中国と戦争しますか?
https://tanakanews.com/220522china.htm
2月末のウクライナ開戦で米国と同盟諸国(米国側)がロシアへの過激(で自滅的)な敵視・経済制裁を開始する一方、中国やインドBRICS、イラン、アラブ、アフリカ中南米など非米諸国はロシア制裁を拒否し、米国側と非米側の世界的な対立構造が立ち上がった。
ロシアは、米国側が買わなくなった石油ガス資源穀物など輸出品を、代わりに中国を筆頭とする非米諸国が買ってくれるので、米国側に強く制裁されても困っていない。
ロシアは、米国側から敵視されるほど中国と結束し、中国の弟分(劣位同盟国)になっていく。
その一方で米英はロシアだけでなく、ロシアを支援する中国など非米側も敵視する傾向を強めている。
英外相は、NATOをロシアだけでなく中国も敵視する軍事同盟にしようと提案している。
米国務長官は、トランプ前政権が進めていた米中経済分離策を踏襲すると発表した。
中国政府(中共)も、ゼロコロナ策をしつこく演じて上海や深センなど沿海諸省で都市閉鎖を延々と続けて経済を封鎖し、嫌気をさした米欧企業が中国から出ていくように仕向けている。
米国だけでなく中国の方も、米中分離を進めていることになる。
中国は発展途上国だった従来、米国主導の世界経済システム(経済覇権)の中で米国側の下請けをやって発展してきた。
米中分離は、中国側から見ると、途上国から大国に成長した中国が、米国側に依存するのをやめて、一帯一路など中国主導の地域覇権体制を組み、その中で米国側と関係なくやっていく方向転換を意味する。
米国から見ると、米中分離は、中国を米国覇権の傘下から押し出して困らせる経済制裁のつもりなのだろう。
しかし中国はもともと経済的な対米自立が目標なのだから、米中分離は対中制裁になっていない。
米中分離はむしろ、米国側の企業が安く製造できる下請け国、14億人の巨大市場を失う動きとなり、米国側にとって自滅策だ(米上層部は、自滅策と知りつつ米中分離を進めて中国を非米型大国・地域覇権国に押し上げているのだから、私から見ると隠れ多極主義)。
経済制裁がダメなら戦争で潰せば良いって?。
それは無理だ。
中国もロシアも核保有国だ。
しかも中露は結束を強めている。
米国側が、中露どちらかと親しくしつつ、もう一方と敵対しているなら、敵対している方を経済制裁して困窮させつつ、武力行使もありうるぞと脅したりして譲歩させることも可能だった。
しかし、中露が結束しているので経済制裁しても効かない。
中露が他の非米諸国と組んで米国側を無視して経済を回せてしまう。
ロシアはSWIFTのドル決済システムから追放されたが、ルーブルや人民元で決済できている。
むしろ米国側の方が、中露を制裁したことで資源や食糧の不足と高騰に悩まされ、ドルの覇権も危うくなって自滅している。
今のように米国側が経済面で負けている状態を軍事面で挽回しようとすると、米欧と中露のガチな核戦争になって人類消滅みたいなことになる。
米上層部がいくら馬鹿でも、それはやらない。
となれば、米国側は経済面でどんどん自滅していくだけだ。
結局のところ米国や英国は、中露に対して何をやりたいのか。
「中国は、台湾の民主主義を潰そうとしたり、新疆ウイグルのイスラム教徒を弾圧してけしからんので、民主や人権擁護の観点から中国を政権転覆する」
とか
「ロシアは、ウクライナに侵攻してけしからんので政権転覆する」
というのが米英の目標とされている。
しかし、台中の対立は中国国内の内戦問題であり、どちらかが民主主義だから良いという話でない。
それに、もし米国が国共内戦からの歴史を無視することにして、台湾が民主主義で素晴らしいということだけに注目することにしたのなら、米政府は台湾(中華民国)を国家承認して国交を再樹立すれば良い。
米国はそれをせず、台湾への兵器販売や、米議員訪問など騒動醸成目的だけの動きに徹しているのだから、民主主義を重視しているわけでなく、中国と本気の対決もしていない。
中共のウイグル人に対する仕打ちは、その近くにあるアフガニスタンの人々に対する米国の仕打ちと比べ、それほど悪くない。
