所属選手にスポットをあて、そのときどきで抱く思いや考えをリアルにお見せしていく不定期連載「Close-up 2018」。

久々となる今回は、3月にチーム加入を果たした塚本一樹選手のインタビューをお届けします。

 

アンダー23(23歳未満)カテゴリー2年目、チームの底上げが進む中で、この先どれだけ存在感を示していくのか。

未知なる可能性を秘めた有望株として、ぜひその走りに注目してください。

 

トップチーム入りまでの経緯や、これまでベールに包まれてきた塚本選手の人となりについても分かっていただけるような内容になっています。

なお、インタビューはフランス遠征期間中の4月15日に行ったものです。

 

ツール・ドゥ・ロワール=エ=シェール第1ステージを走る塚本一樹(2018年4月11日)

 

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■自転車競技を始めたきっかけを教えてください

 

父親がダイエット目的でロードバイクに乗り始めたときに自分も興味を持つようになりました。

その頃はプロを目指すことは考えていなかったのですが、小学校4年生の時に漫画「シャカリキ!」を読んで「プロになりたい」という思いを抱くようになりました。

ただ、すぐに自分用のロードバイクを手に入れられたわけではなかったので、当時は自転車を乗りやすく改良しながら、近所の坂で練習をしていました。

 

 

■初めてレースに出場したときの思い出を教えてください

 

中学1年生の時に出場した「シマノ鈴鹿ロードレース」です。

その時はもうボロボロでしたね…上位を狙うとかそんな感じではありませんでした。

そこで周りとの差を痛感して、本気で取り組もうと思うようになりました。

このレースで上位に入った選手の中には、現在ヨーロッパでプロを目指している選手や、全日本選手権の年代別で優勝した選手もいました。

 

 

■同年代に世界を目指す選手がいると励みになりますね

 

彼らに勝つということと、ツール・ド・フランスに出場したいという2つの目標が大きくなっています。

 

それと、レース活動を始める直前から「BCタイマーズ」という地元のチームで走らせてもらっていました。

これからは、自分がグランツールに出場できるような選手に成長して、「お世話になったチームの人たちを現地に招待する」という夢に向かって走っていきたいと思っています。

 

 

 

 

■大きな目標や夢に向かう過程として、まずはKINAN AACA(KINAN Cycling Teamの下部組織)に加入しました。その理由としてどんなことが挙げられますか?

 

レース経験を積む必要があると思ったので、実業団登録ができる環境を探しました。

その間にKINAN AACA CUPにも何度か出場していて、そこで経験値を得られた実感がありました。

確か3回目の出場の時だったと思うのですが、1-1カテゴリーで逃げに入って6位でフィニッシュしました。

仕掛けるタイミングが早すぎて負けてしまったのですが、そこでKINAN AACA(KINAN Cycling Teamの下部組織)に入って、こうしたレースへの出場機会を増やそうと考えました。

 

KINAN AACA CUPでは、KINAN Cycling Team入団希望者のトライアウトや、ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)に出場する選抜チームのセレクションが実施されているので、そこでよい走りをしてチャンスを広げたいと思うようになりました。

そして、それにより近い場所と可能性を考えたときに、KINAN AACAで走ることが一番だと感じたので加入することを決めました。

 

 

■今年2月にはKINAN Cycling Teamの第1次トレーニングキャンプに参加しました

 

加藤GMから誘いを受けて参加することを決めました。

実はあの時期はすでにいろいろと予定を立てていたのですが、全部キャンセルしてキャンプに備えることにしました。

 

 

 

 

■そしてその約1カ月後、トップチーム昇格が決定します。今後も続くキャリアの中でも、KINAN Cycling Team入り決定までの道のりはきっとハイライトの1つになると思います。当時の状況と経緯を教えてください

 

「ツール・ド・とちぎ(3月23~25日、UCIアジアツアー2.2)に招集したい」という連絡があったときはもうびっくりで、「本当に自分でよいのかな…」と思いましたね。

ただ、2月のキャンプでの走りを評価してくださったと聞かされたので、「もうやるしかないな」と気持ちを固めました。

 

ツール・ド・とちぎに向けては、約3週間で調整をして本番に臨みました。

調整期間中は事務関係の手続きなども並行して済ませながらだったのですが、いざレースを走ってみたら得るものが多くて、今後自分がどう競技に向き合っていったらよいのかも見えてきたので、デビュー戦としてはこれ以上ない経験ができたと思っています。

