かつては各地の個人商店等の軒先に、「塩」と書かれた看板が掲げられていました。
近年、店先でご覧になられた方っていらっしゃいますでしょうか?
何か、知らないうちに無くなっていた、という印象が強いです。
「砂糖」とか「醤油」とかいう看板はほとんど見た事がありませんが、なんで「塩」看板はあったの?と。
実は1905~1997年まで、塩は国からの専売制度でもって売られており、国から認められた店だという証の看板だったんです。
平成初期まで戦前からの古き制度が取り入れられていたのも驚きですが、たかが塩ひとつ買うだけでも昔は難儀だったというわけですね。
そう思うと、重たい存在になってきますよね。
では、なぜ塩は国の専売制度のもとで販売されていたのかと言うと、当初は課税物質として安定した税収を得るのが目的だったが、塩は日常生活で不可欠であるにも関わらず代替品がないため、国策によって安定供給を図るという目的に変わりました。
1949年に日本専売公社が設立され、大蔵省からタバコ🚬と塩の専売事業を引き継ぎました。
1985年にタバコの専売制は廃止され、日本専売公社は民営化され特殊企業の日本たばこ産業(JT)となりましたが、塩の専売制は廃止されず、日本たばこ産業に塩専売事業部が設立され、塩専売事業を引き継ぎました。
その後、塩専売制度の見直しについて検討された結果、1997年に塩の専売制度は廃止されました。
同時に財団法人(現在は公益財団法人)塩事業センターが設立され、JTから塩の販売事業を引き継ぎました。
スマートフォンで指一本で何でも買える今とは比べ物にならない位、色々と面倒だった時代があったわけですが、その分より思い入れが出てくると言いますかね…。
そんな塩も、今ではスーパーやコンビニでも当たり前の様に買えるようになりました。
もちろん、「塩」の看板はありませんけど。
なお、飲食用の塩は国内でほぼ自給されているが、塩酸や塩素ガス、塩化カルシウムなどの原料となる工業用の塩はほとんどが輸入に頼っています。