法恩院住職 鳥沢廣栄著
『スッと心が軽くなる仏教の言葉』を引用させて頂き投稿させて頂きます。
[考え方を少し変えたり、世の中を見る角度を少し変えれば、生きる希望は見えてくるものです。それを説き明かし、安楽な世界へと導いてくれるのが仏教なのです。
仏教には、自分の生き方を変える言葉がたくさんあります。生きる希望が湧いてくる言葉が数多く語られています。そのことを多くの方に伝えたいと思い、本書を記しました。
この本を読んで、少しでも生きる希望が得られるならば、幸いに思います。あなたの心に響く言葉が、きっと見つかることと思います。 合掌]
鳥沢廣栄著
第一章 心が軽くなる言葉
◆三界に家なし──地獄から有頂天まで(典籍:「無量寿経」「倶舎論」など)
[「三界に家なし」という言葉があります。三界とは「欲界、色界、無色界」の三つの世界のことです。
欲界とは「欲のある者が住む世界」のことで、地獄から神々が住む天界の一部の世界です。
色界は「肉体と精神は存在するが、欲が無くなった世界」で、梵天(ぼんてん)が住む世界から大自在天の住む世界までのことです。
無色界とは「欲も肉体も消滅した世界」です。つまり、精神世界です。その中で最も清浄なる精神が行き着く世界が有頂天です。したがって、三界とは地獄から有頂天までの世界のことなのです。
三界に家なしとは、地獄から有頂天まで安楽に住むことができる世界はない、という意味です。なぜなら、これらの世界は輪廻する世界だからです。お釈迦様は次のように説いてます。
「この世は、苦の世界である」
地獄から有頂天に至る神々まで、すべての命が苦しみを抱えて生きているのです。人間だけが苦を抱えているのではありません。
三界に家がない──安楽に過ごせる場所がないのは、人間ばかりではないのです。神様でも安楽に過ごせる場所がないのです。そう思うと、ちょっと気楽ではないでしょうか。地獄の住人も神々も苦しみを抱えたお隣さん同士なのです。]
【私たちは三界の中に生きております。どの世界にいても安楽な場所はありません。
その中で私たちがひたすら精進努力をしてゆくのが、苦しみのない世界、輪廻しない世界、即ち仏界です。合掌】