「進次郎シナリオ」で政治を読む―マイケル・グリーンの「日本再編計画」の裏側に
http://blog.livedoor.jp/bilderberg54/archives/29701645.html
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昨日、文春新書の『小泉進次郎の闘う言葉』(常井健一・著)を読んだ。橋下徹の「語録」も読んだが、政治家の演説が話題になることは悪いとことではない。ただ、私はこの本を書評するにあたり、著者の常井氏が、彼に密着することで発見した一つの法則についての記述に注目した。
常井氏は若手のジャーナリストでAERA編集部におり、石川知裕前衆議院議員の『悪党』の構成に関わったそうだ。
この本は小泉進次郎の去年の衆院選の密着ドキュメントが中心。全国を選挙応援で回った進次郎の街頭演説の一部を収録している。進次郎の演説は基本的に短いものが多く、最も長いものでも自分の決起集会で行った30分の演説だったという。
小泉進次郎の演説の特徴は、地方に行ったらその地方の方言でまず聴衆の心をつかんだり、応援する候補者と自分のつながりを話したりするものであり、政策と 言うよりは、相手の心の機微に入り込み、人心をつかむタイプのもの。
私は、この本を読んでいるうちに、進次郎の演説のパターン化された話術は、街頭演説の 一期一会の瞬間だからこそ、人の心をつかむのであって、同じ演説を毎日聞かされても、3日で飽きるタイプのものだとわかった。
まだ32歳の若手だから仕方 がないともいえる。しかし、プリンスとして育てられている、ということはよく分かる。
ただ、私がこの本で注目したのは、常井氏が進次郎 がぶら下がりで発するコメントが、永田町の先を読む上でヒントになっているのだとする「進次郎シナリオ」なるものの存在である。
例えば、進次郎が局長を務 める自民党青年局が、台湾の大使館に当たる台北中日経済文化代表処を訪問した翌々日に、政府が台湾との漁業協定に調印したという事実があったという。
更に常井氏は、進次郎のTPP積極推進の裏側には、「環太平洋の国々が米を中心につながることで、台頭する中国に対抗する構図を作る」という意図があり、 その背景にはアメリカ留学時代の経験があると指摘している。
ご存知のように小泉進次郎はコロンビア大学に留学し、ジェラルド・カーティスに学び、そのあと は米戦略国際問題研究所(CSIS)に入り、ジャパン・ハンドラーズの一人であるマイケル・グリーン元米NSCアジア上級部長のもとで安全保障を学んでい る。
常井氏は、CSIS時代の進次郎が、同研究所所長のジョン・ハムレやリチャード・アーミテージ、マイケル・グリーンらと一緒に、東京で開催された「日 米印会議」に参加していたことをきちんと指摘している。
この会議は、軍需産業も参加した、アーミテージの中国封じ込めビジネスの一環として開催されたもの。日本側財界人として超親米派のJR東海の葛西敬之も名を連ねる。
これで進次郎シナリオの正体が見えてきた。進次郎は、マイケル・グリーン の指揮のもと、日本をジャパン・ハンドラーズが主導する新たなるアメリカの対中冷戦に巻き込むための日本側の尖兵の役割を果たしているのだ。マイケル・グ リーンら知日派が、尖閣問題で日本の強硬姿勢を求めたり、日本の原子力再稼働やTPPを強く推進するのも、対中包囲の戦略である。
要す るに日本は冷戦開始直後のような、アメリカ国内のジャパン・ロビーの大攻勢を受けているのだ。
アメリカの外交戦略は一枚岩ではなく、派閥抗争がある。アメ リカ中枢のビジネス重視のサークルは中国との関係を極めて重視し、一方でマイケル・グリーンらのような軍需産業とのパイプをビジネスの強みにしている勢力 やネオコン派は、中国包囲網を築こうとする。この双方の流れが相克しながらアメリカのアジア太平洋の外交政策は決まっていく。
考えてみ れば、『軍隊なき占領』に登場した、ハリー・カーンのようなアメリカのジャパン・ロビーが、ダグラス・マッカーサー提督の進めた日本の平和国家路線を逆コースによって再軍備路線に変更 させたのである。
今、21世紀初頭の日本で起きている動きはその再現を自民党とアメリカのマイケル・グリーンが狙ったものといえるのである。
マイケル・グ リーンは日本の政界再編に際し、「リベラル左派勢力を殲滅する」という大方針を掲げて去年の衆院選を「指揮」した。東洋経済への取材でそのように示唆してい る。
昨日の東京都議選の結果を見ても、中道リベラルからリベラル左派勢力は分裂した状態であり、慰安婦問題に関する失言に端を発する内 部抗争が勃発したようにみえる橋下徹と石原慎太郎率いる日本維新の会は、石原の息子である石原伸晃環境大臣が幹部を務める自民党東京都連の大躍進に大きく 貢献した。
参院選でも極右政党である維新の会は、保守政党を標榜する自民党の勝利に貢献するだろう。マイケル・グリーンはかつで橋下徹は「キングメーカー になる」と予言したが、ある意味ではそのとおりになっている。
アメリカのジャパン・ハンドラーズは冷戦の大勝利という成功モデルを再び アジアで再現しようとしている。
そのビジネスモデルによって、彼らは日本の軍備を強化させることで日本に武器を売りつけ、日本にアメリカの代わりに原子力輸出政策を取らせ(アメリカは原発技術のライセンス収入だけを得る)、そして集団的自衛権の容認やTPP推進によって、じわじわと中国を封じ込めて、アジア太平洋における米国のプリエミネンス(優位)を目 指していこうとしている。
そして、小泉進次郎はマイケル・グリーンの門下生として彼の意図を自民党青年局内の浸透させるという役割を 担っている。
進次郎は語り口はソフトだが、やはりアメリカによって属国・日本支配のために育成されている恐るべき政治家なのである。
マイケル・グリーンは 政界における、日本の「軍隊なき占領」を押し進めているわけである。
◯今週のマイケル・グリーンの活動予定
日米安保研究会(笹川平和財団)6月24日発足。夕方、オークラで会見あり。
【メ ンバー】アメリカ:リチャード・アーミテージ(コノコフィリップス取締役、米元国務副長官)、ジョゼフ・ナイ(三極委員会北米委員長、ハーヴァード大学教 授)、マイケル・グリーン(戦略国際問題研究所日本部長、元外交問題評議会研究員)アーロン・フリードバーグ(プリンストン大学教授。反中ネオコン戦略 家)日本側:加藤良三(元米国大使、ムスメの和世が笹川平和財団勤務)岡本行夫(評論家)第一回会合のテーマは中国。フリードバーグ教授の新著 『Contest for the Supremacy』の日本語版出版記念講演も兼ねる。
【メ ンバー】アメリカ:リチャード・アーミテージ(コノコフィリップス取締役、米元国務副長官)、ジョゼフ・ナイ(三極委員会北米委員長、ハーヴァード大学教 授)、マイケル・グリーン(戦略国際問題研究所日本部長、元外交問題評議会研究員)アーロン・フリードバーグ(プリンストン大学教授。反中ネオコン戦略 家)日本側:加藤良三(元米国大使、ムスメの和世が笹川平和財団勤務)岡本行夫(評論家)第一回会合のテーマは中国。フリードバーグ教授の新著 『Contest for the Supremacy』の日本語版出版記念講演も兼ねる。