漫画家の森永あいさんが今月2日に死去しました。
9日に講談社が「別冊フレンド」の公式サイトで明らかにしました。
年齢は非公開でしたが、1993年に漫画家デビューしたので、40代と思われます。
ネット記事のコメントに、
「漫画家は若くして亡くなる人が多い」
とありました。
2年前には、つかじ俊さんが27歳で、高畠エナガさんが29歳の若さで死去しました。
確かに、漫画家は締め切りに追われたり不人気で連載終了の危機に立たされるがストレスになったり、不摂生な生活というイメージがあるので、そこから、「漫画家は短命」とイメージがついたようです。
今の漫画雑誌は編集主導なので、読者の人気にも左右されたりします。
私の知っている限りでは、漫画家で30代で亡くなった人には多田かおるさん、風間やんわりさん、40代で亡くなった人には杉浦日向子さん、中尊寺ゆつこさん、50代で亡くなった人には園山俊二さん、さくらももこさんなどがいます。(事故死、自殺は除く)
多田かおるさんの代表作「イタズラなkiss」は彼女の死去で、連載途中のまま絶筆になってしまいました。
杉浦日向子さんは江戸風俗や文化の研究家でもあり、その知識を生かし「コメディーお江戸でござる」(NHK)にも出演していましたが、杉浦さんは番組開始当初から難病と闘病し、番組が終了したのも彼女が降板を申し出たからで、降板しなければならないほど病状は悪くなっていました。
その一方で、歳を重ねても現役でいる漫画家も多くいます。
70代で現役の人にはちばてつやさん、白土三平さん、つのだじろうさん(歌手のつのだ☆ひろさんは弟)、水野英子さん、細川智恵子さん、山岸涼子さんなどがいます。
80代で現役の人にはさいとう・たかをさん、藤子不二雄Aさん、松本零士さん、牧美也子さん、わたなべまさこさん、それに漫画家からイラストレーターに転向した高橋真琴さんなどがいます。
高橋真琴さんが1961年に連載していた漫画はオールカラーだったり観音開きだったりと、今では考えられないぜいたくな紙面でした。
それも、絶大な人気があったからで、加えて当時の雑誌は作家主導だったということもあります。
今年4月、81歳で亡くなったモンキー・パンチさんも最期まで現役でした。
こうしてみると、漫画家が短命とは一概に言えないようです。
また、藤子不二雄Aさんが2010年、読売新聞の連載記事「時代の証言者」に、1992年9月に61歳で死去した寺田ヒロオさんの最期のことを書いていました。
藤子不二雄Aさんと寺田ヒロオさんはトキワ荘に住んでいた頃から公私ともに親しくしていました。
寺田さんは漫画に性や暴力の描写を絶対に許さないという人でした。
「こんな漫画を載せちゃだめだ」と編集長に抗議し、「これが人気があるんです」と言われると、自分からその雑誌の連載を降りてしまい、どんどん降りて、70年代後半には引退状態になってしまいました。
1990年頃、結婚して神奈川県茅ヶ崎市に移り住んだ寺田さんに、藤子不二雄Aさん、藤子・F・不二雄さん(故人)、石ノ森章太郎さん(故人)、赤塚不二夫さん(故人)、鈴木伸一さん(アニメ作家、藤子不二雄漫画の定番キャラクター「小池さん」のモデル)が会いに行って、みんなで食事して楽しく過ごしましたが、寺田さんの家の前は一本道で、何度振り返っても寺田さんが手を振っていたので、藤子不二雄Aさんは「最後の別れみたいだなあ」と思いましたが、それが本当に最後の別れになってしまいました。
次の日に、お礼の電話をしたら、妻(作曲家の中村八大さん(故人)の妹)から、「主人は一切人と会わなくなりました」と聞かされました。
離れに住み、食事は妻が届け、家族とも顔を合わせません。
ある時、ご飯がそのままだったので、部屋に入ってみると、亡くなっていました。
あまりにも高潔な性格故の、悲しく、緩慢な自殺でした。