 

 

■さらにはフランス遠征(4月6~16日)にも選ばれて、ツール・ドゥ・ロワール=エ=シェール(4月11~15日、UCIヨーロッパツアー2.2)にも出場することになりました

 

パスポートを取得したのは出発前日でした(笑)

 

この遠征に選ばれるか選ばれないかは、自分の今後を考えたときに大きく違ってくると思っています。

ここでの経験を確実に次につなげないといけないと感じています。

 

 

 

 

■そのツール・ドゥ・ロワール=エ=シェールでは全5ステージ中、第4ステージでリタイアとなりましたが、本場ヨーロッパのレースを走ってみて見えてきた課題や今後のビジョンがあれば教えてください

 

ベースとなるスピードと、走行技術の向上は図っていかないといけないですね。

例えば、レース中に集団からチームカーへと下がって、また集団に復帰するときの動きや、集団内での位置取りを含めた走り方ですね。

経験のある選手ほど脚を使わず、大事な局面まで温存させているのを見て、細かな技術を身につける必要を感じています。

将来的にはフランスを拠点に走れるようになりたいので、その中で通用するように自分を高めていきたいです。

 

 

 

 

■言葉の端々にヨーロッパでプロになるという意志を感じます。将来的に勝ちたいレースとしては何が挙げられますか?

 

やっぱりグランツールですね。

お世話になった人たちとの約束を果たしたいですし、そのためにはアンダー23(23歳未満)の数年が勝負になります。

 

 

■ちなみに、脚質とあこがれの選手についてお答えください

 

淡々とペースを上げていくような走りが得意なので、ルーラーといったところでしょうか。

 

あこがれているのはリゴベルト・ウラン選手(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)です。

人間的にも優れていて、レースでも高いレベルで安定している点ですごいなと思って見ています。

 

ウラン選手のSNSでトレーニング風景を見たりするのですが、理にかなっていて、例えばSFR(重いギアで上りを一定時間走るトレーニング)ではとても綺麗なフォームで走っているので、その点で参考にしている部分も多いです。

 

 

 

 

■質問の趣向を変えて単刀直入に…趣味と特技を教えてください!

 

自転車もそうなのですが、それ以上に幼い頃から芸術系の分野を勧められることが多かったですね。

実は図面を書いたり、絵画や切り絵が得意なのです。

それもあって、デザイン関係の勉強や仕事を勧めてくれる人が多くて、自分でも本腰を入れてやればその分野で活動できるのではないかと思っていたりもします。

 

ただ、苦しい思いや厳しさを感じながら上を目指していきたいという気持ちが強くあります。

それもあって、いまは自転車で挑戦することを決意しました。

 

 

 

 

■活動の拠点は静岡県ですね。地元のよいところを挙げてみてください

 

静岡はどこへ行っても茶畑が多いですよね。

特に、トレーニングで山を上ったりすると、頂上からの景色が一面茶畑…なんてことは日常茶飯事です。

そんな景色はほかのどこにもないと思うので、ぜひ多くの方に見てもらいたいですね。

 

あと、静岡の人はみんな優しいです。

トレーニング中にパンクしたり、スポークが折れたり、タイヤがロックしてしまったりトラブルがあった時に助けてくれたり、周りの人の温かみを感じることができる土地柄だと思っています。

その意味では、とても住みやすいところなのではないでしょうか。

 

 

■最後の質問です。塚本選手にとって、サイクルロードレースの魅力はどこにあると思っていますか?

 

必ずしも強い選手が勝つ、というわけでは決してないところですね。

純粋な力では劣っていても、その時のレース展開や運次第で勝つチャンスがめぐってくる、そんなスポーツだと思っています。

だから、辛いことや苦しいことがあっても、続けていたらいつか勝てる、そう信じて取り組むことに意味があると考えています。

 

 

 

 

 

塚本 一樹/Itsuki TSUKAMOTO
身長・体重/174.5cm・62kg
誕生日/1998年12月12日
出身地/静岡県
脚質/ルーラー

WEB/https://itsuki.simdif.com/

 

【塚本一樹選手次戦予定】

5月13日 JBCF 宇都宮ロードレース(Jプロツアー)

 

 

Interview, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU