安倍談話はアメリカ向け談話 | きなこのブログ

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安倍首相の戦後70年談話は日米合作だった! 騙されてるのは日本国民だけ
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201508/article_105.html

米国1%の傀儡廃棄物、安倍晋三の戦後70年談話ですが、日米合作だったわけですね。

当然でしょう。

談話直後の米報道官の「談話賛美」が思いきり気味が悪かったのですが、米国政府が作った談話だから、賛美して当たり前だったんですね。

70年談話の内容を米国側が作成して安倍に読ませた。

安倍はガラス製カンペに投影された「ルビ付き原稿」を読む係りだった。

生徒会の花壇係と大差ない。w

安倍首相の戦後70年談話は日米合作だった! 騙されてるのは日本国民だけ、海外メディアは二枚舌見抜き大批判

(抜粋)


たとえば、米国家安全保障会議(NSC)のネッド・プライス報道官は、安倍談話発表からわずか数時間後、以下の声明を出した。

「われわれは、安倍首相が、日本が第二次対戦中に与えた被害に対する痛切な反省(deep remorse)を表明したこと、ならびに、安倍首相が日本の歴代内閣の歴史認識に関する談話を継承したことを歓迎する。


また、日本が今後より国際平和と繁栄への貢献を拡大していくとしたことを評価する。


戦後70年、日本は平和、民主主義、法の支配をかわらず尊重してきた。


世界各国にとってお手本だ」


本当に安倍談話を聞いたのか?


と思わずにはいられないほどのベタ褒めというわけだが、実は、安倍談話の作成にあたっては、事前に日米が裏で通じていたという。

安倍首相が談話を発表する4日前の8月10日、キャロライン・ケネディ駐日大使が官邸を訪れ、安倍首相と会談しているが、ここで談話の最終決定が行われたのではないかと言われているのだ。

「官邸・外務省は以前はジャパンハンドラーと呼ばれる国務省OBを通じてアメリカ政府の意向を探る形をとっていましたが、この夏以降は直接、70年談話の細部について協議を重ねていたと言われています。


安倍首相とケネディ大使との会談が行われたタイミングを考えると、そこで安倍談話の内容の最終チェックと、その後の米政府が予定する声明についての確認が行われたのは明らかでしょう」(外交評論家)

このアメリカとの事前協議はテレビ朝日のニュース番組が短く伝えただけで、国内メディアはまったく報道しなかったが、70年談話はある意味、アメリカとの合作だったといってもいい。

「この談話の取り扱いを間違えたら、合意した日米ガイドライン、集団的自衛権行使が白紙になってしまう。


そのために日米両政府で、安倍首相の主張を取り入れながら国際社会に非難をされないギリギリのところを探ったということでしょう」(前出・外交評論家)




アメリカへの「決意表明」に終わった「安倍談話」
http://blog.livedoor.jp/bilderberg54/archives/45927288.html

「安倍談話」が出た。前の村山談話、安倍談話と違い、随分と長い、というのが一読しての感想。そして、非常に読みづらい、と思った。

一般的に言って、読みづらい文章は大体「政治的妥協の産物」である。

様々な意見を混ぜこぜにしているので、焦点が定まらないものとなる。

次に、読みづらい理由として、英文からの翻訳である、という場合だ。

この談話、日本語と英文が同時に出た。

当然、日本の新聞は日本語の方を掲載するわけだが、英文と読み比べていくと、

「この談話はそもそも英文での発表

目的にしたものではないかとわかる。

表現が日本文よりも整っているのだ。

まず、内容の面は後に回すとして、表現の部分を見ていく。

もっとも印象的に英文での発表を意識したと思えるのはこの談話の最後の部分だ。

(引用開始)

We will engrave in our hearts the past, when Japan attempted to break its deadlock with force. Upon this reflection, Japan will continue to firmly uphold the principle that any disputes must be settled peacefully and diplomatically based on the respect for the rule of law and not through the use of force, and to reach out to other countries in the world to do the same. As the only country to have ever suffered the devastation of atomic bombings during war, Japan will fulfil its responsibility in the international community, aiming at the non-proliferation and ultimate abolition of nuclear weapons.

We will engrave in our hearts the past, when the dignity and honour of many women were severely injured during wars in the 20th century. Upon this reflection, Japan wishes to be a country always at the side of such women’s injured hearts. Japan will lead the world in making the 21st century an era in which women’s human rights are not infringed upon.

