新刊『浮かれバブル景気から衰退させられる日本』(徳間書店)
『浮かれバブル景気から衰退させられる日本』は、副島先生の「アベノミクスとTPP(環太平洋経済戦略協定)」と、「迫り来る統制経済(大増税と資産家いじめ)」の解説本です。
TPPについては私も学問道場の音声配信ほかで繰り返し解説して来ましたが、この本では「15項目」の簡潔な解説でTPPの本質を解説してあります。
テレビや雑誌では、アベノミクスだのなんだの言っていますが、結局はこの安倍政権も「アメリカの手先」に過ぎないということが、1月に報道された「米国債50兆円買い」の報道や、説明不足のまま時間切れのTPP交渉に参加すること、日本維新の会の組んで参院選後に憲法改正に乗り出そうとして、
その後は、財務省の言うとおりに消費増税をやり、一方で竹中平蔵らの言うとおり、さほど高くもない法人税(米国カリフォルニア州と同レベル)を更に減税して、大企業むけの庶民の所得分配(大企業向けの輸出戻し税が消費増税の本質)をやろうというのがアベノミクスの本質でしょう。
アベノミクスは経済学のいいところをつまみ食いして、庶民からは消費税でむしり取り、維新の会が政権入りしてからは一層、資産家からは相続税で分捕る。
これもアメリカに貢ぐため、なぜならアメリカもお金がないから、という単純な話です。
株高で浮かれていて、高額消費が増えているという報道がありますが、普通の会社員は株式投資などやりません。
ちょっと浮かれ気分になっているうちに消費増税がドバっと襲い掛かってくるだけです。
(転載貼り付け開始)
この本で、私は、今の安倍政権の経済政策(エコノミック・ポリシー)である「アベノミクス」で浮かれ騒いでいる皆さんに警告を発する。
今年の秋には景気は崩れるだろう。その理由は、この本の後のほうでずっと説明する。中国との軍事衝突が起きる可能性も高い。
この本ではアベノミクスがまずは資産家層に与える影響を中心に解説しております。それ以外にも以下に紹介する図表などをふんだんに使って、この数カ月の政治・経済情勢を要約しておりますので、新聞などの報道を振り返るのにも良いでしょう。
以下に、まえがき、あとがきを転載しておきます。
(転載貼り付け開始)
まえがき
この本で、私は、今の安倍政権の経済政策(エコノミック・ポリシー)である「アベノミクス」で浮かれ騒いでいる皆さんに警告を発する。
多くの資産家や投資家が株を買って儲けたい。あるいは「円安」(1ドル96円15銭までいった。3月15日)に乗じて5年前(“リーマン・ショック”の前)に1ドル120円とかでドル預金をしていた分が、評価損が減ってうれしがっている。
しかしこの後、日本経済に待っているのは浮かれ景気の後に一気に襲いかかってくる衰退、破滅への道である。私はこのようにはっきり言う。
今年の秋には景気は崩れるだろう。その理由は、この本の後のほうでずっと説明する。中国との軍事衝突が起きる可能性も高い。
“日米密約”が、2月22日のアメリカのオバマ大統領と安倍総理との「日米首脳会談」で明らかになった。
後(あと)に載せる証拠(P19)の新聞記事のとおりだ。それは「日本政府による50兆円の米国債買い」だ。
アメリカ側は「日本の安倍はオバマにいったい何をお土産(プレゼント)に持ってきたのか」と、鵜の目鷹の目で気にしていた。そのことをオバマ大統領にアメリカの記者たちがしきりに質問した。
そして、アメリカ政府の資金不足による「支出の強制削減(カット)」と全米の公務員たちへの「給料の支払い停止(シャット・ダウン)」のことと絡(から)んで、アメリカの議会の共和党の議員たちが、ざわざわと騒いでいる。日本からのアメリカ政府への救援資金は、いったいいくらなのか、と。
日本の安倍政権ができる前の自民党が、去年(2012年)のうちから決めていた。「50兆円分の米国債を日本が買ってあげます。その代わりに、円安と日本株の株高支援をお願いする」という秘密の取引であった。だから日米密約である。
この裏取引にTPP(ティピーピー)も、尖閣諸島問題もからんでいる。
オバマ大統領は首脳会談のあと、浮かぬ顔をしていた。日本側の要求をほとんど呑んだ。日本に対して厳しい態度はいっさい取らなかった。それはそうだろう。50兆円(5000億ドル)もの金をタダでくれるというのだから。
これでアメリカは5カ月間(9月まで)は生きられる。
ここに隠された日米の政治家たちの大きな罠に対して、日本国民は注意しなければいけない。
浮かれ騒ぎのバブル景気で、つかの間の楽しみを味わいたい、ずっと不景気が続いたから少しはいい気分になりたい。このことに私は反対はしない。けれども、それはあと半年だ。勘のいい人、頭のいい人はその前にさっさといろいろ売って逃げなさい。
あとがき
この本を書きあげた最後の日になってから思うのだが、やはり、日本は中国と公船(監視船)同士がぶつかって軍事衝突しそうである。
それはP184で書いたコンフラグレイションconflagrationと呼ばれる衝突である。
戦争(ウォー)の3段階ぐらい手前である。
7月の参院選の後、秋には起きそうだ。
ぶっそうな話であるがこれで数名の海上保安庁の職員たちが海に投げ出されて……という気がする。
私は予言者(プレディクター)(神のコトバを伝える預言者(プロウフェット)ではない)の宣言をしているので、このようにはっきりと書く。
おそらくアメリカは助けには来てくれない。オバマ大統領たちはP29で書いたとおり、「私たちは関知しない。日本だけでやってくれ」という態度に出るだろう。
その時、日本はどうするつもりか。
「中国との戦争も辞さず」と勇ましいことを言っている(いた)人々は、どうぞ率先して尖閣諸島の海に自分で出かけて行ってください。
海上保安庁や海上自衛隊の職員が犠牲になればいい、では済まない。
それでも中国との全面戦争などはできることではない。だから何があろうと話し合いで解決するしかないのだ。
日本の金持ち(富裕層)の人々は、早目、早目に、自分の資産を安全なところに移してください。
私が、「今こそ逃がせ隠せ個人資産」と書いたら、金融庁や国税庁は私に対して目くじらを立てるだろうか。
富裕層を狙い撃ちにして、その財産を各種の税金で奪い取ることばかりを財務官僚(貢(みつ)ぎ取(と)り)たちが考えるようになると、本当にこの国は亡びる。
私は自分にできる精一杯の気持ちを込めて、迫り来る国難への警告の書を書いた。
何の確証もない「アベノミクス」に期待をかけて浮かれ騒いでいる時では、もはやないだろう。
この本もまた、危険が迫っている時代の予兆を共に鋭く感じ取りながら伴走してくれた徳間書店の力石幸一出版局長のお世話になった。記して感謝します。
2013年3月
副島隆彦
副島隆彦