大会2日目を迎えたツール・ド・熊野。

前日の雨から一転、快晴のもとレースが行われました。

 

そして、この日行われた第1ステージは、晴れてこそ美しい和歌山県は新宮市熊野川町・市田川沿いのコースでレースが行われました。

豊かな水面と輝く水面、熱きレースとのコントラストがこのステージの魅力でもあります。

 

そんな第1ステージでしたが、思いがけないハプニングによって、レースが途中キャンセルとなっています。

詳しくはレポートをご覧いただきたく思いますが、何より、選手の安全、レースの今後も踏まえた最終決定、そしてこの大会への敬意を、チームとして表したいと思います。

 

それではレースレポートをお届けします。

レポートは、6月1日付のメディアリリースからの引用となります。

 

スタートライン最前列に並んだ6選手

 

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ツール・ド・熊野 ロードレースステージがスタート

1ステージは選手の安全確保のためレース途中でキャンセルに

1 June 2018

 

●ツール・ド・熊野(Tour de KUMANO、UCIアジアツアー2.2)

第1ステージ 赤木川清流 113.2km

 

●KINAN Cycling Team出場選手

山本元喜

マルコス・ガルシア

サルバドール・グアルディオラ

トマ・ルバ

中島康晴

新城雄大

 

第20回記念大会のツール・ド・熊野は、6月1日の第1ステージからロードレースステージがスタート。

この日は和歌山県新宮市の赤木川清流コースででの113.2kmのレースが実施された。

スタート直後こそ順調に進行したレースだったが、中盤を前にコース内に含まれるトンネル内に設置されたフェンスが倒壊。

コミッセール、オーガナイザー、チームマネージャーのミーティングにより、選手の安全確保を第一としてステージキャンセルとなった。

 

前日のプロローグでは、0.7kmの個人タイムトライアルが行われ、KINAN Cycling Teamでは中島康晴の25位がチーム最上位。

落車に見舞われた新城雄大をのぞき、5選手がトップから5秒以内につけ、今後のステージへの期待を膨らませている。

先のツアー・オブ・ジャパンからの連戦となるマルコス・ガルシアやトマ・ルバ、サルバドール・グアルディオラは好調を維持。

この大会に合わせてきた山本元喜も調整が順調であることを証明している。

 

この日は、昨年3月に新庁舎となった新宮市役所前をパレードスタート。

しばらくのニュートラル走行で同市熊野川町へ。

実際のレースは赤木川沿いの16.3kmをおおよそ7周回する113.2kmで争われる予定だった。

コースは細かなアップダウンこそあるものの、例年このステージはスピード感に満ちたレースとなり、スプリント勝負となることも多い。

KINAN Cycling Teamとしては、この先に続く本格山岳ステージを視野に入れつつも、チャンスとあれば逃げやスプリントでの上位進出を狙ってスタートを迎えた。

 

スタート前でもリラックスムードの選手たち

 

メインスポンサー「株式会社キナン」のお膝元とあり、新宮市役所からの出発ではプロトンの最前列に位置したKINANメンバー。

晴れやかに出発し、レースが行われるサーキットコースまでを移動した。

そして迎えた本番、1周回目から山本らが果敢に先頭をうかがう動きを見せる。

しばしの出入りが続いたのち、飛び出した1人を集団は積極的には追わず、単独逃げの状態となる。

 

集団内を走行する山本元喜

 

KINAN勢は2周回目の前半に中島が集団から抜け出し、そのままの勢いでトップをゆく選手に合流。

逃げが決まったかに思えたが、集団ではこの周回に設けられた山岳賞を狙ってスピードアップを図る選手が次々と現れる。

こうした状況もあり、中島は集団へ戻ることを選択。

山岳ポイントへの上りを前に集団は1つに戻った。

 

ふりだしに戻った3周回目、集団から新城がアタック。

もう1名が加わり、2人逃げの態勢を築いていく。

ところが、集団とのタイム差を広げようかというタイミングで、コースに含まれるトンネル内で落車が発生。

複数の選手が巻き込まれるとともに、左右の車線を隔てていたフェンスが倒壊。

これにより、選手とコース内の安全を確保するためレースがストップとなる。

 

逃げを試みた新城雄大。この直後にレースが中断となる

 

選手たちはレース再開を待ったものの、倒壊したフェンスは修復不可能と関係者が判断。

コミッセール、オーガナイザー、チームマネージャーによるミーティングが行われ、このステージのレースがキャンセルされることが決定。

認められたのはレースストップ前、2周回目に設けられた山岳賞のみとなり、その他の総合成績はプロローグから引き継がれることとなった。

 

今後について裁定を待つ選手・関係者

 

レースの再開を待つチームカーの隊列。一部選手はチームカーへと下がった

 

この決定後、開催地の人たちや観戦に訪れたファンへのサービスとして、出走ライダーによる2周回半のパレード走行が行われ、ホストチームであるKINAN Cycling Teamが途中まで先導役を務めた。

 

急遽実施されたパレード走行の先導を務めたKINAN Cycling Teamの選手たち

 