We will engrave in our hearts the past, when forming economic blocs made the seeds of conflict thrive. Upon this reflection, Japan will continue to develop a free, fair and open international economic system that will not be influenced by the arbitrary intentions of any nation. We will strengthen assistance for developing countries, and lead the world toward further prosperity. Prosperity is the very foundation for peace. Japan will make even greater efforts to fight against poverty, which also serves as a hotbed of violence, and to provide opportunities for medical services, education, and self-reliance to all the people in the world.

We will engrave in our hearts the past, when Japan ended up becoming a challenger to the international order. Upon this reflection, Japan will firmly uphold basic values such as freedom, democracy, and human rights as unyielding values and, by working hand in hand with countries that share such values, hoist the flag of “Proactive Contribution to Peace,” and contribute to the peace and prosperity of the world more than ever before.

(引用終わり)

この部分が日本語だとこうなっている。

(引用開始)

私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、こ の胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これ からも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまい ります。


私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性た ちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀 こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。


私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意しいにも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引けんいんしてまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。


私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この 胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、 「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

(引用終わり)

このように、英文では一言一句違わない、「We will engrave in our hearts the past, when」で始まる文章が連続して4パラグラフ続いている。英文を読んで、これが印象的なのだとわかった。日本語の表現ではこれがうまく伝わらない。これはアメリカ式のスピーチライターの表現方法であると思う。

以下では個別の論点について私の思ったことを書きたい。

この談話の特徴は全部で6つあると思う。
 
(1)欧米列強の存在と日露戦争がアジア諸国に与えた希望
(2)戦争の惨禍一般、侵略一般への言及
(3)歴代内閣のおわびの踏襲の確認
(4)戦争については胸にとどめるが、もう謝罪しないという宣言
(5)戦後レジーム=サンフランシスコ体制への配慮
(6)積極的平和主義

(1)については、次のようになっている。

(引用開始)

百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。


(引用終わり)

この文章を読んで思ったのは、よく保守派がいう「大東亜戦争聖戦論」の前振りとしての日露戦争の勝利についての評価。これは靖国神社の遊就館の展示にあるパネルの歴史認識と同じであるが、ここに続く第二次世界大戦についての評価を見てみる。

(引用開始)

当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。


満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。


そして七十年前。日本は、敗戦しました。

(引用終わり)

日本は国際秩序の挑戦者になっていったことを「進むべき進路を誤った」内容としている。幣原外交のような米英主導の国際協調外交を捨てて、日独伊三国軍事同盟に突き進んだことが「国策を誤った」ことの内容としている。この認識はアメリカとしては評価しているだろう。

次に続く、(2)戦争の惨禍の部分で、日韓併合には触れていないが、「我が国」が行ったことについても総論的に述べてはいる。

(引用開始)

何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。

(引用終わり)

「断腸の念」は使い方は間違っていないが、「胸が張り裂けそうな思い」としての方がわかりやすかった。「一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった」などというあたりから、この談話があらかじめ英訳されて読まれることをかなり意識したように見受けられる。

そして(3)の「おわび」の部分、「安倍内閣はこれまでの内閣の談話を踏襲する」とはいうものの、安倍晋三首相として「謝罪の言葉」があるわけではない。

(引用開始)

我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。


こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

(引用終わり)

村山・小泉談話(http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html )ではこの部分はもっと直接的に謝罪を入れていた。

安倍首相の祖父が岸信介元首相というあの戦争の当事者であったことを考えると、ここは総理大臣である安倍首相本人の謝罪であるということを明確にしないと、「公人として仕方なく歴代内閣の政府方針を追認した。私人としては反省もしていない」(事実そうなのだろうが)というふうに勘ぐられてしまうので非常に良くない。

さらにこの歯切れの悪さが、(4)とつながると、さらに悪印象を与えることになる。

(引用開始)

寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。


日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

(引用終わり)

この部分も、安倍首相がいわゆる「歴史修正主義者」と言われる歴史観に親和性がある人物でなければ、何事もなくスルーされた部分かもしれないが、(3)の部分の歯切れの悪さと合わせると、「いつまで謝罪すれば良いのか!」と逆切れする保守オヤジのメンタリティが出たんじゃないかと思わせるものもある。

産経新聞の阿比留記者によると、この部分はドイツのワイツゼッカー大統領の「荒れ野の40年」の演説を意識したのではないかということだったが、安倍晋三お気に入りの阿比留記者がそういう質問をするということは、実際そういう認識なのだろう。

安倍談話にこのような「もう謝罪しない」宣言とも取れる内容が入ったことについて、欧米のメディアは、口を揃えて「安倍晋三首相の支持者のナショナリスト、保守層に配慮した」というニュアンスの解説がなされている。

(ワシントンポスト)His words underline the careful balancing act Abe must perform. He is trying to appease his nationalist supporters at home, while seeking to avoid further angering China as he tries to improve relations. He also was cautious not to displease the United States, Japan's closest ally.

