官僚権力の為に日本を売る 6 | きなこのブログ

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ジャパンハンドラーズに癒着する「アメリカン・スクール」が栄え、行き過ぎた「チャイナスクール」叩きで対中国人材を失う外務省
http://blog.livedoor.jp/bilderberg54/archives/47967752.html
 
 
対米従属するしか脳がない外務官僚
 
今朝の産経新聞に日米関係研究者として、私にとって見逃すことのできない記事があった。
 
それは、「中国が地域最大の不確定要素」という大きな見出しで、日米同盟深化・拡大、対中戦略の共有を低減したとする「日米安全保障研究会」というグループの出した、「2030年までの日米同盟」という報告書の内容である。
 
この報告書を作成したのは、アメリカのCSIS(戦略国際問題研究所)と、日本側は近年その下請け・受け皿になっている、笹川平和財団(SPF)である。
 
勉強会の共同議長の中には、リチャード・アーミテージ元国務副長官、ジョン・ハムレCSIS所長の他、加藤良三駐米大使が含まれている。
 
加藤良三の娘はアーミテージ・インターナショナルに所属していたことはよく知られており、笹川に現在は所属していると記憶している。
 
同財団はCSISの日本における活動拠点といっていい。
 
日米安保マフィアの世界は狭い。
 
報告書はお決まりの内容で、「日米安保を強化して、中国を抑止すべし」というものだ。
 
ただ、同時に産経の紙面に掲載された報告書要旨を読むと、「対米従属の質的拡大」を促している報告書であり、これまでのアーミテージ・ナイ報告書とも更に段階が進んでいるものであると理解できる。
 
私は、中国を封じ込めることはもはやできないと考えているので、この報告書を日本が実行するとむしろ中国との間で「安全保障のディレンマ」(米ハーヴァード大学のグレアム・アリソン教授が示した)の結果として、中国との軍事衝突のリスクに日本は必要以上にさらされるということになると危惧している。
 
この報告書の具体的な内容としては、日米同盟の深化として、日本が更に対中封じ込めの先鋒役を担わされるということを日本側とアメリカ側が共同で提案しているというとんでもない内容であることがあげられる。
 
例えば、「世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの既存の機関を強化する」とあるが、これは中国の主導するAIIBや新開発銀行には日本はコミットしないということで、経済戦略を地政学的なパワーゲームの一環として展開していくという宣言である。
 
中国については平和的共存と対決の2つのシナリオを示している。
 
これはまあ良い。
 
問題なのは、このビジョンには国家総動員的な要素が加わることを報告書が示唆していることだ。
 
それは、「はじめに」とする部分に書かれている次の内容だ。
 
(引用開始)
 
日米は経済大国、民主主義大国として、日米同盟の基本となる2つの柱を継続して強調する必要性がある。
 
第一に、両国の指導者および世論を形成する人々は、日米があらゆる外交手段(必要な場合には軍事力も含む)を用いて世界で積極的かつ指導的な役割を果たすことへの国内の支持を強化、維持する必要がある。
 
軍事力が国の安全保障政策にとって唯一の手段とは考えておらず、主たる手段であるとさえ考えるものではない。
 
しかし軍事力使用の選択肢をもつことは往々にして、外交支援や侵略の抑止、平和維持にとって必要である。
 
産経新聞(2016年3月1日)
 
(引用終わり)
 
重大なのは上の中で
 
「世論を形成する人々は、日米があらゆる外交手段(必要な場合には軍事力も含む)を用いて世界で積極的かつ指導的な役割を果たすことへの国内の支持を強化、維持する必要がある」
 
という部分だ。
 
この方針に従わないメディアや言論人は非国民であるということを示唆している。
 
どうも、非国民です。
 
この報告書はあくまで民間の提言だが、これまで日本の保守政権が自民党も民主党も含めて、アーミテージ報告という「宿題」をこなしてきただけの存在であり、そこには主体性が殆ど無かったことを考えても、このビジョンも採用されていくだろうと思う。
 
問題は今回の報告書が日米共同という体裁をとっていることである。
 
私はCSIS日本部を研究して、もはやこの部署は日本の武器輸出ビジネスで一儲けしたい経団連の一部となっていると指摘した。
 
だから、この報告書に示されている認識は私に言わせれば
 
「もはや日米の軍事サークルが一体化してしまい、むしろ主体的に米国依存を強めるために、日本が集団的自衛権を容認するなどの動きに出ている」
 
ということなのだ。
(CSISについては『暗殺の近現代史』に所収の論考参照)
 