中共がウイグル人を「虐殺」したというのは無根拠な話(米諜報界が妄想したウソ)だ。
弾圧してるが大量殺戮してない。
半面、米軍は昨年まで20年間の占領で数十万人のアフガン人を殺戮(虐殺)している。
また米国は2014-22年にウクライナを政権転覆・極右化して武器を渡して東部のロシア系住民を1万人殺させている。
ロシアより米国の方がはるかに悪い。
米国は、中露の政権を転覆する大義がないし、転覆できない。
転覆する必要もない。
米国が中露の現政権と仲良くした方が、世界ははるかに安定する。
(米国は世界を不安定にしつつ自国の覇権体制を自滅させたい)
結局のところ、米英は中露に対して何をやりたいのか。
日豪をNATOに入れたり、日本をファイブアイズやAUKUSに加盟させて、同盟諸国にもっと中露敵視をやらせたい?。
同盟諸国に加圧し、米国側が団結して中露敵視を強めると、うまくいくのか?。
いくわけない。
米国側が敵視を強めるほど、中露は結束を強め、米国側を無視して自分たち非米側の世界を運営していくようになる。
南シナ海や東シナ海などで中国と米国側の軍事的なつばぜり合いは多発するが、そこから米中戦争にはならない。
台湾を国家承認しない米国は、中国と戦争する気がない。
戦争せず敵視だけして、対立感を醸成しているだけだ。
中露の結束がつよまるばかりだ。
中国は最近、豪州の北方沖にあるソロモン諸島と安保協定を結び、中国軍の基地が豪州沖にできるかもしれない事態を作った。
豪州がソロモン諸島に文句を言ったら「AUKUSを作る時に事前に何も知らせてくれなかったのだから、こちらも勝手に中国と安保協定を結んだだけだ」と言い返された。
ソロモン諸島から見ると、豪米アングロサクソンは傲慢で、中国の方がましだ。
中国は、南洋でも尖閣周辺でも、敵視されるほど大胆に前に出てくる。
軍事でも経済でも、米英に言われるままに中国を敵視して困るのは豪日の側だ。
豪州のモリソン政権は昨日の選挙で負けて下野した(政権交代しても行き詰まりは変わらないだろうが)。
米国は、同盟諸国に中露敵視を強めさせる役割を自分でやらず、昨年末あたりから英国にやらせている。
米国自身が同盟諸国に中露敵視を強めろと加圧すると、同盟諸国は自国の軍隊や安保体制を今よりさらに米国と一体化することを中露強化策としてやりたがり、日独など(日欧)が対米従属を強めて米国にぶら下がる傾向にしかならない。
米国は、同盟諸国をぶら下がらせたくないので、バイデン政権になって、同盟諸国に中露敵視を強めさせる役割を英国に下請けさせ、英国と独仏豪日などでうまくやってくれという態度になっている。
だから英国は、NATOを拡大して豪日を入れる案とか、英豪が米国の傘下で結束して中国敵視を強化するAUKUSとか、米英豪NZの諜報同盟であるファイブアイズに日本も入れと言ったりしている。
日本は敗戦後、二度と地域覇権を求めず永久に対米従属するつもりで諜報機関を作らないようにしてきた。
それが今になって諜報同盟に入れと言うのはお門違いだ。
最近の記事に書いたように、アングロサクソン諸国の諜報界は、インチキな話をばらまく隠れ多極派のネオコン系に席巻されて麻痺・洗脳状態になり、まっとうな諜報分析ができなくなっている。
日本がファイブアイズに入ったら、おかしくなったアングロサクソン諜報界から中国の脅威などについて過激な妄想を注入されて事実と信じ込むよう洗脳される。
今のような現実論で国際情勢を見られなくなり、国家的な大失敗の可能性が高まる。
今のような、無能な小役人を演じて事なかれ主義で米国からの洗脳を回避する方がはるかにましだ。
米国が同盟諸国に中露敵視を強めさせる担当を英国に下請けさせた後、年初に英首相が訪日する予定だったが露軍のウクライナ侵攻が近づいて中止された。
その後5月初めに日本から岸田首相が訪英し、日英同盟の現代版みたいなのを締結した。
そして今回、仕上げ的に米国からバイデンが訪日した。
しかし、米国側の中露敵視は合理的な戦略でないので、バイデンが訪日しても基本的なことは何も変わらない。
日韓にもっと兵器を買えと言って回るぐらいだろう。
バイデンの日韓訪問は、インド太平洋の新しい経済協調を強化する経済面の目的もあると喧伝されている。
