チャンピオンまつり再び! ゴジラ対コング 新たなる帝国 | 不思議戦隊★キンザザ

チャンピオンまつり再び! ゴジラ対コング 新たなる帝国

地下帝国でコングは孤独であった。飯を喰ってもひとり、虫歯が疼いてもひとり。コングの背中が孤独を語る。

 

歯が痛い

 

一方、怪獣王ゴジラはイタリアまで出張って一戦したのち、コロッセオで惰眠を貪っていた。その姿はまるで猫のようである。

 

ヨッコイショーイチっと

 

また一方、モナーク(怪獣監視保護機関)は謎電波をキャッチし、コミュ障少女は学校になじめず、保険会社をスポンサーにしている怪獣マニアは配信で怪獣保険の宣伝をしていた。

これがモンスターヴァースの日常、世は全てこともなし。ところが。

 

飯が喰えねえ

 

コングの野郎が歯が痛むってんでノコノコ地上に現れたのである。仕方ないから治療してやる。傷んだ歯を抜歯して義歯を装着する。コング相手にサクッとこれだけのことをやっちまうとは壮大なのかガバガバなのか判断つかない。

 

あれ?あんたどっかで会ったことある?

 

このとき、コングとコミュ障少女の間でなんらかの通じ合いがあったようである。あれ?この少女って前回も登場してコングと心のふれあい的なことをしてた子?

歯の治療を終え地下帝国に戻ったコングは小さい猿を見つける。なにこいつ、俺の仲間?ミニコング?

 

同胞ですか?

 

コングは急に襲ってきた猿集団(グレート・エイプというらしい)を蹴散らしたりミニコングと餌を分け合ったりする。なにこれコングちょっとイイ話?

 

E.Tです

 

マダムはほぼゴジラ上級者(自称)なので既に脳味噌をチャンピオンまつり用に切り替えていたが、あまりにもあんまりな進行に「自分は一体なにを見せられているのか」という自問自答が脳内に渦巻いていた。コングにばっかりストーリーを充ててゴジラさんの登場シーンがあまりにも少ないことも納得いかない。このようなマダムのフラストレーションに関係なく物語は進む。

コングはミニコングに案内されてなにやら危なそうな地域へ足を踏み入れる。そこは独裁政権による恐怖政治で支配された世界であった。

 

創造性皆無

 

一般民猿らしき階級のグレートエイプどもは奴隷のように強制労働に使役させらているのである。労働エイプは上級エイプに常に監視されている。

でたよ。まーたでたよ。これはアレだろ?「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」のアレだよな?時代はもう21世紀だぜ?負の管理に組織の人材を使うなっていいましたよね?まあここ猿の王国だけど。

 

猿が集まってなにやってんだ

 

マダムの脳味噌は考えることをすっかり停止した。考えなくても分かるヤツだからである。これはもう身を委ねるしかない。それにしても労働エイプは穴を掘ったりなにかを運んだりしてもくもくと労働しているのだが、いったいなにを作らされているのかまるで分からない。宮殿?

コングが監視エイプとメンチを切り合っていたら洞窟からエラソーなエイプが登場。こいつがボスのスカ―キングだ。

 

この立ち方

 

このイキり方

 

スカ―キングの出で立ちやイキり具合がまさに半グレのそれ。もしかしてこいつが今回のラスボス?こんな半グレ猿野郎が?どう考えてもゴジラさんの敵じゃねえだろ。ゴジラさんも安くなったもんだな・・・。と思っていたらスカ―キングが冷凍怪獣シーモ君を操ってコングに凍傷を負わせるのであった。シーモ君は本来穏やかで心優しい怪獣のはずなのにスカーキングの糞猿が拉致って脅して鎖で操っておるのだ。なんという分かりやすさ!

 

囚われのシーモ君

 

シーモ君の冷凍攻撃を喰らい右手を冷凍されたコングは斧まで失って這う這うの体で自分の陣地へ戻る。そしたらちょうどいい塩梅にニンゲンどもが雁首揃えていて、コングの凍傷で使えなくなった右手に金属製のグローブみたいなものを装着してくれた。わあ、これで戦えるね!

 

っしゃあああああああ!

 

さて、では呼びに行くことにしよう。誰を?もちろんゴジラさんである。ここはひとつ、ゴジラさんにお願いして一緒に戦ってもらおう。ということで地下から地上へひょっこり姿を現すコング。地上はゴジラさんの管轄なので「勝手に俺の陣地へ入って来るなよ!」とゴジラさん猛烈に怒る。

 

話を、話を聞いてください!

 

コングとゴジラさんは無事共同戦線を張れるだろうか?モスラはふたりを導くことが出来るだろうか。

 

―略―

 

いや、参ったね。なんなんですかね、これは。今作品をスリーワードで表せば「安い、軽い、薄い」、標語にすると「ゴジラで遊ばないでください」、四字熟語では「軽佻浮薄」といったところか。

じゃあ面白くなかったのかというと、まあ、面白くないこともなかったというか、最後まで飽きることなく楽しめた。しかしそれはCG技術による視覚効果に過ぎない。スピード感とか、そういうやつだ。

 

画像間違えた

 

こっちだ、こっち

 

何度も表明しているが、いま一度、怪獣のレゾンデートルを確認しようと思う。怪獣は恐ろしくなければならない。怪獣の恐ろしさは人類を認識しないことである。人類ではコントロールできないからこそ怪獣なのである。共存など以ての外である。怪獣と共存できるという考えは全くの傲慢である。

