副島隆彦先生の新刊
『官製相場の暴落が始まる――相場操縦(マーケット・マニピュレーション)しか脳がない米、欧、日 経済 Governments' Market Manipulation Econo-Globalists 17』
(祥伝社)
が、近日発刊されます。
遅くとも11月4日には、全国の書店に並ぶ予定であるそうです。
今回は、昨今の異常な経済・金融情勢を考慮し、いち早くこの本をお知らせすることになりました。
以下に「まえがき」と「あとがき」を掲載します。
書名:『官製相場の暴落が始まる――相場操縦しか脳がない米、欧、日 経済』
著者: 副島隆彦
出版社: 祥伝社
ISBN-10: 4396615094
発売日: 2014/11/2
(『官製相場の暴落が始まる』「まえがき」ここから)
まえがき
今の日本政府がやっていることは相場操縦(そうばそうじゅう)である。
すなわち、政府による市場の価格操作(マーケット・マニピュレーション market manipulation )である。
こんなことを一体いつまで続けられるのか。
法律違反である相場操縦を、金融市場で政府、国家自身がやっている。
先進国、すなわち今のアメリカ、ヨーロッパ、そして日本の3つがそろってやっている。
(1) 株式と、
(2) 債券(金利)と、
(3) 為替(円・ドル相場、ドル・ユーロ相場)の
政府自身による価格操作と統制が行なわれている。
明らかに統制経済( controlled economy コントロールド・エコノミー)である。
今のところは、この先進国3つの地域の思うがままである。
だからこのあとも円安(1ドル=116円ぐらいまで)が進み、
株高(日経平均1万7000円台まで)が演出される。
しかし、はたして金利(国債の値段)までを操(あやつ)ることはできるだろうか。
来年に入ったら、ニューヨークで株式の暴落が起きるだろう。
無理やり作ったNYダウ平均株価1万7000ドル台は、1万5000ドル台まで落ちるだろう。
アメリカのFRB(米連銀準備(リザーブ)制度理事会)のジャネット・イエレン議長は、金融政策における“タカ派”の本性をついに露(あら)わにした。
金融緩和(クオンティティティブ・イージング)をこの10月でやめる、と終了宣言した(7月9日)。
世界的に強いドル、すなわちドル高、株高演出の政策を強行しつつある。
同時に「金利を徐々に上げる」と言う。
はたしてそんなことができるのか。
「量的緩和をやめることなんか、できるものか。イエレンを痛めつけてやれ」という動きがニューヨークで起きている。
アメリカにも、企業経営者たちが本業ではない“金融バクチ”で会社の利益を捻出(ねんしゅつ)している者たちがたくさんいる。
経営者たちは金利が少しでも上がると資金繰(ぐ)りに響く。
実は、アメリカの経済政策(財政政策(フィスカル・ポリシー) と 金融政策(マネタリー・ポリシー)の2つで経済政策(エコノミック・ポリシー)の本当の主役はイエレンではなくて、米財務長官(トレジャリー・セクレタリー)のジェイコブ・ルーだ。
真犯人は、こっちなのだ。
私たちは騙(だま)されている。
いつもいつも、白髪の老婆のイエレン議長の、顔と声明文だけをニューズで見せられて、囮(おとり)作戦(レッド・へリング red herring )に引っかかっているのである。
ジェイコブ・ルー率いるアメリカの財務省にしてみれば、絶対に金利を上げることはできない。
金利が少しでも上がると、巨額の米財政赤字(ファイナンシャル・デフィシット)を返済することができなくなる。
利子分の支払いができなくなる。
予算が組めなくなる。
だからイエレンが言う
「アメリカ経済を正常化させるために金融市場に金利を付ける」
とは、ウソである。
金利を上げれば企業経営者たちが嫌がる。
資金が株式市場から逃げる。
すると株式の暴落が起きるはずなのだ。
日本では8月20日から急に円安・ドル高が起きて、1ドルは=110円になった。
2003年4月のブッシュ・小泉(こいずみ)の時とそっくりだ。
イエレンは10月末で金融緩和策(じゃぶじゃぶマネー)を全面停止(終了)して、「政策金利(短期金利、FFレート)を来年中には(相当の時期に)上げる」と言い出した。
米、欧、日の先進国3つは、もがき苦しむように今のデフレ経済から脱出しようとしている。