だが経済面での2大問題は、
(1)対露経済制裁と、米中など国際流通網の逼迫によるインフレの長期化と、
(2)間違ったインフレ対策である米連銀のQE終了・QTによる金融崩壊だ。
インフレは、米国が中露敵視をやめない限り続く。
(1)(2)ともに原因は日韓に関係ない。
(1)を解決したいなら東京ソウルでなく北京に行くべきだ。
そもそも「バイデン日韓訪問の目的は経済」という話は「中国と戦争しろと言いに来ないでくれ」という日韓からの批判をかわすために米国と傀儡筋が発している目くらましだ。
アジアでは、日豪がまだ米国側にとらわれている半面、インドや東南アジア、韓国は非米側に傾注しており、すでに立場的に一枚岩でなく、経済協調が崩れる方向にある。
米国のインド太平洋経済協調は非現実性が増している。
しかもバイデン日韓訪問に合わせ、米国防総省の筋は2027年に米中が戦争するシナリオをわざわざ流している。
訪問の目的は経済でなく日韓に中国を敵視させるためだよ、と軍産がわめいている。
日米は、中国を「軍事的に抑止する(=戦争する)」ための日米協力について声明を発表することになっている。
中共の上層部では、今まで強固だった習近平の独裁体制が崩れ、ほされていた李克強首相が経済政策の責任者として復権したとか、習近平はゼロコロナ策が失敗して権力が低下しているとか言われている。
しかし、ゼロコロナが非現実的な超愚策であることは前からわかっていた(広範なPCR検査をすると偽陽性が増え、永久にゼロにならない)。
上海などを延々と過激に都市閉鎖する中国のゼロコロナ策は、コロナ対策のふりをした習近平の権力強化策である。
中共の権力闘争はずっと前から上海が焦点であり(もともと上海は英国が作った沿岸の洋風な町で、伝統政治勢力が強い北京の対極にいる)、だから北京でなく上海だけが長く都市閉鎖されている(それと国際流通網を破壊するために深センなど)。
これから習近平が失脚していくとしたら、それは「ゼロコロナの都市閉鎖をやって上海派を封じ込めようとしたのに習近平は勝てなかった」ことになる。
しかし習近平が失脚に向かっている兆候は少ない。
むしろ習近平は上海狙い撃ちのゼロコロナ策によって、政権中枢から上海派をさらに外し、独裁を強化する可能性の方が大きい。
最近、北朝鮮もコロナが大流行していると大騒ぎしている。
これまでコロナをほとんど無視してきた金正恩が突然騒ぎ出して奇妙だ。
これも習近平を見習って、コロナ対策を使って金正恩の権力を強化するための策略だろう。
新型コロナは初期のもっと発症力があった時でも「強い風邪」であり、北朝鮮のような「生きるのがやっと」な国はコロナを気にする余裕も必要もない。
北の人々はワクチンもほとんど打っていないそうだが、良いことだ。
全人類、打たない方が良い。
コロナワクチン(とくにmRNA)は効かないし、連打による自然免疫の低下などの害悪の方が大きい。
中国もロシアも、大して悪い国でない。
「悪さ」でいったら米英の方が上だ。
米国側が中露を敵視するのは不合理で超愚策、そして隠れ多極主義だ。
経済やエネルギー安保のことを考えると、米国側全体が、中露と仲良くした方が得策だ。
しかし、米英はもう10年以上も中露を敵視しており、いくら愚策でももうやめない。
米国は中露を敵視し続けて覇権を低下させ、中露を結束台頭させていく。
その流れは多分もう変わらない。
変えられるかもしれないのは、同盟諸国が米国につきあって中露を敵視して自滅していくという流れの方だ。
同盟諸国、とくにアングロサクソン以外の日独仏韓などは、米国と一緒に自滅していく必要などない。
米国からできるだけ距離を置き、可能なら非米側に転入した方が、未来の国民たちの幸福のために良い。
実際はそうでなく、同盟諸国のマスコミ権威筋は中露敵視・同盟美化の妄想をばらまき続け、多くの国民がそれを軽信している。
方向転換は難しい。
「戦争」も「平和」も「右」も「左」も「ユダヤ人」も「ナチス」もそこにあるのは金儲け
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