ステーションシネマで、『関心領域』を観る。


難しい映画。


個人的には、最初の方で、主人公宅のお手伝いさんが、アウシュビッツに収容された方々から奪ったであろう衣服を分けるシーン。家政婦長みたいな人が自分だけ毛皮のコートをもらい、ポケットに入っていた口紅を塗る。


奪う事になんの罪悪感も持たない描写。


その後、奥様同士?が「カナダを本当のカナダと間違っていた」と笑いながら喋る。


こないだ読んだ『アウシュビッツのタトゥー係』で、カナダとは、アウシュビッツビルケナウ収容所の中で、保管倉庫のことをそう呼んでいたらしいと書いていたのだけど(もしかしたら、有名な話なのかもですが)、知らなかったら、きっと、普通に通り過ぎてたセリフやなと思った。


世界は、丁寧に説明してくれない。


映画の登場人物が、塀の中に無関心である話なのかと思ってたけど、観てる私たち側も『ああ、意味わかんないからいいや』って思ったらダメなんだよね。多分。


ほんで、たまに思うねんけど、古典落語を教えてもらっていて、「あれ?男性落語家の方は、これ違和感なく言えるのかな?」というセリフがある。


下ネタ的な部分を「天使さんは女性やから、あんまり言わない方がいい」みたいに言われることもあるけど、そうじゃなくて、男の人は、このセリフを裏読みされることはないのかな?と思うこと。


こないだも一つ、引っかかった表現があった。多分、自分がやる時は言わないと思う。


帰りに、ブックファーストで、姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』を購入する。