ユダ金戦争ビジネスに引込れる日本 | きなこのブログ

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安部イスラエル訪問とISIS人質事件
http://tanakanews.com/150123ISIS.htm


1月20日、日本の安倍首相がちょうど中東のイスラエルを訪問している最中に、同じ中東のイスラム過激派組織ISIS(イスラム国、ISIL)が、昨秋から人質にしている日本人2人の動画を公開し、2億ドルの身代金を日本政府に要求してきた。

2億ドルという身代金の額は、安倍首相が今回の中東歴訪のみやげとして、ISISと戦う資金として中東諸国に出すと表明した支援金と同じ額だ。

日本が出す2億ドルは軍事支援でなく、国境警備強化や(貧困がイスラム過激派を生んでいるという理屈に基づく)貧困対策など、行政施策に使う資金の支出だと日本政府は釈明している。

しかし、日本が出す2億ドルがISISを弱体化するための支援金であることに違いはなく、ISISはこの点を突いて「そのカネをこっちによこせ。さもなくば2人を殺す」と脅してきた。

イスラエルのハアレツ紙は、安倍がイスラエルにくるたびに人質事件と戦争が起きると皮肉った。

安倍が前回首相だった06年にイスラエルを訪問した際には、2人のイスラエル軍兵士がヒズボラに誘拐され、それを機にイスラエルとレバノンの戦争が勃発した。

今回は日本人人質事件だけでなく、安倍がイスラエルに到着した日、イスラエル軍機がシリア領内に侵入してヒズボラとイランの要員を空爆し殺害する戦闘も起きた。

(ヒズボラやイラン要員は、アサド政権を支援してISISと戦うためにシリアにいた。イスラエルの空爆はISISを支援する効果をあげている)

安倍のイスラエル訪問は、経済関係の強化が主眼だった。

「平和憲法」を持つ「経済大国」(いずれも終わりかけているが)として、軍事や敵対に首を突っ込まず経済だけに注力する姿勢だ。

しかし今のイスラエルは、ガザ戦争や西岸でのパレスチナ人弾圧を国際的に人権侵害(人道の罪、戦争犯罪)と非難され、最大の貿易相手だったEUは経済制裁を強めている。

イスラエルは、EUに代わる貿易相手を探すのに必死だ。

そこに日本の安倍首相が、おそらく米国のタカ派政治家から頼まれ、経済関係を強化すると言ってイスラエルを訪問した。

日本は、戦争犯罪を犯して国際制裁されて罰せられそうなイスラエルに抜け道を用意してやった。すばらしい平和主義だ。

今回の安倍首相の中東歴訪は、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ(自治政府、PA)を回った。

イスラエルだけに行ったのでない。

しかしヨルダンもエジプトもPAも比較的親イスラエルで、これらの国の政権が、日本から資金をもらって守られる(反イスラエルの政権に転じない)ことは、イスラエルの国家安全を守るために不可欠だ。
 

安倍のイスラエル訪問は、3月に予定されているイスラエルの総選挙で、負けそうなネタニヤフを応援する効果ももたらした。

3月17日に予定されている総選挙では、国際制裁を無視して違法入植地を広げたり和平交渉を潰したりイスラエル国内のアラブ系住民の市民権を剥奪したがる右派を率いるネタニヤフ首相が、和平交渉の必要性を訴える中道派に破れそうになっている。

イスラエル右派の米政治団体(AIPACなど)に牛耳られる傾向が強い米議会は、ネタニヤフの挽回を助けようと、2月11日にネタニヤフを米議会に招待して反イランの演説をしてもらうことに決めた。

イランはイスラエルの仇敵だが、オバマ大統領はイランと和解しようとしている。

ネタニヤフを呼んで演説させ、オバマを非難するのが米議会の狙いだ。

オバマは「3月の選挙に近すぎる日程での訪米であり、選挙に影響を与えたくないので会わない」という口実でネタニヤフとの会談を断った。

オバマとイスラエルの不仲は昨秋から露呈している。

米政界は、イスラエル右派に牛耳られ続ける米議会と、イスラエル支配を脱却しようとするオバマとの政争が激化し、一枚岩でなくなっている。

日本(権力を握る官僚機構)の国是は対米従属であり、官僚を無力化しようとした民主党政権の反動で官僚の傀儡として成立した安倍政権は特にその傾向が強い。

米国の上層部が分裂する中で安倍は、オバマでなく議会を牛耳る軍産イスラエル複合体を従属の対象とみなしているようだ。

EUやオバマがネタニヤフを嫌う中で、安倍がイスラエルを訪問したことから、それがうかがえる。
 

偶然だろうが、安倍と同時期にマケイン上院議員ら米議会のタカ派議員たちがイスラエルを訪問しており、安倍はイスラエルでマケインらと会って懇談した。

マケインは以前、シリアを訪問して反アサド武装勢力と面談して鼓舞し、その中にのちにISISの幹部になる人々が含まれていたことで知られる「隠れISIS支援派」だ。





イスラエルの選挙で中道派が勝つと、パレスチナ和平を再開し、欧州と再和解して国際制裁を避ける策を採りそうだ(右派が全力で妨害するだろうが)。

ネタニヤフが勝つと、和平推進を拒否し、国際法廷(ICC)で有罪になったり経済制裁されるのも無視して、西岸やガザを併合した上でゲットー化する「アパルトヘイト方式の解決」を突き進みそうだ。








