好きな作曲家(1) | 知財弁護士の本棚

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企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 私がクラシック音楽を聴くようになったきっかけは、村上春樹さんの小説を読んでいて「スパゲッティをゆでるときは『泥棒かささぎ』に限る」とか何とか書いてあったからである。


 「泥棒かささぎ」はロッシーニのオペラである。ロッシーニ(1792-1868)は70歳以上まで比較的長生きした作曲家である。


 ロッシーニのオペラで一番有名なのは「セビリヤの理髪師」で、この話の続きがモーツァルトの「フィガロの結婚」である(原作者が同じ)。ときどき間違って「セルビアの理髪師」という人がいる(私の母だ)。セビリヤはスペインの都市である。


 ロッシーニのオペラは、どれも序曲が素晴らしい。しかしオペラ全体はというと・・悲劇も喜劇も同じように聞こえてしまう。序曲だけが評価されている作曲家という面がある。


 ロッシーニはミスター・クレッシェンド(「次第に強く」の意味)と呼ばれて若くして名声を確立、30代にはほとんど引退生活に入り、後半生には大きな作品を残していない。


 よく言えば「悠々自適」のうらやましい人生。しかし、自分の作風が時代遅れになったことを知ったがゆえであり、可哀想でもある。


 仕事をしないで何十年も生きながらえるロッシーニ的生き方は、私には無理そうである。