法恩院住職 鳥沢廣栄著
『スッと心が軽くなる仏教の言葉』を引用させて頂き投稿させて頂きます。
[考え方を少し変えたり、世の中を見る角度を少し変えれば、生きる希望は見えてくるものです。それを説き明かし、安楽な世界へと導いてくれるのが仏教なのです。
仏教には、自分の生き方を変える言葉がたくさんあります。生きる希望が湧いてくる言葉が数多く語られています。そのことを多くの方に伝えたいと思い、本書を記しました。
この本を読んで、少しでも生きる希望が得られるならば、幸いに思います。あなたの心に響く言葉が、きっと見つかることと思います。 合掌]
鳥沢廣栄著
第一章 心が軽くなる言葉
大悲三念住──すべては平等である(典籍:「有部律」)
[人は差別をします。自分を慕ってくれる者を優先したり、庇護したりします。自分にとって不都合な相手には冷たくもなります。人は他人に対して、その関係に差をつけるものなのです。
ところが、覚りを得た者にはこの差別はありません。すべては平等なのです。
仏教を信じ信仰を深く持(たも)つ者に対しても、仏教を全く信じない無信心な者に対しても、半信半疑の者に対しても、如来や菩薩は平等に接し、常に正しき智慧を念じているのです。
これを「大悲三念住」といいます。
「三」は、信仰の篤い者、無信仰の者、半信半疑の者三種の衆生のことを表しています。どのような相手に対しても、如来や菩薩は平等に接する、大いなる慈悲心を持っているのです。
普段、敵対している相手が相談を持ちかけてきたとき、あなたはどう対応するでしょうか。聞く相手が違うと拒否しますか。あるいは、何を今さらと冷たくあしらったり、罠かも知れないと疑ったりするのでしょうか。
あなたが嫌う相手でも、敵対する相手でも、仲良くない相手でも、もし相談を持ちかけられたり、救いを求めてきたりしたならば、そのときは話を聞いてあげるといいでしょう。友人でなくても友人と同じように平等に話を聞いてあげましょう。差別や区別をしない態度こそが大切なのです。
【自らの慈悲心の深さにより、相手と接する態度が変わります。
菩薩の位まで慈悲心が深まれば、大悲三念住の境地達するものと思います。その境地に向けて精進を続けて参ります。 合掌】