日立造船は9月27日、2024年10月に社名を「カナデビア」に変更すると発表しました。
かつて親会社だった日立製作所との資本関係がなくなり、祖業の造船事業も手放しており、「実情にそぐわない」として新社名の検討を続けていました。
2024年6月下旬の株主総会で決議します。
80年以上使い続けた名前は消えることになります。
日立造船は現在、ごみ焼却施設などの環境関連事業を主力とし、社内外から「今の社名では事業内容がわかりにくい」との指摘がありました。
新社名を検討する過程では、企業ブランドに採用している「Hitz(ヒッツ)」なども候補に挙がったが、「奏でる」とラテン語の「ビア(道)」を組み合わせたカナデビアに決めたというそうです。
「多様性を尊重し、技術革新により、オーケストラがハーモニーを奏でるように、人類と自然に調和をもたらす新しい道を切り開いていく」との思いを込めました。
日立造船は1881年、イギリス人のエドワード・ハズレット・ハンターが「大阪鉄工所」として創業しました。
造船や産業機械などに事業を拡大し、日立製作所系列に入ったことを受けて1943年に現在の社名に変更しました。
戦後間もなく、日立製作所から独立し、かつては日本の三大造船会社の一角を占めたこともあったが、2000年代に入って造船事業から撤退しました。
同様に日立製作所との資本関係がなくなった日立物流は「ロジスティード」、日立金属は「プロテリアル」に、一足先に社名変更していました。
事業や資本関係が実態に合わない社名というのは結構あります。
■事業が実態に合わない社名
東洋水産は現在「マルちゃん」ブランドのインスタントラーメンが有名だが、もともとは海産物の加工から始まった会社です。
DHCは現在は化粧品や健康食品のメーカーのイメージが強いが、もともとは翻訳代行業から始まった会社で、社名のDHCも「大学翻訳センター」の略です。
紀州鉄道は社名に「紀州」(和歌山県)と付いているが本社は東京にあり、本業は不動産開発やリゾートホテルの経営で、鉄道路線は和歌山県御坊市にわずか2.7kmの路線があるのみで、芝山鉄道(千葉県)に次いで営業路線の短い鉄道会社です。
国鉄紀勢本線が御坊市の中心部を外れて通ったため、地元の要望で御坊臨港鉄道を設立して開業させたものです。
それが、後に東京の不動産会社に買収されました。
また、旭川電気軌道、夕張鉄道、九十九里鉄道、東濃鉄道、下津井電鉄は社名は鉄道会社だがいずれも鉄道は営業していません。
いずれも鉄道営業を廃止した後、そのままの社名でバス会社となっているものです。
■資本関係が実態に合わない社名
西武百貨店は社名に「西武」がついているが、現在は西武グループから外れています。
西武百貨店は西武グループの中でも流通事業の基幹を担う会社でした。
それが、セブン&アイホールディングスの傘下に入り、西武グループから外れました。
最近になって外資へ売却の話が上がり、これに反対して8月31日に池袋本店(東京都豊島区)でストライキを決行しました。
それでも外資へ身売りされました。
店内にヨドバシカメラが入居する話も上がっており、これについては地元の豊島区が反対の姿勢を見せています。