思わぬハプニングに見舞われた大会だが、仕切り直しの一戦が翌2日にやってくる。

三重県熊野市が舞台となる第2ステージは、109.3kmの本格山岳ステージ。

大会の目玉でもある激坂「丸山千枚田」を通過後、一度下って、次に目指すは最大の山岳ポイント札立峠。

長い下りを経て、2回目の丸山千枚田へ。

毎年ここで総合争いが最重要局面を迎えており、今年も王座を狙う選手たちが激しい争いを繰り広げることが見込まれている。

今大会のハイライトとなることは必至。

 

KINAN Cycling Teamとしても、このステージでの戦いを見据えて準備を進めてきた。

今大会の頂点に立つためには絶対に落とすことのできない1日。

いかにして戦うのか、そして誰で勝負にいくのか、チームにこれまでにない注目と期待が寄せられる中でのレースとなる。

 

 

ツール・ド・熊野 第1ステージ結果(113.2km

レースキャンセル

 

個人総合時間賞

1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 50秒

2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +1秒

3 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム) 

4 秋田拓摩(シマノレーシング) 

5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2秒

6 大久保陣(チームブリヂストンサイクリング) 

25 中島康晴(KINAN Cycling Team) +4秒

36 山本元喜(KINAN Cycling Team) +5秒

45 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、KINAN Cycling Team) +5秒

63 マルコス・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +6秒

66 トマ・ルバ(フランス、KINAN Cycling Team) +6秒

108 新城雄大(KINAN Cycling Team) +23秒

 

ポイント賞

1 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 10pts

 

山岳賞

1 畑中勇介(チームUKYO) 2pts

 

チーム総合

1 宇都宮ブリッツェン 2分34秒

11 KINAN Cycling Team +10秒

 

 

●選手コメント

 

・新城雄大

「スタートから(山本)元喜さんと自分とで動くことができていて、そうした中から自分が3周回目に逃げを決められた。スプリントポイントがかかっていた周回でもあったので、そこまでしっかり逃げられれば、その後は集団が容認してくれるだろうという期待をしながら攻めていた。それだけに、レースが止まってしまったことは残念。一方で、疲労が残ることはないので、“本番”である明日に向けて準備を整えていきたい。

 

前日の落車の影響はまったくない。第2ステージは、山岳でクライマーのケアをしながら、勝負どころに向けて活性化する動きを見定めていきたい」

 

集団前方をうかがう新城雄大

 

 

【Gallery】

 

選手たちがスタートラインエリアに到着。カメラに向かっておどけてみせるのは新城雄大

 

スタートラインエリアに到着したサルバドール・グアルディオラはVサイン

 

出走サインをする山本元喜

 

出走サインをするトマ・ルバ

 

出走サインをする中島康晴

 

出走サインを行うサルバドール・グアルディオラ

 

出走サインを行うマルコス・ガルシア

 

笑顔で出走サインに臨む新城雄大

 

熱中症予防の一貫としてスタート前の体重を計る新城雄大

 

選手たちがまたがるYONEXロードバイク「CARBONEXHR

 

中島康晴はPowerBarのエナジャイズ・ウエハースで栄養補給

 

角口賀敏・株式会社キナン会長の来訪で和やかなムードになる

 

スタート地点近くの保育園児に応援バルーンを配る安見正行マッサー

 

応援バルーンを手に

 

6選手がスタートを待つ

 

白見の滝を見ながらのパレード走行

 

チェン・キンロー選手と写真に収まる中島康晴

 

落ち着いてレースを進めるトマ・ルバ

 

3周回目にレースがストップ。選手・関係者が今後の動きが発表されるのを待つ

 

レースがストップしていた間、民家のガレージを借りて休息する選手たち

 

パレードの先頭を走るKINAN Cycling Teamの選手たち

 

パレードを率いるKINAN Cycling Teamの選手たち

 

カメラに向かって手を振る中島康晴とサルバドール・グアルディオラ

 

ステージ終了後恒例の餅まき大会。4賞ライダーとKINAN Cycling Teamの選手たちがステージへと上がった

 

選手が投げる餅をステージ下の観客が一斉に取りに行く

 

スタートを待つ新城雄大と山本元喜

 

レースに向けて打ち合わせる中山直紀・田中亨両メカニック

 

笑顔で手を振る中島康晴

 

スタートラインについた中島康晴。笑顔が弾ける

 

笑顔でスタートを待つ山本元喜

 

スタートを待つマルコス・ガルシア

 

カメラに気づいて笑顔のサルバドール・グアルディオラ

 

市田川を渡るプロトン

 

集団が縦長になる中を走るマルコス・ガルシアとサルバドール・グアルディオラ

 

集団内で走るサルバドール・グアルディオラ

 

レース再開を待つマルコス・ガルシアはカメラに向かってポーズを決める

 

パレードの最後は、4賞選手がスプリントパフォーマンスを行ってフィニッシュラインへ

 

ニュートラル走行でフィニッシュしたKINAN Cycling Teamの選手たち

 

餅まきの前にチームを代表してインタビューを受けた中島康晴

 

 

Report, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU

 

メディアリリースのダウンロード

20180601Tour de KUMANO_st1_.pdf