翻って今作はどうであろうか。コングは人間どもを認識している。ひとりの少女と心を交わすこともできる。人間どもを敵だとは思っていない。なので虫歯を治療してもらうし、金属グローブ装着を嫌がったりしない。ついでにゴジラにも頼る。超怒られるけど。そこへモスラが現れてゴジラを説得する。モスラに弱いゴジラは仕方ないのでコングと共闘してやることにする。

 

モスラがそう言うなら手伝ってやってもいいか

 

なにこれ?地球最大の決戦?あのときの敵は初登場のギドラであった。ギドラがギャースカ飛び回りながら電力光線を吐きまくってる頃、ゴジラとラドンは大岩でサッカーをしていた。そんなふたりをまだ幼虫のモスラが一生懸命説得するのにゴジラもラドンもサッカーに夢中。説得を諦めたモスラはひとりでギドラに立ち向かう。っつっても糸を吐くくらいしか能力がないからギドラに向かって糸を吐くもののやっぱり無理で、ギドラの電力光線を浴びるモスラ。あっ、モスラちゃんが危ない!ってことでやっとゴジラとラドンがギドラに戦いを挑む。っていうアレか?

 

モスラ、ふたりを説得中:地球最大の決戦

 

今回のゴジラが結構すぐに説得に応じたのは前回のことを覚えていたからだろうか。それともモスラに嫌われたくないという無意識の恋心であろうか。やっぱゴジラとモスラのコンビはいいよな~~、画になるしな~。怪獣界のベストカップルだよな~~とマダムも説得された。

 

海外掲示板ではこのような議論が

日々熱くなされております

 

えーと、なんの話だっけ?あっ、そうそう、今作品が如何にチャンピオンまつりをリスペクトしてるかってことだっけ?いや、違うな、安っぽいって話だったな。まあ、安っぽいのはリスペクトしてるチャンピオンまつり作品が既に安っぽいので仕方ないのか。どう転んでも安っぽくなるのか。うーん。

前作も相当安っぽかったが、脚本家と監督が同じなのである。ということは、これはもうこいつらの裁量と言うか限界なのであろう。ふたりともゴジラに神聖を見出しておらず、どっちかっつったらコングが主役でゴジラはコングの仲間みたいな位置づけである。

 

監督の(勝手な)キメシーンは所々あるけど

特に記憶に残らない

 

なのでラスボスもコングに合わせたショボい糞猿でゴジラさんの敵ではないし、戦い終わったあとも冷凍怪獣シーモ君を仲間にするのはコングであって(まあゴジラは仲間など欲せず常に孤高だけど)、ゴジラさんはローマに戻ってコロッセオで丸くなって猫みたいな扱いである。かわいい。って、ダメなんだよ、それは!!映画作品でゴジラさんを可愛くしたらダメなんだってば!コングに引っ張られてゴジラさんまで人類どもに媚びを売る羽目になっちまっているじゃねえか。ゴジラさんは海に帰してやってくれ!もう違和感がハンパない。

 

ゴジラさん、監督なんか無視して

海に帰ってくれよ

 

2時間の堂々たるゴジラ作品であるはずが、CGで豪華をごまかしただけの陳腐なファンアートの域を出ていない。2次創作的というか。これが違和感の正体であろう。ファンアートなもんだから詰めが甘い。大いに落胆したのは少女ひとりだけでモスラを呼び覚ますという設定である。双子法則徹底無視。さらにゴジラさんを海に帰さず観客に媚びを売らせるなど言語道断である。脚本家と監督の力量がゴジラ作品に見合っていない。これで東宝のお墨付きがあるから始末が悪い。

本家とファンアートの境目がなくなってきている。ただの2次創作作品であれば目くじらは立てない。だがこの作品は「ゴジラ映画」に数えられているのである。いくらハリウッド作品といえども、このような作品をゴジラ映画とは認めたくない。面白かったらいいじゃん、と肯定的な意見もあるだろうが、マダムは断固反対である。やだやだー。

ゴジラさんを守りたい。ゴジラさんの恐ろしさに震えたい。ゴジラさんの神聖を大切にしたい。

 

それでは聞いてください。

「かえせ!ゴジラさんを」

 

脅威も 畏怖も どこへいったの

神聖も 崇高も どこへいったの

 

エビラ クモンガ アンギラス

マンダ バラン カマキラス

ガバラ ヘドラ ゴロザウルス

ガイガン メガロ キングシーサー

 

安さ爆発 コングさん

これでいいのか ゴジラさん

猪四郎 伊福部 いなくなって

東宝 古参 黙っちまった

旧き良き 懐かしきお前ら

老兵はただ 消え去れっての?

 

かえせ かえせ かえせ かえせ
ゴジラさんを かえせ 
かえせ かえせ かえせ
こわーいゴジラさんを かえせ かえせ 

 

かえせ かえせ かえせ かえせ
ゴジラさんを かえせ かえせ かえせ
かえせ かえせ かえせ

 

とはいえ、ゴジラさんは汎用性の高い怪獣である。どのような個性を与えるか、どのような味付けをするかで作品の質がガラリと変わる。だからこそ70年間もコンスタントに制作され続け、流行を取り入れてスベったり息子を持ったり怨霊になったりして我々を楽しませてくれているのである。

今作品はマダムに合わなかっただけで、面白い作品ではあった。面白さを楽しんで、すぐ忘れる作品である。

 

戦い終わってゴジラさんに合図するコング

 

空を覆う雲を放射熱戦で焼き尽くすゴジラさん

 

めでたし、めでたし

 

ゴジラ作品はこれからも第一線で作られ続けるだろう。次回作を楽しみにしたい。

 

呼んだかー?

 

・・・・・・えっ、次回作は今作の続きになるの?マジすか。またコング主役っすか。まーたうっすーいドラマを延々見せられるんすか。ゴジラさんはいつになったら怖くなるんすか。