長い歴史を誇るプロ野球では、数々の偉大な記録が誕生してきました。
野球の戦略なども変化し、その中では現代の野球では更新が不可能となった“超人的”な記録もあります。
そこでここでは、これまでのプロ野球で打ち立てられた1シーズンでの驚愕の大記録に注目してみましょう
今回は投手編。
投手分業制が進み、投手たちの役割がハッキリと分けられるようになった現代のプロ野球。
先発、中継ぎ、抑えが決められ、先発は中6日前後の間隔を空けてのローテーションが一般的になりました。
一度の先発での球数は100球前後が主流となりました。
1人の投手が先発も中継ぎもこなしたり、週に複数回先発していたような頃とは様変わりしています。
そのため、投手の歴代最高のシーズン記録には、もはや更新不可能とも言える記録が数多く存在します。
まず、その1つが勝利数です。
NPBプロ野球記録はなんと42勝。
戦前、まだ1リーグ制時代だった1939年のヴィクトル・スタルヒン氏(巨人)、そして1961年の稲尾和久氏(西鉄(現在の西武))が記録したものです。
スタルヒン氏はこの年、68試合に登板し、うち41試合が先発、38試合で完投という成績でした。
稲尾氏もこの年、とてつもない成績を残しています。
78試合に登板し、そのうち30試合が先発で25試合に完投しています。
現代のプロ野球では先発投手が年間で先発するのは25試合前後で、42勝という勝利数を残すのは極めて困難です。
同様にシーズン敗戦記録の更新も難しいでしょう。
2リーグ制となってからのシーズン最多敗戦は1950年の長谷川良平氏(広島)、1952年の小林恒夫氏(松竹(現存しない))、1957年の秋山登氏(大洋(現在の横浜DeNA)が記録した27敗。
1リーグ制時代では中山正嘉氏(名古屋金鯱軍(現存しない))の29敗。
現代ではこれだけ負けが込んでいれば、二軍降格は間違いないでしょう。
シーズンで投げるイニング数もまた、昔は今とは比べ物にならない数字となっています。
現代では先発でトップとされる基準は200イニングです。
だが、プロ野球記録はその倍以上。
1942年の林安夫氏(朝日(現存しない))は541回1/3を投げ、2リーグ制となって以降では1961年の権藤博氏(中日)の429回1/3が記録となっています。
もはや、この数字に届くことはほぼ不可能です。
また1試合での投球数では1954年に米川泰夫氏(東映(現在の日本ハム))の264球が最多記録。
これも更新されることは考えにくいです。
シーズンの完封数の最多記録は1962年の小山正明氏(阪神)の13完封、完投数は1955年の金田正一氏(国鉄(現在のヤクルト))の34完投、そして1943年の藤本英雄氏(巨人)の防御率0.73という記録も更新は困難でしょう。
シーズン最多登板は2007年の久保田智之氏(阪神)の90試合。
現在のプロ野球では基本的に中継ぎは過度な連投を避け、年間60から70試合登板でとどめることが多いだけに、この90登板を超えることはなかなかないでしょう。
2017年にソフトバンクのデニス・サファテ投手がマークした54セーブ、2010年に中日の浅尾拓也氏が記録した47ホールドが、クローザー、セットアッパーとしてのそれぞれのシーズン最多記録です。
この2つも偉大な記録ではあるが、先に出てきた記録よりも更新する選手が現れる可能性は高そうです。