法恩院住職 鳥沢廣栄著
『スッと心が軽くなる仏教の言葉』を引用させて頂き投稿させて頂きます。
[考え方を少し変えたり、世の中を見る角度を少し変えれば、生きる希望は見えてくるものです。それを説き明かし、安楽な世界へと導いてくれるのが仏教なのです。
仏教には、自分の生き方を変える言葉がたくさんあります。生きる希望が湧いてくる言葉が数多く語られています。そのことを多くの方に伝えたいと思い、本書を記しました。
この本を読んで、少しでも生きる希望が得られるならば、幸いに思います。あなたの心に響く言葉が、きっと見つかることと思います。 合掌]
鳥沢廣栄著
第二章 道が開ける言葉
◆真仮大勢(しんかだいせい)──導くための方便(典籍:不明)
[難しいことをそのまま話しても理解は得られないものです。また、いきなり高度な話をしても誰も話を聞いてはくれないでしょう。
仏教も同じで、いくらいい教えであっても、難しい言葉をそのまま説いても誰も理解してくれません。たとえば「空」の思想を「有るのではなく、無いのでもない」などと説いてもなかなか理解は得られません。
お釈迦様は様々な譬え話をして教えを説きました。日常の話題や身近な事柄を取り上げ、そこから深い教えへと導いたのです。この方法のことを「真仮大勢」といいます。真実を日常的な事柄を借りて説き明かすという意味です。
いくらいい教えであっても、いくら深遠なる教えであっても、難しい話は心に響きません。むしろ、自分の経験をしたことや世間の出来事を譬えにして話したほうが、人の共感を呼ぶものです。
人を指導する立場にある方、教え導く方、部下を指導する必要のある方、あるいは親も教師も、真仮大勢を心掛けることが大切でしょう。いくら正論であっても、堅苦しく生真面目に話をしても、なかなか聞いてはもらえません。聞いてもらえるような話し方をすることも大事なのです。
【仏教の教祖お釈迦様は真仮大勢(方便)を42年間の長きに渡りて説かれ、その後真実の教え(法華経)に導かれました。本当に理にかなった教化(きょうけ)を続けられました。
私も法華行者として、人様に法華経を伝えさせて頂いておりますが、極力分かって頂く様、方便を使ってお伝えする様にしております。 合掌】