が、できるはずがない。
財政赤字の額が巨大すぎる。
イエレンの判断はどう考えても筋が悪い。
慎重に慎重に、そろりそろりと「金利が上がっても株式が暴落しない」ようにしている。
真犯人の米財務省は金利が上がると困る。
日本財務省も同じだ。
相矛盾(あいむじゅん)した愚(おろ)かな政策に突っ走っている。
アベノミクスの安倍晋三(あべしんぞう)首相が、いくら「デフレ経済からの脱却」と言っても、できるわけがない。
今年いっぱい年末までは、“官製(かんせい)株バブル”で株高にして投資家や経営者たちを浮かれ騒がせる。
それで12月中旬に消費税の追加増税(10%へ)を決める。
だから来年は株が暴落する。
どれだけGPIF(ジーピーアイエフ)の弾(たま)が保つかである。
アメリカは、アメリカ市場に、ヨーロッパからの資金と新興国や日本の資金も吸い上げて、掻(か)き集めることで自分だけ生き残ろうとする。
イエレン(アメリカ)は異常な金融緩和策をやめて、形上(かたちじょう)だけ正常な経済に戻ろうとする。
しかし内心はビクビクものである。
今のような超低金利(ゼロ金利)で、やっとのことで経済を回している仕組みが、いつまでも続くわけがない。
彼ら自身が死ぬほど分かっている。
それでもデフレ(不況)と低金利は続く。
だから年末までは、日本でも低金利(ゼロ金利)を原因とする株式値上がりの浮かれ騒ぎが続く。
それを安倍政権自身が“相場操縦”で、価格操作して吊り上げる。
私は、資産家と投資家の皆さんに、
暴落が来るので利益が出ている今のうちに、ガラが来るまえに上手に売り逃げてください、
と助言する。
金融・経済の本が、書店の棚にトンと並ばなくなった。
金融本の書き手たちが読者の信用を失(な)くして全滅したのだ。
私はただひとり、金融予測本を書いて世に問い続ける。
2014年10月
副島隆彦
副島隆彦
(『官製相場の暴落が始まる』「まえがき」ここまで)
・ジェイコブ・ルー
Jacob Joseph "Jack" Lew、59歳、
米財務長官 United States Secretary of the Treasury。
Jacob Joseph "Jack" Lew、59歳、
米財務長官 United States Secretary of the Treasury。
(『官製相場の暴落が始まる』「あとがき」ここから)
あとがき
今年はゆうちょ・かんぽの資金を30兆円ぐらいアメリカに送った。
今やボロクズ債である米国債を買った形にして、だ。
だから円安が起きたのだ。
私以外の言論人は、誰もこのことを書かない。
私はこの本で、米、欧、日の3つの先進国の政府自身による、違法な市場操作の実態を暴き立てるように書いた。
彼らのやりたい放題の悪行(あっこう)を徹底的に説明した。
日本政府(安倍政権)が喧伝(けんでん)する「景気回復」はなかった。
私たちの暮らしは苦しいままだ。
日本はますます貧乏になっている。
この本の英文タイトルは、 Governments' Market Manipulation(ガヴァメンツ・マーケット・マニピュレーション) である。
マニピュレーションとは、
(1)機械や飛行機を巧(たく)みに操縦すること。
(2) 事件、問題をうまく処理すること。
(3) 人々や世論を操(あやつ)ること。
(4) 株式や通過を人為的に操作すること。
(5) 帳簿や報告をごまかすこと。
(6) 医学用語としては、患者を触診すること、だ。
このように大修館(たいしゅうかん)『ジーニアス英和辞典』にも書いてある。
米、欧、日の政府による金融市場の価格操作、すなわち相場操縦は、すでに限界に達しつつある。
市場(マーケット)を支配(コントロール)しようとする者たちは、必ず市場から復讐される。
どんな権力者でも、独裁者でも、ローマ皇帝でも、市場を支配しつくすことはできなかった。
日本の徳川(とくがわ)八代将軍吉宗(よしむね)は、米(こめ)相場を管理しようとして「米将軍(こめしょうぐん)」と呼ばれたが、大失敗した。
最後に。
この本も祥伝社の岡部康彦編集長と二人三脚で作った。
夜を日に継いで書き続けて、18日間で書き上げた。
記して感謝します。
副島隆彦
(『官製相場の暴落が始まる』「あとがき」ここまで)