法恩院住職 鳥沢廣栄著
『スッと心が軽くなる仏教の言葉』を引用させて頂き投稿させて頂きます。
[考え方を少し変えたり、世の中を見る角度を少し変えれば、生きる希望は見えてくるものです。それを説き明かし、安楽な世界へと導いてくれるのが仏教なのです。
仏教には、自分の生き方を変える言葉がたくさんあります。生きる希望が湧いてくる言葉が数多く語られています。そのことを多くの方に伝えたいと思い、本書を記しました。
この本を読んで、少しでも生きる希望が得られるならば、幸いに思います。あなたの心に響く言葉が、きっと見つかることと思います。 合掌]
鳥沢廣栄著
第一章 心が軽くなる言葉
無住所涅槃──心の住まいはどこにもない(典籍:「摂論」)
[涅槃とは、サンスクリット語のニルバーナを音写したものです。本来の意味は「火を吹き消した状態」です。これが「煩悩をすべて消した状態」を意味するようになり、覚りの境地を涅槃というようになりました。涅槃とは、すべての煩悩を吹き消した、心が静かな状態のことなのです。
涅槃に至ることは、覚りの世界に入ることです。そこは迷いの世界ではありません。涅槃に至った心は、迷いの世界にはないのです。
しかし、そうした涅槃は真実の涅槃ではありません。なぜなら、「覚りの世界・迷いの世界」という区別があるからです。真の涅槃にはその区別がないのです。つまり、真の涅槃に至ると、その心はどこにも住まいがなくなるのです。これを「無住所涅槃」といいます。
転勤や転校など、住まいが変わることはよくあります。その事情は様々ですが、移動した先で居場所がないと感じることはあるでしょうか。あるいは、転勤や転校などでなくても居場所がないと感じてしまうことはあるでしょうか。居場所がないのは、つらく寂しいものです。
しかし、居場所にこだわる必要はありません。そもそも居場所などないのです。真の涅槃に至れば、どんな場所にも住しないのです。それは裏を返せば、すべての場所が居場所でもあるということです。
この世には心の居場所がありません。しかしそれは、この世のすべてが心の居場所であることと同じなのです。居場所がないのではなく、すべてがあなたの居場所なのです。]
【大変に難しい境地ですが、例えば恩師より霊浄(霊を浄める)の修行を賜っておりますが、肉体は道場に座っておりますが、魂は自由自在に移動している様な境地を体験させて頂いております。又、大きなお寺に行って、暫く庭園を眺めておりますと、その一瞬は周りが全て自らの世界の様な境地になります。この様な心の状態になることでしょうか? 合掌】