(フィナンシャルタイムズ)By repeating crucial phrases used by past Japanese prime ministers, such as “colonial rule” and “aggression”, Mr Abe sought to avoid a sharp backlash from former enemies in China and South Korea.
However, he also signalled to his right-wing base that Japan’s interpretation of history is not settled, and the country does not intend to keep apologising for ever.
“We must not let our children, grandchildren, and even further generations to come, who have nothing to do with that war, be predestined to apologise,” the prime minister said.

(ニューヨークタイムズ)But in a potentially contentious break with previous expressions of contrition by Japanese leaders, he did not offer a new apology of his own.(中略)But he added that there was a limit to the number of times Japan could apologize.

“We must not let our children, grandchildren and even further generations to come, who have nothing to do with that war, be predestined to apologize,” Mr. Abe said. It is enough, he added, “to inherit the past, in all humbleness, and pass it on to the future.”

Mr. Abe has long sought to break with what conservatives call Japan’s “masochistic” approach to addressing history(注:自虐史観). Apologies dating to the 1990s have not prevented recurring feuds with China and South Korea, which have their own reasons, political analysts note, for keeping public animosity toward Japan alive.

(ウォールストリートジャーナル)Mr. Abe also faced pressure from the conservative wing of his ruling party, where many lawmakers accuse South Korean and Chinese leaders of purposely inflaming wartime wounds to shore up domestic support.

これらのメディアのうちの幾つかは安倍首相の支持層にはナショナリスティックな価値観を持つ「日本会議」という団体があって、安倍内閣の閣僚のほとんどがこの団体の会員であるとこれまで報じてきた。

FTはアメリカのNSCの広報の反応を伝えている。歓迎していると。

A spokesman for US President Barack Obama’s National Security Council welcomed Mr Abe’s “expression of deep remorse” for the wartime suffering caused by Japan.

ということは、非公式な立場での個人の米政府高官の感想とは別にすれば、アメリカ政府としては「これでいい」という態度であるということだ。

それというのも安倍談話に示された歴史観、戦後認識は、今年の4月下旬の訪米における合衆国議会の演説と同じだし、新聞報道でも「それを意識して談話を出す」と言われていたからだ。

例えば談話の次のような部分がそうだ。(注:安倍米議会演説: 

(引用開始)

私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。


そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。


私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。


私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。


私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。

(引用終わり)

上の引用文で書かれている、「経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます」というのはTPP推進ということである。

TPPは1929年以降に生まれたブロック経済よりは自由貿易主義的だが、WTO(世界貿易機関)が目指す自由貿易体制よりはブロック経済的であるのだが、安倍首相は戦後70年談話でTPPの推進まで約束しているということだ。

さらに安倍首相は連合国体制からの逸脱はしない、と宣言している。これは私などにとってみれば当然の話だが、日本の強固な保守層(大東亜戦争が正義の戦争だったとする立場)からすれば、不満が残るだろう。

(引用開始)

私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

(引用終わり)

以上のように見てきた、安倍談話だが、これは、アメリカ向けの談話であり、内容が米議会演説に酷似しているのもそのためである。

この談話に示された歴史観である「日本は近代化し、日清・日露までは良かったが、その先が秩序の挑戦者となった」という考え方は、早い話が司馬遼太郎の「坂の上の雲」の歴史観(司馬史観)であり、この司馬史観は、アメリカのエドウィン・ライシャワー駐日大使の元で形成されたものである。

だから、この範囲にとどまっている安倍談話はアメリカとしては容認できるわけだ。

これまでの安倍政権の行動は、中韓が評価しなくても、アメリカが評価すればそれでいい、合格ラインだというのがベースになっていたと思う。

アメリカの政府に向けて書かれた、司馬・ライシャワー史観の談話。


私の評価としてはそういうことになる。

ただ、「積極的平和主義」などの部分で、あまりに一内閣の独自性が加わり、政治性を帯びた文章となり、釈然としないものは残った。

これを首相の私的談話として出すのであれば私は何の異論もない。

しかし、「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」という部分を閣議決定してしまったことは果たして良かったのか。

「謝罪をしろと要求されないでもすむように過去の負の遺産から決別します」という風にも読めるが、この部分が、自民党のいわゆる「反自虐史観派=歴史修正主義者」にとっての免罪符になりはしないか、という心配をしてしまう。