最近、元防衛大臣の森本敏が監修した、『防衛装備庁』(海竜社)という本を読んだが、この本はいわば「死の商人匿名座談会」というべきものである。
 
参加者の中には、NMVコンサルティングのケヴィン・メア元国務省日本部長の名前や、この本の前作にはジム・アワー国防総省元日本部長の名前もあった。
 
思えば武器輸出3原則を死文化したのは安倍政権の前の野田政権で、森本は防衛大臣。
 
現在は右翼大学である拓殖大学の総長をしている。
 
この本が恐ろしいのは、「武器輸出のハードルがなくなった」ことに対する兵器産業の関係者の喜びが匿名対談だけにあからさまに描かれているということだ。
 
経団連「武器輸出を国家戦略に」という本音が具体的に現れたものだ。
 
今回の笹川とCSISの報告書は、集団的自衛権の限定容認という風穴を開けたうえで、武器輸出三原則の廃止という決定を受けて、次なる憲法改正を視野に入れたジャパンハンドラーズと彼らと癒着する日本経団連に対する指南書になるだろう。
 
さらに、この報告書の背景を深く理解するために重要な記事が、今月の選択の最新号にも載っている。
 
「外務省チャイナスクール」と題する記事で、外務省において中国担当の外交官たちが次々と左遷されているという内容だ。
 
チャイナスクールは確かに中国ベッタリと言われても仕方のない外交官がいた過去がある。
 
しかしそれは小泉政権の時で、近年のパージは私から見ると、「アメリカ派による粛清」ということになる。
 
記事では、官邸の中国対策を一手に担っているのが、在中国日本大使館の政務担当公使で、中国・モンゴル第一課長の垂秀夫(たるみひでお)であると説明されており、あまりにも中国から望ましくない人物として睨まれたので、首相官邸に呼び戻されて分析官をやっているという。
 
を高く評価していたのがあの佐藤優氏で、だから私は垂の名前はよく覚えている。
 
そして、現在の中国・モンゴル第一課長が、なんと、あの有馬裕であるというのだ。
 
有馬といえば、私がウィキリークスの流出公電を分析した時に出くわした名前で、天木直人氏に聞いたところ、やっぱりドイツ大使をしていた有馬龍夫の息子という。
 
有馬のことを流出公電は、「注目すべき親米派の外務官僚」として紹介している。
 
つまりウィキリークスに登場し、鳩山政権つぶしの筆頭にあげられた親米派の筆頭が今は中国課長をしている、ということなのだ
 
アメリカ派の有馬は中国語も話せないのではないかと思う。
 
記事によると、現在の中国担当を固めているのはフランス語を学んだフレンチスクールということで、安倍政権は完全に外務省はアメリカ派の天下になっている。
 

外務省アジア大洋州局は北米局の植民地に
 
しかし、いくらなんでも冷静な情報分析を行うのは、現地語に通じた人物が必要なはずだ。
 
その意味ではチャイナスクール軽視というのは、我が国の外交にとって恐ろしい損失になると思う。
 
冷静な判断は冷静な分析のもとにあるからだ。
 
チャイナスクールは、売国奴だと言われているが、それは事実であった時期はあるだろうが、現在進行形で日本の選択肢を減らしている外務省のアメリカ派こそが本当の売国奴ではないか。
 
選択の記事はチャイナスクールを批判しているものの、「親中から敵対への激しい反動と激しい振り幅」をも問題にしている。
 
アメリカ大統領選挙ではおそらくヒラリーがまだ有利だと思うが、共和党のトランプ、ルビオなど主要候補もおそらく日本の政策はジャパンハンドラーズからのインプットを頼りにするしか無いだろう。
 
そして、どの候補が当選しても、「集団的自衛権の全面容認と改憲によるさらなる対米従属」を求めてくるだろう。
 
日本の政治家・官僚・財界は過度の反中国に舵を切っている。
 
中国の台頭に呼応した動きとはいえ、これは極めて危険な兆候である。
 
その問題のある報告書が発表されたその日に安倍晋三は国会で「改憲というのは集団的自衛権の全面容認であり、自民党はそれを目指す」と更に対米従属の本音を明らかにした。
 
(貼り付け開始)
 
首相、自衛権全面容認に言及 「国際法上、行使可能」
2016年3月1日 13時14分
 
安倍晋三首相は1日の衆院予算委員会で、憲法改正し集団的自衛権行使を全面的に認める必要性に言及した。
 
「日本国民の命を守り抜いていくために必要な国際法上持っている権利は行使できるとの考え方の下に、自民党草案を示している」と述べた。安倍政権は2014年7月の閣議決定で憲法解釈を変更し、歴代内閣が禁じてきた集団的自衛権行使を一部容認。
 