他国の指導者が選挙でネタニヤフを勝たせようとすることは、中東和平を妨害し、戦争や弾圧を広げる動きだ。

安倍首相は中東歴訪で中東和平の推進を呼びかけ続けたが、実際の効果としては和平を潰したいネタニヤフを応援してしまっている。

安倍がその点を自覚してこの時期にイスラエルを訪問したのかどうかわからない。

たぶん、イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員から圧力をかけられ、対米従属の観点から言いなりになってイスラエルを訪問したのだろう。
 

石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、親アラブを貫いてきた。

今回の安倍の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になるかもしれない。

サウジアラビアなど湾岸産油国は、米国シェール産業を潰す原油安を加速するため、アジア諸国などに原油をどんどん売りたい。

日本が親イスラエルに転じても、サウジは日本に原油を売ってくれる。

日本が米タカ派から圧力を受けて親イスラエルの傾向を強め、その反動としてISISが誘拐した日本人を殺すぞと脅しても、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるなら、米イスラエルと協力してISISと戦う安定した構図が存在しうる。

しかし実際は、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるかどうか大きな疑問がある。

アルカイダや、それがバージョンアップしたISISは、米タカ派やイスラエルが中東支配に好都合な「敵を演じてくれる勢力」として育て、こっそり支援し続けている疑いが濃い。

正月早々、米軍機がシリアで反ISISの武装勢力に支援する武器を空中から投下したところ 「間違って」 ISISの駐屯地に武器を投下してしまう事件が起きた。

イラクやイランの軍幹部は、米軍が意図してISISに武器を支援したと考えている。

ISISと最も効果的に戦っているのは米国でなく、イランと、イランに支援されているシリアやイラクの軍隊だ。

米国では、オバマがISISと真剣に戦う気があるようだが、国防総省はISISと戦う気がなく、それに気づいたオバマが現場の司令官に直接攻撃を指揮する傾向を強め、国防総省がオバマを煙たがっている。

この対立の余波で昨年、ヘーゲル前国防長官が辞任した。

NYタイムスの07年の記事によると、

国防総省はISISの指導者バグダディが存在しない架空の人物であると知っており、

アルカイダがイラクに入り込むために架空の指導者をでっち上げて過激組織(のちのISIS)を作っていると報じている。

米当局は、架空の人物とわかっているのに今もバグダディをISISの最高指導者として発表し続けている。

ゴラン高原の国連監視団によると、イスラエルはシリアで負傷したISISの兵士をゴラン高原経由で自国の病院に受け入れて治療している。

米軍がヨルダンで訓練したシリアの「穏健派反政府兵士」たちが、イスラエル領のゴラン高原を経由してシリアに入り、ISISに合流している。

ISISやアルカイダが、米イスラエルによって敵として作られた勢力であっても、ISISやアルカイダの行動のすべてが米かイスラエルの命令によるものということではない。

しかし、たとえばISISが米欧や日本人を人質にして身代金を要求したり処刑する動画を世界に公開したりするのは、欧州諸国や日本をISISとの戦いに参加せざるを得ない状況にして、それを米国が指導する構造を作り、国際軍が中東にずっと駐留してイスラエルを守ってくれる状況を生み出すことにつながる。

(これまでに発表されている、米欧の人質が処刑されている映像の中には、ISISが合成したニセモノが含まれているとの指摘がある。ISISを支持して支配地域に入った米欧人が、ISISの存在を誇示するため、自分が殺される光景を撮して世界に発表する画策に賛成し、ニセモノの動画が作られた可能性がある)

フランスでは、仏政府が年末に国連でパレスチナ国家の創設決議案に賛成したり、パレスチナ和平を進めないイスラエルを制裁する態度を強めたところ、年初にパリで反イスラム的な雑誌社やユダヤ教徒向け(コーシェル)のスーパーマーケットが襲撃されるテロが起きた。

国際政治の舞台に立って選挙に勝ちたいネタニヤフは、仏大統領に断られたのにパリのデモに参加し、アフリカの大統領を押しのけて最前列に立った(仏政府は彼が最前列に来ることを事前に認めていたが)。

パリのテロ事件をめぐる話は改めて書きたい。

ISISに捕まった日本人を救出するため、日本政府はISISに関する情報を多く持つ(ISISの生みの親である)イスラエルや米国防総省、米タカ派議員など「軍産イスラエル複合体」に頼る傾向を強めざるを得ない。

日本政府が、米イスラエルとISISとの裏のつながりを察知した上で、米タカ派やイスラエルと協調するならまだしも、そうでなく米イスラエルとISISとのつながりを陰謀論扱いして無視して動いているように見えるだけに懸念がつのる。