女優の中村メイコ（なかむら・めいこ、本名神津五月＝こうづ・さつき）さんが昨年12月31日に肺塞栓症（はいそくせんしょう）で死去しました。
89歳でした。
ホリプロが1月7日に発表しました。
ホリプロは「弊社所属の女優 中村メイコが昨年12月31日、肺塞栓症（はいそくせんしょう）で亡くなったことをお知らせ申し上げます。89歳でした。既に親族での密葬を済ませており、後日、お別れの会を執り行う予定です。最後のお仕事は2023年12月25日の番組収録でした。皆さまにおかれましては、生前のご厚誼を深謝申し上げます。株式会社ホリプロ」と発表。
最後の仕事は、昨年12月25日に行った「徹子の部屋」（テレビ朝日）の番組収録でした。
夫で作曲家の神津善行氏は「2歳8ヶ月で映画デビューしてから86年という芸能生活を、生涯現役のまま幕をおろすことになりました。長い時間をこの世界に存在させていいただいたこと、皆様に深く感謝 申し上げます」とコメントを発表しました。
天才子役として2歳から映画やドラマ、ラジオに出演、NHK紅白歌合戦では3年連続で司会を務めるなど幅広く活躍した中村さん。
夫は作曲家の神津善行氏で、長女は作家の神津カンナさん、次女は女優の神津はづきさんで、その夫が俳優の杉本哲太さんと芸能一家を築きました。
芸歴86年を誇り、テレビ本放送の前から活躍した才女が静かに亡くなりました。
2022年5月4日に放送された「徹子の部屋」に夫婦で出演し、「朝晩のお酒は欠かさない」と元気なところを見せ、2023年2月2日放送の同番組では歌手の森公美子さんとともに出演するなど元気でした。
そして先月25日には番組収録にも参加したが、これが最後の仕事となりました。
1月9日放送の「徹子の部屋」は中村メイコさんの追悼特集となったが、生前最後の収録ではなく過去の放送分を編集して放送しました。
中村メイコさんは1934年（昭和9）5月13日生まれ、東京都出身。
2歳8カ月だった1937年、父に抱かれた写真が婦人雑誌のグラビアに掲載され、これがP.C.L（現・東宝）のプロデューサーの目に止まって榎本健一さん（故人）主演の「江戸っ子健ちゃん」で映画デビューしました。
芸名は本名の五月を英語「MAY」とシャレて「ナカムラ・メイコ」としたが、1937年公開の「南風の丘」から中村メイコと改めました。
「ロッパの駄々っ子父ちゃん」「エノケンのワンワン大将」「小島の春」（いずれも1940年）と出演を重ねました。
1940年に開催が予定されていた東京オリンピックに先立つ実験放送の頃からラジオに登場。
5歳で出演したNHKラジオの連続放送劇「ほがらか日記」が人気を呼び、天才子役の名をほしいままにした。
疎開先の関西で演劇活動をした後、帰京してNHKラジオ「ジロリンタン物語」「お姉さんといっしょ」に出演しました。
「母に人形を与えてもらい、郵便屋さん、八百屋さんの言動をマネしていた。大きくなってからは、家に来る雑誌や出版社の方のマネをしていた」と回想するように、多彩な声色を披露。「七色の声」と称されました。
明るい娘役で映画に出演する一方、1955年には「田舎のバス」で歌手デビューしました。
「田舎のバス」の歌詞に出てくるバスはオンボロ車でタイヤはツギだらけで窓が閉まりません。
歌詞はシャレなんですけど、こんなバスが実際にあったら絶対に車検は通らないでしょう。
田舎のバスはでこぼこ道をガタゴト走るので、当時は道路がほとんど舗装されていなかったことが伺えます。
黎明期から親しんだ放送では1959年から10年続いたトーク番組「メイコのごめんあそばせ」（NET（現在のテレビ朝日））「連想ゲーム」（NHK）の紅組初代キャプテン、「お笑いオンステージ」（NHK）、「3時のあなた」（フジテレビ）の司会など縦横無尽に活躍しました。
「NHK紅白歌合戦」も1959年から1961年まで3年連続で司会を務めました。
エノケン、森繁久彌さん（故人）、三木のり平さん（故人）といった日本を代表する喜劇俳優と共演してきたことから自らを「喜劇女優」と呼んでいました。
美空ひばりさん（故人）、江利チエミさん（故人）との交遊も有名で、無名時代の川谷拓三さん（故人）が一時期、付き人を務めていたこともありました。
若き日は作家の吉行淳之介さん（故人）に熱を上げたが、片想いで終わり、その後出会った神津義行さんと1957年に結婚、芸能界きってのおしどり夫婦として知られていました。
中村メイコさんの親友、黒柳徹子さんが7日、追悼のコメントを寄せました。
中村さんは昨年末、「徹子の部屋」に出演していました。
メイコさんと最後に会ったのは今から二週間前の徹子の部屋でした。
ちょうど、クリスマスの日でした。
メイコさんは元気で「私が死んだら弔辞はあなたが読むのよ」なんて言ってました。
しょっちゅうそういうことを言っていたので、特別なこととは思いませんでした。
番組のおわりで「メイコさん夢は？」と伺ったところ「犬の役も猫の役もトンビの役もやったからないのよね～」が喜劇女優、最後のセリフでした。
メイコさんは幸せだったと思います。家族みんなが理解してくれていたからです。
二歳から仕事をしてたんですから、私から見ると変わっていましたが周りのみんなが、彼女にあわせて大切にしてくれていたからです。
ふだん会うと「知らなんだ知らなんだ」と芝居じみたセリフを言ってよく笑わせてくれました。
眠る様に亡くなったと伺いました。
デリケートな彼女が悩むことなくあちらの世界に逝かれたのは、私にとっては心がやすまる事です。
会うたびになんかちょっとしたプレゼントをくださる方でした。寂しくなります。