15年9月に安全保障関連法を成立させた。将来的に、憲法改正を伴う全面的な容認を目指すべきだとの姿勢を示した。
 
民主党の緒方林太郎氏の「自衛隊は集団的、個別的を含め全ての自衛権を行使できるようにすべきだと考えるか」との質問への答弁。
(共同)
 
(貼り付け終わり)
 
<参考記事>
 
産経新聞(016.3.1 14:05)
【日米安保研究会報告書】「2030年までの日米同盟」要旨
 
日米の著名な外交・安全保障の有識者らでつくる日米安全保障研究会が29日に発表した報告書「2030年までの日米同盟」の要旨は以下の通り。
 
I.はじめに
 
日米同盟はアジア太平洋地域およびより広い範囲の国際社会の安全保障と繁栄に貢献してきた。今日の日米同盟は、発足以来のどの時代にも劣らず強固な状態にある。日米両国が今後15年間に直面する国際安全保障環境は、これまでになく厳しく不透明なものとなるため、日米同盟には現状もしくはそれ以上の力強さが求められると考える。
 
アジアにおいて、日米両国は、中国の責任ある行動を助長し、安定を揺るがすような行動に対しては代償を払わせることによって、より良い戦略環境を形成していかねばならない。日米が追求する共通の世界ビジョンを確立する必要があると考える。提案するビジョンは次の通りである。
 
◇平和と安全
 
・日米安全保障条約に基づき有効なパワーバランスの維持と抑止に取り組み、必要な場合には、武力攻撃や自国、同盟国、友好国の利益を侵害する行為を撃退する。
 
・国家間の問題については武力や威嚇を排した平和的な交渉による解決を追求する。
 
・テロ、犯罪行為などの手段を用いて自国、同盟国および友好国の国民の安全を脅かす行為に対しては、相手が国家であれ非国家主体であれ、これに対抗する国際的な取り組みを主導し、参加する。
 
◇繁栄
 
・開発途上国の経済発展およびガバナンス強化、民間部門の能力向上、女性の地位向上を含めた人的能力育成など全ての側面における発展のため、支援を提供する。
 
・世界銀行や国際通貨基金(IMF)など既存の機関を強化する。
 
◇自由
 
・世界人権宣言にうたわれた原則の推進を支援する。
 
日米は経済大国、民主主義大国として、日米同盟の基本となる2つの柱を継続して強調する必要がある。
 
第1に、両国の指導者および世論を形成する人々は、日米があらゆる外交手段(必要な場合には軍事力を含む)を用いて世界で積極的かつ指導的な役割を果たすことへの国内の支持を強化、維持する必要がある。軍事力が国の安全保障政策にとって唯一の手段とは考えておらず、主たる手段であるとさえ考えるものではない。しかし軍事力使用の選択肢を持つことは往々にして、外交支援や侵略の抑止、平和維持にとって必要となる。
 
日米両国にとって、近代的かつ極めて有能で十分な予算に支えられた軍事力を備えることは必須であり、両国が追求する平和で安全な、繁栄した自由な世界を守るためにその軍事力を活用する用意がなければならない。第2に日米両国は、経済的基盤を整える施策を講じなければならない。
 
II.2030年までの安全保障環境
 
◇中国
 
30年までのアジア太平洋地域の安全保障環境を決定する上で、最も不透明な要素の一つが中国の動向であると考える。中国の将来像予測を1つに絞り込むのは不可能であり、描き得る将来像は複数で極めて多岐にわたるものとなる。経済動向のいかんにかかわらず、中国は軍事力に対する投資を継続するとみられる。中国の関心領域は拡大し、その強引な行動や領有権拡大への主張を強めることはあっても弱める可能性は低い。
 
今後15年間の中国の姿を予測するに際し、本研究会では中国政府が従前よりやや攻撃的になることをベースラインに据えている。中国の成長モデルは国内の消費拡大と生産性向上を基盤とする形態への転換を目指すが、そこには多くの障害が立ちはだかる。成長は持続するものの以前より軟調で、成長率は過去数十年間に比べて相当低くなり、30年までに世界1位の経済大国である米国をしのぐまでには至らないと考えられる。
 
総じていうと、日米両国および同盟国が30年までに東アジアで備える軍事能力の水準を中国が凌駕(りょうが)することはないと思われる。しかしながら、人民解放軍の、外部から中国近海に接近することを拒否する(Anti-Access/Area-Denial)能力の拡大により、日米の基地および第1列島線と第2列島線の内側で行動する部隊に対する脅威は増大する。
 
