休眠商標を使いやすく? | 知財弁護士の本棚

知財弁護士の本棚

企業法務を専門とする弁護士です(登録30年目)。特に、知的財産法と国際取引法(英文契約書)を得意としています。

ルネス総合法律事務所 弁護士 木村耕太郎

 日経6月22日の記事「『休眠商標』使いやすく 登録後の使用 証明義務付け」はちょっと気になる記事。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090623AT3S1900Y22062009.html


 しかし知的財産戦略本部のHPで公開されている知的財産推進計画2009(案)では、下記のようにごく簡単に記載されているだけだ。



 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/dai23/siryou4.pdf


「不使用商標対策を強化する
使用されていない商標権が新たな商標選択の幅を狭め、新商品・新サービスの事業展開の制約要因となっていることにかんがみ、不使用商標の削減や商標の円滑な取得のための方策について2009年度中に調査・研究を行う。」


 日本の商標法は、登録に際して使用の事実を要求しない登録主義をとる。便利な面もあるが、取引秩序の維持など本来の法の目的と離れて「先に登録すれば勝ち」的な乱用事例が後を絶たない。だから不使用取消審判制度など、登録主義は修正された形にはなっている。今後は、さらに推し進めて「使用主義」に近づくようである、という風に記事からは読めた。

 

 知的財産推進計画2009(案)では、そこまで踏み込んでいない。今後の議論に注視が必要かと思う。