間者と知り、お志摩をみずからの手に掛けるお美代。


哀しみのあまりお志摩にすがりついて号泣するお美代の姿こそ、「大奥」が産み落とした悲劇の化身。


こうした密室・大奥で行われる愛憎劇こそ、視聴者が望むツボではないでしょうか。

しかし、NHKが21回にわたって描いた“男女逆転”の「大奥」に肩を並べるためには、映画「大奥(秘)物語」以来描き続けてきた、ドロドロの愛憎劇を極めてこそ本家本元の「大奥」ではないでしょうか。


愛憎劇が深ければ深いほど、“切なさ”も深まるものです。


愛憎劇渦巻く、ドロドロの「大奥」と闘うジャンヌダルク。


小芝さんにはそういった役どころを期待したいが、果たして結果やいかに?


そして、今年のNHK大河ドラマは、紫式部を題材にした「光る君へ」です。


それまで、大河ドラマの王道とされた戦国ものや幕末ものではなく、平安時代の貴族社会を題材にしたものです。


端的に言えば、「甲冑」ではなく「十二単」がメインの大河ドラマ。


これまで時代劇ではあまり題材にされなかったジャンルです。


吉高由里子さんが演じる紫式部/まひろの生涯を描いた「光る君へ」は、初回視聴率は12.7%、1月28日放送の第4話は11.3%と視聴率の点では苦戦しているものの、女性ウケがとてもよいと評判です。


コラムニストの桧山珠美さんが次のように解説していました。


「平安絵巻の雅な世界を舞台に、セックス&バイオレンスが地上波で、しかもNHKの大河ドラマで楽しめるとは思っていませんでした。 制作統括の内田ゆきさんを始め、演出・脚本・音楽など製作陣に女性が多いことも影響しているでしょう。民放ドラマでもプロデューサーや演出を女性が手掛けることは多くなりましたが、大河でこれほど多いのは初めてのことでは」 


物語の舞台、”平安”という時代も女性に刺さりやすいと分析します。


「やはり女性はベルサイユのばらやエリザベートの世界観が好きです。それを日本に変換すると、平安時代だったのでしょう。王侯貴族の豪華なドレスは、平安絵巻で描かれる十二単などの美しい着物に通じるんでしょう。昔は、“朝ドラ(連続テレビ小説)は女性”“大河は男性”というイメージがありました。そのため大河は徳川家康・織田信長・豊臣秀吉で、たまに新撰組などの幕末が入って、チャンチャン、バラバラとやってきました。だから大河で、あえて雅な世界を描こうと考えるのは、女性の感覚が活かされたはずです。」


NHKでは2021年に、千葉雄大さんが現代にタイムスリップした光源氏を演じた「いいね!光源氏くん」というドラマを放映しました。


つねに烏帽子をかぶっていて、おいしいものを食べるなどして興奮すると和歌を読んでしまうというコメディタッチの作品ですが、このころから“平安時代は鉱脈アリ”と見抜いていた優秀なスタッフがいるのかもしれません。


ドラマの展開でも、やはり女性を意識した作りになっていると感じるというそうです。


「御曹司との身分違いの恋や、惹かれ合う二人が実は兄妹だったとか、事故で記憶喪失になったりという衝撃展開は韓流ドラマあるあるですが、それを彷彿させる展開も見もの。『光る君へ』も、平安絵巻な雅な世界観だと思わせといて、第1話のラスト、主人公・まひろの母親(国仲涼子さん)が刀でブスッと刺されて殺されてしまいます。さらに4話では、その母の仇が、あろうことか自分が思いを寄せる人の兄弟であると気づく。同じ藤原家でも名門の道長(柄本佑さん)と下級貴族のまひろでは身分違いで決して結ばれることはない、という展開も韓流好きの人は“こういうのお好きでしょ”という感じです。 元々韓流は、百恵ちゃんの赤いシリーズに代表される大映ドラマが基礎となっているとも言われています。日本が誇る大映ドラマが逆輸入されて、パワーアップして帰ってきたという印象です」