中国は、台湾、東シナ海、南シナ海、およびインドと係争中の地域における主権を今後も主張し、準軍事的な手段または軍事力による威嚇戦術の両方を使用するとみられる。意図的に近隣諸国や米国との大規模な軍事衝突を誘発する可能性の高い行動をとる可能性は低い。中国は、歴史上の新興国家がそうであったように、自国が属する地域秩序の変更を試みるものとみられる。
 
◇朝鮮半島
 
北朝鮮は日米両国にとって危険な脅威である。北朝鮮は国内での権力支配正当化のために今後も挑発的な軍事行動を続ける公算が大きい。この暗い予測に変化がもたらされるとすれば、それは予期しない出来事が起こったときである。北朝鮮の権力エリートのうち、国の疲弊と金正恩の主導体制に疑問を抱く一派が政変を企てる可能性がある。
 
金正恩はまだ30代半ばではあるが、死去または殺害されて後継者争いが起き、予測できない結果を招く可能性もある。混乱による悪影響を防ぐためには日米韓の密接な協力と中国およびロシアとの対話が必要となる。韓国にとって日本は朝鮮半島情勢への後方支援に欠くべからざる存在であるということを的確に評価した上でこのことを明言すべきである。
 
III.日米同盟への提言
 
競争が激化し不透明な将来の安全保障環境の中、30年に平和かつ安全で、繁栄し、自由な世界を構築するというビジョンを達成するために、2つの主要な分野への取り組みが必要となる。
 
第1は、競争が激化している国際環境、とりわけ中国の挑戦に対応し得るよう現行の日米同盟を改めていくことである。第2は、日米同盟の信頼性と有効性を高めるために同盟を深化、拡大、持続するための施策を講じることである。
 
◇一つに調整された対中戦略
 
日米同盟にとって最も重要な地政学的課題は中国の台頭である。日米と中国の共通の経済利益および外交的利益を追求しながら、中国がより攻撃的な道を選んだ場合に備えて軍事的抑止力を維持するという、単純な二面的アプローチを基礎として同盟戦略を構築することはできない。中国が「グレーゾーン」での威嚇を通じて現状の変更を求めている状況下では、このアプローチは有効とはいえない。中国の将来に対する日米両国の影響力は限定的であるが、地域の繁栄と国際秩序を支えてきた機関や協定を守り強化しながら、その枠組みの中で中国と協力する方法を模索することは可能で、またそうする必要がある。
 
◇同盟の信頼性と効率の向上
 
日米両国は、より信頼性が高くかつ有効な同盟を目指し、次の3分野に傾注すべきである。
 
◇同盟の深化
 
日米同盟の一層の統合を進め、迅速な意思決定を実現する必要がある。ガイドラインにおける同盟調整メカニズムの設置は、重要な前進であるが、さらなる取り組みが求められる。中国が「グレーゾーン」行為を増加させ、北朝鮮が弾道ミサイルおよび核兵器を開発する中、日本はもはや冷戦時代にそうであったような「後方地域」ではなくなっている。
 
◇同盟の拡大
 
アジア各地、またはより広い地域における日米の政策、行動を、少なくとも調整し、可能ならば統合することを提言する。
 
◇同盟の持続
 
日米関係に摩擦はほとんど存在しないものの、同盟の持続を図るためには残る摩擦に迅速かつ直接的に対処する必要がある。30年までに在日米軍は、米前方展開部隊の中で世界最大規模になるとみられる。同盟に対する国民の支持を維持するために重要なのは、基地問題解決に取り組み続けることである。将来の日本における米軍基地は、日本の国旗を掲げた基地を借りるテナントとして、自衛隊とともに駐留する形が望ましい。
 
日本国内の米軍基地の存在は、米軍が戦略上重要な地点に展開する際の強力なプラットホームを日米同盟にもたらすということである。指揮統制能力の向上によって軍事力使用の決定が迅速化し、軍事技術の発展に伴い敏(びん)捷(しょう)性が増し、輸送が迅速化するにつれて、米軍の展開はより柔軟になり、現在の米軍基地の構造に左右されにくくなると考えられる。
 
IV.結言
 
日米同盟が果たしてきた功績は称賛に値するものであり、同盟の前には今後も明るい未来が開けている。今後15年間はこれまでの同盟の歴史の中で一、二を争うほど困難な時期となると結論付けている。日米の意図は、中国とアジアとの経済的、政治的結びつき強化を封じ込めることではなく、魅力的な代替案と機会を提供することによって、アジア諸国の選択の自由を確保することにある。