だからこそ、桧山さんが大石静さんの脚本に寄せる期待は大きいそうです。


「大石さんが手がけた『セカンドバージン』(2010年、NHK総合)で長谷川博己さん、『オードリー』(2000年~01年、NHK総合)で佐々木蔵之介さんや堺雅人さん、近々では『星降る夜に』(2023年、テレビ朝日)で北村匠海さんなど、とにかく”イケメン”眼力が凄い。 『光る君へ』でも町田啓太さんをはじめとし、イケメンを多く取り揃えています。で、なぜか大石さんが描くと、ロバートの秋山竜次さんや、はんにゃの金田哲さんも雅なイケメンに見えてくるから不思議。これぞ大石マジック。見た目だけじゃなく、人間的な魅力を引き出す脚本なんだと思います」 


その大石さんが2022年の制作発表記者会見で掲げたのが、桧山さんも期待を寄せる“平安時代のセックス&バイオレンス”です。


大石さんの手にかかった麗しい登場人物たちが、その世界観を繰り広げています。


「バイオレンス担当の玉置玲央さんが演じる”ヒール” 藤原道兼が、おそらく当ドラマで、大石さんのイチオシキャラではないかと。粗暴で主人公の母親を刺し、父の寵愛を兄ばかり受けている腹いせに、柄本佑さん演じる弟の藤原道長を、子供時代にボコボコにします。しかも、その道兼が負わせた足の傷跡を見て、数年後、2人が再会した時、まひろが道長(幼名・三郎)と気づくという、少女漫画チックな展開に繋がります」


“セックス”担当は、花山天皇役の本郷奏多さんです。


「日曜夜10時の『アイのない恋人たち』(テレビ朝日)では、童貞役を演じている本郷奏多さんがかなりクセツヨです。かりにも天皇がこんな悪い奴で、宮内庁からクレームが来ないのか心配になるほどです。 東宮時代、足で扇子を挟んでふざけながら、母と娘との性行為の素晴らしさを滔々と語るシーンには驚愕しました。さらに、第4話ではついに天皇となり、入内した井上咲楽さん演じる女性の帯を解いた後に、両手首を結ぶ緊縛プレイ。狂気性を感じる演出で、セックスレス夫婦や小さな子供がいる家庭のお茶の間では、ざわつくシーンとなるので、とても一緒には見られないのでは。あとで個人的に見逃し配信を見ている人が多いと思います。それが低視聴率という結果につながっているのかもしれません」


だが、高視聴率を追い求め、ゆるい内容になるよりも、現在のセックス&バイオレンス路線を維持してほしいと熱望しています。


「ドラマでは、いよいよ紫式部演じる吉高由里子が宮中に入ります。家政婦のミタばりに覗き見する、『源氏物語』で描かれた、宮中で巻き起こるセックス&バイオレンスがどう展開していくのが、すごく楽しみです」


時代劇が「冬の時代」といわれる中、新たな時代劇枠を設けるのはあっぱれだと思います。


若い視聴者が新しく時代劇の魅力に気付き、新たなファン層の開拓に繋がる可能性も抱く上、俳優や制作スタッフにとってはスキルレベルアップに繋がる絶好の機会になるでしょう。


時代劇って、現代劇よりも制作するのが難しいんですよね。


衣装の着付け、カツラの被り方、草履の履き方、殺陣、ちょっとでも誤りがあればすぐ見抜かれてしまいます。


かつて数多くの時代劇に出演された西郷輝彦さんも生前「京都(太秦)では何事も真面目にちゃんとやらないと駄目」と仰っていた程の“聖地”であり、それは確実に俳優や裏方のレベルアップにも繋がるでしょう。


時代劇がごく一部の地方局や独立UHF局やBS・CS波だけにとどまらない「新たなムーブメント」に期待したいものです。